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17.使用人達
翌日、昨日紹介されなかった使用人達と、顔合わせをすることになった。
本来なら出迎える筈なのに、わざわざ今日にしたのは、早く部屋に行きたかったディートのせいだ。
その辺りは領主ということで、いくらでも有耶無耶に出来る。
まずは、執事のカーターだ。
歳は二十五で独身、赤毛でブラウンの瞳、背はディートより少し低いが、体格はがっしりしている。
ディートと違い、明るく表情豊かな美丈夫だ。
執事と言えども、邸内の力仕事など全般熟す優れ者だそうだ。
あとはメイドの女性四人で、ララ・ミリ・ナナ・サリだ。
皆、金髪のグリーンの瞳で四姉妹で、
姉妹というだけあって、よく似ている。
十八歳から二十一歳までの年子だ。
皆、物静かな感じだが、美しい顔立ちをしている。
五人は没落子爵の孤児で、先代が引き取って育て、そのまま使用人としてここで働いている。
その親達は、分不相応な贅沢な暮らしを求め、子爵家は没落し、子どもを捨て、今は行方知れずとなっている。
先代は子ども好きだったが、ディート一人しか子に恵まれず、孤児を見つけては何かと面倒をみてきた。
その意思をディートも引き継ぎ、何れはどこかに仕事を世話したり縁談をまとめたりして、送り出したいと考えているようだ。
遊び相手だった訳でもなく、幼い頃から無愛想で無表情は変わらないが、ディート本人は両親や祖父母のような『家族」とまではいかなくとも、孤児達を大切にしてきたのだろう。
祖父母には、自分の結婚を優先して欲しいと、事ある毎に言われており、ディート本人はやっとその時が来たと笑っていた。
ひと通りの紹介が終わると、ディートは食事の指示を出す。
「朝昼晩の食事は、これからはお祖父様、お祖母様、フィリア、俺の四人分を食堂に準備してくれ。あとカーター、別邸に軽食用の食材を仕入れて、補充しといて欲しい。」
「畏まりました。」
軽食用の食材とは、ディートが夜中にお腹が空くと、自分で適当に調理するらしい。
そういうのも楽しみだし、そのうち私が作るのもアリだなと私は思う。
しかし、聞けば聞くほど公爵邸での暮らしと異なる。
パーティやお茶会もしなくていいし、私にはもってこいな環境かもしれない。
おまけに、ディートが無表情なので、私も変に作り笑いをしなくていい。
ふと気付けば、物凄く楽だ。
後から考えたら、この考えはあまりよろしくなかった。
義祖父や義祖母の前では、普段の明るさを出していたが、使用人の前では、もう少し愛想を振り撒いておけば良かった。
戒律厳しい貴族と使用人の主従関係ではなくとも、最低限の敬意は持てる関係を築くべきだと気付くのは、もっと時間が経過してからだった。
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