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14.やらかした2人
朝になって、大変なことをやらかしたと私は青くなった。
いくら婚約者とは言え、執務室にお泊まりはまずい。
ファビアン皇太子殿下に知れたら、何を言われるやら。
しかし、殿下はいい仕事をしていた。
着替えまで用意してあったのだ。
「あの殿下に、感謝する日が来るとはなぁ…」
ルディガーは笑った。
「ルディ、笑ってる場合じゃないですよ!どうしましょう…もう殿下のお耳に入っていたら…」
焦る私を横目にルディガーは落ち着いている。
「いや、殿下だからこそ早いんだ。あれでも殿下は、あちこちに情報網を張り巡らせてるからな。そのうち、にやにやしながら来るだろう。俺とベルは、これを通常運転にしたらいい。泊まりの仕事がある、と。婚約してるんだし、夜通し一緒でも問題無し!みたいな?」
「お父様にも、それ言えます?」
「まぁ、言えないこともない。」
ルディガーは、あまり気にしていないらしい。
余裕綽々な感じが不思議だが、裏方仕事をするには、こういう一面も必要なのだろうと、私は自己完結した。
まぁ事実なので仕方ないかと思っていたら、噂というものは、私が考えていたよりも早く広まると実感した。
まずは、お父様が執務室を訪ねてきた。
開口一番、どストライクを放つ。
「お前達、もうそういう仲なのか?」
「義父上、申し訳ありません。どうしてもベルナと離れがたくて、こうなってしまいました。」
ルディガーが微妙な言い回しをする。
「まぁ、婚約しているし、想い合っている2人だからな…しかし、あまり派手にやるなよ。」
お父様、最後までは致しておりません!という言葉は飲み込んだ。
意外とあっさり認められていることに、私は驚いてしまった。
次は、殿下が来た。
麗しのファビアン皇太子殿下の筈が、執務室に入った途端、にやにやが止まらない。
ルディガーの言った通りだと、私は内心冷や冷やしていた。
「やっぱりなー!あの難攻不落のルディが執務室でねぇ…くくくっ…」
「殿下、下品極まりないのでお帰りください。」
「全く、ルディは…まあ良い。俺に感謝してるだろうからな。素直じゃないルディも可愛いぞ?」
「殿下、気は済みましたか?お出口は、あちらです。」
ルディガーは、塩対応で殿下を追い返した。
最後は騎士3人組だ。
「狂犬を落としましたね!」
「冷血漢の熱い夜ですか!?」
「めちゃくちゃ噂広がってます!」
マリ、ナミ、ラナは、わくわくニヤニヤを一切隠さない。
「もう、勘弁してちょうだい。さっきから、お父様とファビアン皇太子殿下とあなた達で、もうお腹いっぱいよ…」
私はぼやくが、ルディガー諦めたのか、無表情で何も言わない。
もう私は、恥ずかしさのあまり、想いが通じた喜びに浸る余裕もなかった。
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