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36.森の封印
しおりを挟む早い方がいいだろうと、早速次の日の朝、魔獣が出るという山を目指した。
馬車はとても無理なので、ヴィル様と馬で向かう。
「しっかり掴まってるんだぞ!」
「はい、旦那様。」
照れるヴィル様が微笑ましい。
お昼前には目的地の山の麓に着いた。
鬱蒼とした森が広がり、馬さえも通れない。
「ここからは歩いて森に入る。確認したい場所は、そんなに遠くないけど、サラは疲れたら言ってくれ。抱っこする。」
当たり前のように言わないで。
結構険しい道のりよ?
「頑張りますね!」
しばらく歩くと、巨大な岩が見えた。
岩の真ん中に2本の剣も見える。
「あれは何ですの?」
「魔獣の封印だ。あの巨大な岩が蓋の役目をし、剣で封印している。岩の下の魔気が増え過ぎると、蓋にひびが入る。ひびから漏れた魔気で周囲の動物達が汚染され、魔獣となる。」
「その魔獣を退治するんですね。では、ひびの入った蓋はどうなさるの?」
「刺さった剣は、岩全体的を保護する魔法陣が発動するんだ。魔気に押されて徐々に抜けてくるから、新たに刺し直す必要がある。」
「ヴィル様の本来のお役目は、剣を刺し直す方なんですね?」
「そうだ。その為のソードマスターだ。あの剣は、今のところ俺しか抜けない。三年前の赴任は、この為だったんだ。」
「ソードマスターだって、どうして分かったの?」
「神殿のお告げと聞いているが、実際には『やってみたら出来た』みたいないい加減な感じだと思う。失敗したら死ぬだけだし。俺は、皇帝にヘコヘコしたい父上が適当に送り込んだと見てる。」
「何て酷い話なんでしょう…悔しくて涙が出てくる。だって、その時のヴィル様は今の私と同じ位の歳でしょう?」
噛んだ唇から血が滲む。
「サラは、その時から俺の希望だったんだな。生きてあの子にまた会いたい!って思ったのは偶然じゃないかもしれない。その時から守っている領地で、サラと暮らせてるのも不思議だな。」
「生きて、出会って攫ってくださって、ありがとうございます。ヴィル様の幸せ、私が守りますね!」
「サラには敵わないな…」
ヴィル様は笑った。
全ての偶然は必然。
こんな言葉が頭に浮かんだ。
その後、ヴィル様は血の滲んだ私の唇をペロリと舐めて、抱き上げた。
どんなに大丈夫と言っても、森を出るまで下ろしてもらえなかった。
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