【完結】嫌われ悪女は俺の最愛 〜グレイシアとサイファの恋物語〜

紬あおい

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20.赤子を抱く悪女は聖女のよう

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「ヴェリティさまぁーーー!グレイシアが参りましたわっ!!」

エヴァンス公爵邸に到着すると、俺と馬は玄関先に取り残された。
グレイシアは、一目散にヴェリティ様の産んだ双子男児を見に走って行ったからだ。

「サイファ殿下、お疲れ様でございました。馬は預かります。」

「ファーガソン、ありがとう。グレイシアは俺のことなど眼中になかったな…」

「いえいえ、グレイシア様は殿下に感謝されている筈ですよ。
デルーミア王国からの道のりを普段の半分でお越しになられたのですから。
殿下、お子様にお会いになられましたら、食事や湯浴みの準備が出来ておりますので、お申し付けください。」

「ありがとう。助かるよ。」

(やっぱりファーガソンは良い人だなぁ!)

俺は疲れた体を引き摺るように、ヴェリティ様のお子達に会いに行った。

「サイファ、遅いじゃない!?見て見て、シェノンとリアンよ!可愛らしいわ!!」

確かに赤子は可愛い。
しかし、それに感極まっているグレイシアも可愛いのだ。

「エミリオン殿にもヴェリティ様にも似ているが、エヴァンスの子だな。」

「やっぱり!?私もそう思ったわ。リオラやリディアと並んでも、そっくりだと思うの。」

嬉々として赤子を見つめるグレイシアは、一人の世界に入って行ったようだ。
やれやれと俺が肩をすくめると、エミリオン殿が話し掛けてきた。

「サイファ、遠いところをありがとう。シェノンとリアンは、グレイシアの小さい頃にも似ているぞ?
サイファとグレイシアの子が産まれたら、こんな感じかもな。」

(俺とグレイシアの子!何人だって構わない!!)

「サイファ、お前、今物凄く不埒な顔をしている…
一応、義兄の前ではやめてくれないか?複雑な心境だ…」

「か、考え過ぎですよ、義兄上!」

「父上に会う時は、表情管理しろよ?」

「はい…」

俺とエミリオン殿の会話に、ふふふとヴェリティ様が吹き出していた。
赤子を産んだばかりの女性の美しさに、俺は一瞬目を奪われた。

「母とは…美しく気高いものなのですね…」

頭の中で考えたことが口から出ていたようで、エミリオン殿は深く頷いた。

「あのグレイシアも、きっと良い母になるだろう。
サイファ、あんな自称悪女のグレイシアだが、心根の優しい奴だ。大切にしてやってくれよ?」

「何度でも誓います。グレイシアは俺の最愛ですから。」

エミリオン殿としみじみ語り、グレイシアを見ると、赤子に蕩けそうな笑顔で微笑んでいた。

(あぁ、愛しい…グレイシア、大好きだ。)

エヴァンス公爵家のあたたかい雰囲気と、赤子を抱く聖母のようなグレイシアに、俺の胸はまたときめいた。
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