3 / 34
3.愛せないわけじゃない!?
しおりを挟むまたレリウスと会う日がやって来てしまった。
婚約解消の話は全く出ないままだ。
愛せない女と結婚する気持ちってどうなんだろうと思いながら、レリウスを待った。
「お待たせしてしまったかな?すまない。」
「いいえ、大丈夫です。今日はどちらへ?」
「まあ、ついて来て。」
この前の話など無かったことのように、普通に接してくる。
見た目によらず、変わった人なんだろうと思いながら、エスコートされ一緒に馬車に乗り込む。
「今日は隣に座って欲しい。」
「え…並んで座ったら狭いですよ?」
「いいから、来て!」
手を引っ張られ、無理矢理隣に座らせるレリウス。
(何を考えているのかしら…)
「前回の訂正をしてもいいだろうか?」
レリウスは、真剣な顔をしている。
「どうぞ。何でもお聞きしますわ。」
そこで聞いたのは、レリウスは他人に興味が持てないという話だった。
だから『結婚しても君を愛せない』ということらしい。
「あーそーですか。」
私は前回と同じ返事を繰り返す。
「どうして!どうして君はそんなに無関心なんだ?」
レリウスは、私の顔を覗きこんで口調を荒げる。
その目には怒りすら感じる。
「レリウス様と私は、他人に対して無関心なところが同じなのかもしれません。なのに、レリウス様は何故私には無関心で居られないのですか?」
レリウスがはっとする。
「何故だ…そう言えば、何故なんだろう…?」
動揺するレリウスをちょっと揶揄ってやろうと、私はいたずら心を発揮する。
「やだ、レリウス様。私のことが気になるのでは?もしかして好きになっちゃったとか!?」
レリウスは、片手で口元を覆い、ぷぃっと反対を向いた。
(え…!?お顔赤い?お耳真っ赤??)
しばらくレリウスは、そのまま窓の外を見ていたが、急にこちらを向いた。
「確かめたいことがある。ちょっと目をつぶってもらえないだろうか。」
「はい。」
ふわっと左頬に手が当たる感触がして、右耳朶は指でクニクニ挟まれた。
そして、唇にあたたかいものが触れた。
「な、何?」
喋った瞬間、口の中にぬるっとあたたかいものが入って来た。
(舌?ていうか、口付けされてる?)
くちゅ、くちゅと馬車に響く音と、生温かい舌の感触に、驚いて体が動かない。
何度も角度を変えた口付けに、いつしか酔いしれてしまう。
やっと解放された時は、あまりのドキドキに心臓が破裂しそうだった。
「何故…?」
「君だけは、俺の興味を唆る。君を愛せないわけじゃないかもしれない…」
そう言ってレリウスは私を抱き寄せた。
898
あなたにおすすめの小説
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
【完結】男装令嬢、深い事情により夜だけ王弟殿下の恋人を演じさせられる
千堂みくま
恋愛
ある事情のため男として生きる伯爵令嬢ルルシェ。彼女の望みはただ一つ、父親の跡を継いで領主となること――だが何故か王弟であるイグニス王子に気に入られ、彼の側近として長いあいだ仕えてきた。
女嫌いの王子はなかなか結婚してくれず、彼の結婚を機に領地へ帰りたいルルシェはやきもきしている。しかし、ある日とうとう些細なことが切っ掛けとなり、イグニスに女だとバレてしまった。
王子は性別の秘密を守る代わりに「俺の女嫌いが治るように協力しろ」と持ちかけてきて、夜だけ彼の恋人を演じる事になったのだが……。
○ニブい男装令嬢と不器用な王子が恋をする物語。○Rシーンには※印あり。
[男装令嬢は伯爵家を継ぎたい!]の改稿版です。
ムーンライトでも公開中。
私から何でも奪い取る妹は、夫でさえも奪い取る ―妹の身代わり嫁の私、離縁させて頂きます―
望月 或
恋愛
「イヤよっ! あたし、大好きな人がいるんだもの。その人と結婚するの。お父様の言う何たらって人と絶対に結婚なんてしないわっ!」
また始まった、妹のワガママ。彼女に届いた縁談なのに。男爵家という貴族の立場なのに。
両親はいつも、昔から可愛がっていた妹の味方だった。
「フィンリー。お前がプリヴィの代わりにルバロ子爵家に嫁ぐんだ。分かったな?」
私には決定権なんてない。家族の中で私だけがずっとそうだった。
「お前みたいな地味で陰気臭い年増なんて全く呼んでないんだよ! ボクの邪魔だけはするなよ? ワガママも口答えも許さない。ボクに従順で大人しくしてろよ」
“初夜”に告げられた、夫となったルバロ子爵の自分勝手な言葉。それにめげず、私は子爵夫人の仕事と子爵代理を務めていった。
すると夫の態度が軟化していき、この場所で上手くやっていけると思った、ある日の夕方。
夫と妹が腕を組んでキスをし、主に密会に使われる宿屋がある路地裏に入っていくのを目撃してしまう。
その日から連日帰りが遅くなる夫。
そしてある衝撃的な場面を目撃してしまい、私は――
※独自の世界観です。ツッコミはそっと心の中でお願い致します。
※お読みになって不快に思われた方は、舌打ちしつつそっと引き返しをお願い致します。
※Rシーンは「*」を、ヒロイン以外のRシーンは「#」をタイトルの後ろに付けています。
ワケあってこっそり歩いていた王宮で愛妾にされました。
しゃーりん
恋愛
ルーチェは夫を亡くして実家に戻り、気持ち的に肩身の狭い思いをしていた。
そこに、王宮から仕事を依頼したいと言われ、実家から出られるのであればと安易に引き受けてしまった。
王宮を訪れたルーチェに指示された仕事とは、第二王子殿下の閨教育だった。
断りきれず、ルーチェは一度限りという条件で了承することになった。
閨教育の夜、第二王子殿下のもとへ向かう途中のルーチェを連れ去ったのは王太子殿下で……
ルーチェを逃がさないように愛妾にした王太子殿下のお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる