23 / 34
23.2人の休日 ③
管理人にお弁当を作ってもらい、レリウスと湖に向かった。
観光地化していないので、この美しい景色をニ人で堪能出来る。
野うさぎがあちこちに居て、私達を警戒しているのか、尻尾を立てて裏の白い毛が見えている。
「レリウス様は知ってる?うさぎさんは怪しい存在を見つけると、尻尾を立てて仲間に知らせるのよ。だから、どの色のうさぎさんも尻尾の裏側は白いの。白うさぎはどうやって警戒するか分からないけど…」
「そうなのか!知らなかったよ。リリは雑学王なのか?ふふっ。」
「たまたま本で読んだだけよ。」
まさか、外に出れば『釣り合わない婚約者』と言われたくなくて、本ばかり読んでいたとは言えない。
うさぎの本は気晴らしに読んでいた。
私自身も、その頃に比べて随分と変わった。
湖に着くと、別荘を出発した時よりも風が少し出て来た。
レリウスに手を貸してもらって、準備されたボートに乗り込む。
「リリ?乗った瞬間からオールを離さないけど、リリには無理だからな?風もあるし、オールを寄越しなさい。」
むぅっとする私に大笑いしながら、レリウスはボートを漕ぎ出した。
やっぱり力では敵いそうにないけど、男らしさを感じて顔が赤くなった気がした。
そんな私をレリウスは得意げな顔で見てくる。
(何か悔しい…今夜、覚えときなさいよ?ふふふ…)
「リリ、むくれたり、赤くなったり、企んだ顔したり、忙しいな!」
(バレてる?この人、鋭い!)
「俺のこと、鋭いって思っただろ?こんだけ一緒に居たら、大体のことは分かるようになったぞ?」
揶揄われている間に、湖の中央まで来ていた。
「ほら、リリ。見渡してごらん、綺麗だから。さっきから俺の顔しか見てないじゃん?そんなに俺の顔が好きか!」
「もぅ恥ずかしいからやめて!好きです、顔も中身も全部!!」
プイッと横を向いて拗ねてみたが、横目でチラ見するとレリウスがオールを置いて、片手で顔を覆っている。
「揶揄っといて照れるの、やめてください…もぅ、あなたって人は…」
「ボートじゃなければ……押し倒してた…」
それは、私も同じと思ったことは秘密にしておこう。
この後は、岸に戻り、お弁当を食べ、湖を眺めながらまったりした。
肩を寄せ合って、たまに見つめ合って、くすくす笑って。
特に会話が無くても、青空とキラキラした湖とのんびり流れる時間があれば幸せだ。
あなたにおすすめの小説
【4話完結】 君を愛することはないと、こっちから言ってみた
紬あおい
恋愛
皇女にべったりな護衛騎士の夫。
流行りの「君を愛することはない」と先に言ってやった。
ザマアミロ!はあ、スッキリした。
と思っていたら、夫が溺愛されたがってる…何で!?
ワケあってこっそり歩いていた王宮で愛妾にされました。
しゃーりん
恋愛
ルーチェは夫を亡くして実家に戻り、気持ち的に肩身の狭い思いをしていた。
そこに、王宮から仕事を依頼したいと言われ、実家から出られるのであればと安易に引き受けてしまった。
王宮を訪れたルーチェに指示された仕事とは、第二王子殿下の閨教育だった。
断りきれず、ルーチェは一度限りという条件で了承することになった。
閨教育の夜、第二王子殿下のもとへ向かう途中のルーチェを連れ去ったのは王太子殿下で……
ルーチェを逃がさないように愛妾にした王太子殿下のお話です。
勘違い妻は騎士隊長に愛される。
更紗
恋愛
政略結婚後、退屈な毎日を送っていたレオノーラの前に現れた、旦那様の元カノ。
ああ なるほど、身分違いの恋で引き裂かれたから別れてくれと。よっしゃそんなら離婚して人生軌道修正いたしましょう!とばかりに勢い込んで旦那様に離縁を勧めてみたところ――
あれ?何か怒ってる?
私が一体何をした…っ!?なお話。
有り難い事に書籍化の運びとなりました。これもひとえに読んで下さった方々のお蔭です。本当に有難うございます。
※本編完結後、脇役キャラの外伝を連載しています。本編自体は終わっているので、その都度完結表示になっております。ご了承下さい。
冷遇された妻は愛を求める
チカフジ ユキ
恋愛
結婚三年、子供ができないという理由で夫ヘンリーがずっと身体の関係を持っていた女性マリアを連れてきた。
そして、今後は彼女をこの邸宅の女主として仕えよと使用人に命じる。
正妻のアリーシアは離れに追い出され、冷遇される日々。
離婚したくても、金づるであるアリーシアをそう簡単には手放してはくれなかった。
しかし、そんな日々もある日突然終わりが来る。
それは父親の死から始まった。
【短編集】 白い結婚でしたよね? 〜人見知りな夫の過剰な愛〜
紬あおい
恋愛
「君とは白い結婚で、期間は二年だ。その後は俺の意思に従ってもらう。」
そう言ったのはあなたなのに。
その理由がまさかの◯◯◯◯って!?
おかしな夫に振り回される妻のお話です。
短編として掲載したもの三話をまとめています。
抱かれたい騎士No.1と抱かれたく無い騎士No.1に溺愛されてます。どうすればいいでしょうか!?
ゆきりん(安室 雪)
恋愛
ヴァンクリーフ騎士団には見目麗しい抱かれたい男No.1と、絶対零度の鋭い視線を持つ抱かれたく無い男No.1いる。
そんな騎士団の寮の厨房で働くジュリアは何故かその2人のお世話係に任命されてしまう。どうして!?
貧乏男爵令嬢ですが、家の借金返済の為に、頑張って働きますっ!