5 / 50
5.洞窟での夜
しおりを挟む沐浴の後、ジークフリードは火を起こし、レナリアの髪を乾かし、体を温めた。
そして、洞窟で寝る準備をした。
レナリアが快適に眠れるようにと思ったが、ここは洞窟。
どうしたもんかと悩んでいると、レナリアが言った。
「ジークの服を敷いて寝ましょう。そして、ジークは私を抱っこして眠るのです。」
ジークフリードは、しばし考え、素っ頓狂な声を出した。
「はぃぃぃ!?」
「だーかーらー、ジークに抱っこされて寝るって言ってるの!」
ジークフリードは思った。
(お嬢様は俺を試しているのか…?理性が何処まで保つんだろう…いや、俺を男として見ていないのか?ああ、そっちなのか。そうだよな、たかが護衛だしな。この無自覚なお嬢様に付き合えるのは、きっと俺だけだろうな…)
「分かりました。お嬢様、こちらへどうぞ。念の為に言っておきますが、寝心地は保証しませんよ?」
「分かってるって!今夜は、寝られればいいわ。」
するんとジークフリードの胸に収まり、レナリアは、にこにこしている。
キラキラした瑠璃色の瞳とあまりの可愛さに理性が飛びそうになるが、ジークフリードは耐えた。
「お嬢様、何故笑顔!?」
「ジークがあったかいし、抱かれ心地も良いから。」
「俺も一応男ですから、過度にくっ付かないでくださいね?」
「大丈夫よ。私は気にしないわ。それにジークの匂い好きよ。香水も付けていないのに、何か落ち着く…」
ジークフリードは、頭がクラクラしてきた。
体も、今まで経験したことのない熱さを感じる。
(お嬢様、何故に話が通じない?気にしないわって、俺は気になるんだが……まあ、いっか。とことん付き合うんだから、いろいろあるよな。お嬢様の我儘に付き合うって言ったんだし、こうなりゃ何でも来い!)
ジークフリードの思いを他所に、レナリアはすやすや寝息を立て始めた。
チラリと覗き見ると、あどけない顔で寝ている。
(俺と二歳しか変わらないのに…あいつのせいで、お嬢様は苦労したんだろうなぁ…もう大丈夫だよ。俺が傍に居るから、ゆっくりお休み、レナリア。)
口には出せないレナリアの名前を、ジークフリードは心の中で呟いた。
そして、何故か胸の奥がきゅーっと締め付けられた。
(何だ?この痛みは…)
ジークフリードも初めて知る痛みに戸惑いながらも、悪くないと思った。
寧ろ、胸に抱いたレナリアを見つめながら、この安らぎが続くようにと願った。
691
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
結婚後、訳もわからないまま閉じ込められていました。
しゃーりん
恋愛
結婚して二年、別邸に閉じ込められていたハリエット。
友人の助けにより外に出ることができ、久しぶりに見た夫アルバートは騎士に連行されるところだった。
『お前のせいだ!』と言われても訳がわからなかった。
取り調べにより判明したのは、ハリエットには恋人がいるのだとアルバートが信じていたこと。
彼にその嘘を吹き込んだのは、二人いたというお話です。
もう、今更です
ねむたん
恋愛
伯爵令嬢セリーヌ・ド・リヴィエールは、公爵家長男アラン・ド・モントレイユと婚約していたが、成長するにつれて彼の態度は冷たくなり、次第に孤独を感じるようになる。学園生活ではアランが王子フェリクスに付き従い、王子の「真実の愛」とされるリリア・エヴァレットを囲む騒動が広がり、セリーヌはさらに心を痛める。
やがて、リヴィエール伯爵家はアランの態度に業を煮やし、婚約解消を申し出る。
砕けた愛
篠月珪霞
恋愛
新婚初夜に男に襲われた公爵令嬢エヴリーヌは、不義密通の罪を被せられた。反逆罪に問われた彼女の一族は処刑されるが、気付くと時間が巻き戻っていた。
あなたへの愛? そんなものとうに、砕け散ってしまいました。
ローザリンデの第二の人生
梨丸
恋愛
伯爵令嬢、ローザリンデの夫はいつも彼女より仕事を優先させ、彼女を無碍にしている。
彼には今はもういない想い人がいた。
私と結婚したことにいい思いをしていないことは知っていた。
けれど、私の命が懸かっていた時でさえも、彼の精神は変わらなかった。
あなたが愛してくれないのなら、私は勝手に幸せになります。
吹っ切れたローザリンデは自分自身の幸せのために動くことにした。
※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。)
1/10 HOTランキング1位、小説、恋愛3位ありがとうございます。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる