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5.洞窟での夜
しおりを挟む沐浴の後、ジークフリードは火を起こし、レナリアの髪を乾かし、体を温めた。
そして、洞窟で寝る準備をした。
レナリアが快適に眠れるようにと思ったが、ここは洞窟。
どうしたもんかと悩んでいると、レナリアが言った。
「ジークの服を敷いて寝ましょう。そして、ジークは私を抱っこして眠るのです。」
ジークフリードは、しばし考え、素っ頓狂な声を出した。
「はぃぃぃ!?」
「だーかーらー、ジークに抱っこされて寝るって言ってるの!」
ジークフリードは思った。
(お嬢様は俺を試しているのか…?理性が何処まで保つんだろう…いや、俺を男として見ていないのか?ああ、そっちなのか。そうだよな、たかが護衛だしな。この無自覚なお嬢様に付き合えるのは、きっと俺だけだろうな…)
「分かりました。お嬢様、こちらへどうぞ。念の為に言っておきますが、寝心地は保証しませんよ?」
「分かってるって!今夜は、寝られればいいわ。」
するんとジークフリードの胸に収まり、レナリアは、にこにこしている。
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「お嬢様、何故笑顔!?」
「ジークがあったかいし、抱かれ心地も良いから。」
「俺も一応男ですから、過度にくっ付かないでくださいね?」
「大丈夫よ。私は気にしないわ。それにジークの匂い好きよ。香水も付けていないのに、何か落ち着く…」
ジークフリードは、頭がクラクラしてきた。
体も、今まで経験したことのない熱さを感じる。
(お嬢様、何故に話が通じない?気にしないわって、俺は気になるんだが……まあ、いっか。とことん付き合うんだから、いろいろあるよな。お嬢様の我儘に付き合うって言ったんだし、こうなりゃ何でも来い!)
ジークフリードの思いを他所に、レナリアはすやすや寝息を立て始めた。
チラリと覗き見ると、あどけない顔で寝ている。
(俺と二歳しか変わらないのに…あいつのせいで、お嬢様は苦労したんだろうなぁ…もう大丈夫だよ。俺が傍に居るから、ゆっくりお休み、レナリア。)
口には出せないレナリアの名前を、ジークフリードは心の中で呟いた。
そして、何故か胸の奥がきゅーっと締め付けられた。
(何だ?この痛みは…)
ジークフリードも初めて知る痛みに戸惑いながらも、悪くないと思った。
寧ろ、胸に抱いたレナリアを見つめながら、この安らぎが続くようにと願った。
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