【完結】 その身が焼き切れるほどの嫉妬をあなたにあげる

紬あおい

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6.新しい家

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翌朝、レナリアはジークフリードとノックスに乗り、途中の村で食事を取ることにした。
すっかり焼き魚にハマったレナリアは、食堂でも魚料理に舌鼓を打っていた。

「ジークのおかげで、お魚が大好きになったわ!ここのも美味しい。ところで、ジークはこの辺りに土地勘があるの?迷わず此処に来たわよね?」

「土地勘…まあ、あるっちゃありますかね?お嬢様が泊まりで皇子妃教育の時に俺の休みが被ると、よくノックスとあちこち行ってたんで。この後は、俺の家に行きますよ。」

「えっ!?俺の家?」

「はい。俺の家です。お嬢様が皇子妃になったら、俺は騎士を辞めるつもりだったので。そうなると住む場所に困るじゃないですか。だから、お嬢様の護衛になってからの給金は全部貯めといて、最近小さな家を買ったんですよ。公爵様は衣食住全ての面倒を見てくださったので、正直、俺は欲しい物も無かったから、金を使うことも無かったし。だから、騎士を辞めたら、自給自足で暮らそうと思ってました。」

ジークフリードの意外な未来予想図に、レナリアは心底驚いた。
そもそもレナリアはジークフリードと離れることを一度も考えたことが無かったのだ。

「ジークは私の護衛を辞めることを考えていたの…?」

「まあ、何れは…皇子妃の護衛は殿下が選ぶでしょうから。でも、今こんなことになってるって不思議ですね。」

「うん…ごめんね、ジークを道連れにして…他の人は考えてもみなかったから…ジークは一緒に居てくれるって、勝手に思ってた…」

「いいんですよ。嫌なら断ってるし。さあ、食べたら俺の家に行きますよ!」

ジークフリードは、レナリアが自分以外の騎士を付けることを露ほども考えていなかったと知って、この上なく嬉しかった。
騎士として主人であるレナリアに仕え、絶大な信頼を得ていたことが誇らしかった。

そして、夕陽が赤く色付く頃、ジークフリードの家に着いた。
山小屋のような家を想像していたが、実際には白い家で、貴族の別荘のような家だった。

「素敵なお家ね。」

「公爵邸に比べたら小さいですけど、部屋は一応五つあるんで。ただ使用人は雇ってないので、俺が全部やります。ご不便をお掛けしますが、すみません。」

ジークフリードは、いつまでもレナリアの使用人のつもりらしい。
レナリアは、それが不満だった。

「ジーク?私は、もうお嬢様じゃないんだから!私にもいろいろ教えて?ジークに頼ってばかりじゃ追い出されちゃうわ。」

「あはは!何もしないからって追い出したりしませんよ。でも、手伝ってくれたら嬉しいです。少しずつ、お教えします。」

ジークフリードは優しく笑った。
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