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21.兄と弟
しおりを挟むワインとチーズを持ち、キルリードはジークフリードを訪れた。
ジークフリードは、快く迎え入れる。
「一緒に飲むのは初めてだな。ジークは十三歳で出て行ってしまったし。せめて、ひと言でいいから何か言ってから出て欲しかったのにな…」
キルリードは寂しそうに言った。
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「いや、いいんだ。俺達のせいだ。コモンズ侯爵の悪事に気付いて阻止していたら、今もジークは…」
その頃、公子妃を選定する為に、クロムウェル大公邸で定期的にお茶会やパーティを頻繁に開催していた。
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ジークフリードは十二歳、ヴァネッサは十四歳だった為、体の関係を持つには至らなかったが、キルリードが発見した時はあられもない姿でジークフリードは気絶していた。
コモンズ侯爵は、公国の鉱山を狙い、公子のどちらかと結婚すれば私腹を肥やせると考えていた。
なので、競争率の高いキルリードよりもジークフリードに狙いを定めたのだ。
その事件で、コモンズ侯爵家は一族郎党島流しとなり、今では誰一人生存していない。
そして、事件の一年後、ジークフリードは誰にも告げず、公国を去った。
そして、身分を隠して傭兵となり、ある日セルフォート公爵と出会ったのだ。
「兄上のせいではありませんよ。俺にも隙があったのでしょう。それに、次期大公は兄上こそが相応しい。居なくなったのは、不要な争い事を避ける為です。」
「いや、ジークこそ次期大公に相応しい。お前の視野の広さや柔軟さ、強くて優しいところまで、何一つ敵わない…」
「それは買い被りだ。あはは!」
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「兄上、俺名義の鉱山三つ利用させてもらうからな。」
「ああ、好きにしろ。ジークの物だ。父上も母上も文句は言わないだろう。そして、レナリア嬢にはそれ以上の価値があるのだな?」
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ジークフリードはきっぱりと言った。
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