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29.結婚前夜
しおりを挟むレナリアとジークフリードは穏やかな日を過ごし、翌日の結婚式の準備も整った。
間に合わないと思っていた結婚指輪まで手元に届いた。
「ねぇ、ジーク。何で指輪まで仕上がってるの?」
「俺に出来ないことは殆ど無い。流石に全ては無理だがな。くくっ。」
「それって、まさか公国の力を…?」
「うん?だって、宝石の仕入れ先って、殆どがクロムウェルだろう?」
「脅したのね…あのお店を…」
「違う、違う、今後の円滑な取り引きの為だよ。」
ジークフリードはとても良い笑顔で笑って、レナリアを抱き寄せた。
「レナリアの為なら何でもやるぞ?」
甘い囁きにレナリアは蕩けそうになる。
ジークフリードはレナリアには敵わないと言うが、レナリアからするとジークフリードは無敵だと思った。
「そう言えば、結婚式の後はしばらく俺の家に住まないか?ホルヘン陛下の誕生パーティまでは帝国に居なきゃいけないだろうし。パーティに出て、翌日には公国に出発するスケジュールでどうだろう?」
「いいわね!二人でゆっくりしたいし。公国への新婚旅行から帰っても、あの家に住みたいなぁ…執務室の分室を作っちゃう?ジークが公爵を継ぐには、まだ時間もあるし。お父様には長く務めてもらいましょうかしらね。ふふふ。」
「それは相談だな。家族となるんだから、きちんと相談しなくてはな。まあ、可愛いレナリアのお願いを公爵様が断われる気はしないが。くくっ。」
ジークフリードと一緒に居ると、だんだんと考え方が似てくるなと、レナリアは思った。
以前のレナリアなら、公爵家を出ることすら考えなかった。
しかし、ジークフリードの家で暮らした日々はレナリアを変えた。
公式の場でいつでも淑女には戻れるだろうが、レナリアはジークフリードと居る時の自分が好きだ。
「レナリア、何を考えていた?少しぼーっとしてたぞ?」
「えっ?あぁ…私、ジークと居るから自分らしさを取り戻したなぁって考えてたの。今、凄く楽しいわ。」
「確かに、昔よりイキイキしてるな。護衛騎士の時は、本当に貴族のお嬢様って感じでスカしてたし。俺は今のレナリアが大好きだ。大笑いして、よく食べて、一緒に居ると幸せだ。そんなレナリアと明日結婚式とか、嬉し過ぎる!」
「私も楽しみだわ。ジーク、絶対カッコいいわね。」
「きっとレナリアのウェディングドレスも綺麗だよ。でも、二人だけの結婚式でいいのか?公国でも挙式するとしても、公爵様や夫人に見てもらいたくないか?」
「お父様もお母様も納得してるわ。帝国では静かにしていた方がいいって。その代わり、クロムウェルに行ったら盛大にやりましょう。」
「分かった。本当は結婚式が終わったら、すぐにでもクロムウェルに発ちたかったけどな。まあ、陛下の誕生パーティまでは仕方ない。また俺の家で料理しような。」
「俺のじゃなくて、俺達の家でしょう?またパンも焼きましょうね。」
「ああ、いろいろ楽しみだな。」
こうして、結婚前夜でもレナリアとジークフリードは、いつも通りに会話し、寄り添って寝た。
ジークフリードの鋼のメンタルが解放されるまで、あと少し。。。の筈。
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