【完結】 言葉足らずな求婚 〜運命は勝手に回っていく、いや操られていく!?〜

紬あおい

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30.抜けた…

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「聖剣て何ですか?」

私の問い掛けに殿下が説明してくれた。
皇宮内には聖地と呼ばれる区画があり、そこには一本の剣が祀ってあり、剣に選ばれた者しか引き抜けない。
その剣を引き抜き、手にした者は、魔力とソードマスターとして破壊王の力を手に入れるという神話がある。
陛下や殿下は試してみたがダメだったそうだ。

しかし、システイン様は普段は剣を握らないが、実はかなりの腕前だそうで、もしかしたら可能性があるかもしれないと殿下も陛下も考えていたそうだ。

システイン様としては、厄介なだけなので今までは無視していたらしい。

「剣とロクサリア王女様と何の関係があるんですか?」

「あの女の我儘次第で戦争になりかねないからな。その位、非常識で男好きで悪どいんだ。黒魔法の使い手との噂もある。他国では無理矢理別れさせられた恋人同士が命を断ったり。そのくせ、すぐ男に飽きて捨てるんだよ。うちに来る度、シスにちょっかい出して、そろそろシスがキレてもおかしくない位だからな…」

システイン様は、かなり怒っている。
恐らく、私の心配もしている。

「あの国の王も、あの女なら葬っても文句言わないだろ?あとは殿下が何とかしろ。」

「あの王国自体も黒魔法で悪事を働いているみたいな疑惑があるからな…最悪、滅ぼしても、とも思わなくもないが。でも、そこまでいかないことを祈ってるよ。」

殿下は難しい顔で考え込んでいた。

そして、聖地と呼ばれる区画に着いた。
一見、騎士が持つ普通の剣に見える。
派手な飾りもないし、至って普通だ。

「シス、やってみて。」

殿下に言われて、システイン様は剣を引き上げようとしたが、びくともしない。

「ほら、無理だって!」

システイン様が呆れ顔で笑う。

「これで、リシェル嬢が抜いたらウケるなぁ!」

殿下が大笑いし、システイン様も「まさか」な顔をする。

「じゃ、やってみます。でも、引き抜くには身長が足りないみたいですから、シス、一緒にやりましょう?」

システイン様は「可愛い奴め!」みたいな顔をしている。

一緒に剣を握り、せーの!で持ち上げたら、抜けた…
システイン様一人の時は、結構な力でも抜けなかったのに、二人でやったらスルリと抜けた。

「で、で、殿下、抜けましたわよ?」

同時に、剣が金色の光を放ち、私とシステイン様を包んだ。
あたたかい春風のようなオーラを身に纏ったような心地良さだ。

『この剣を手にした者達よ。この剣は殺戮を目的とする者には抜けん。愛し合う者達だけにその資格が与えられ、愛するものを守る為だけにこの剣は存在する。そなた達は、この剣により魔力を得た。自らの選択で正しい道を歩むがよい。』

声だけが聞こえてきた。
しかも、物凄いことを言われた。
私達?システイン様だけでなく?

「シス、今の何?」

「俺にも分からん。オーラみたいなやつも消えたな。」

取り敢えず、剣が抜けたということは、この先使うような事態が起こるということなのか。

「殿下、今の聞こえたよな?どうしてくれるんだ!?俺達、穏やかに暮らしたいんだけど?」

「き、聞こえた…ただの神話じゃなかったんだな…ちょっと陛下にも相談してくる。追って連絡する。」

私とシステイン様より、殿下の方がショックを受けていたようだ。
皇族の血筋でも抜けなかった剣がシステイン様と私に抜けたからか。

取り敢えず、システイン様と私は、二人で聖剣とか魔力とか調べることにした。

「どう考えても、シスがソードマスターよね?私じゃなくて。」

「ぷぷっ、リシェがソードマスターなら面白いかもな!」

この時はまだ冗談を言って笑えたが、のちに笑えない状況が待っていた。
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