【完結・外伝更新】 「貴様との婚約は破棄する」から始まった私達

紬あおい

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57.世界を変える程の愛

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リーチェママ   エリザベスの難産と赤ちゃんに障害が残ったら?と仮定したお話が出て来ます

出産等に何らかのトラウマや思うことがある方は、ここでブラウザバックをお願い致します

あくまでも緩い設定の創作物のお話ですので、ご自身のご判断でお願い致します
        m(_ _)m


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




















「リーチェェェー!無事かっっっ!?」

駆け付けた父のディーゼルは、真っ先に私の顔を見た。

「お産は長かったし痛かったけど、意外と元気よ。お父様、急いで来てくれて、ありがとう。」

「当たり前だ!可愛い娘と息子のお子が産まれたのだ。仕事なんかしていられるかっ!!あああぁぁ…無事で良かった…」

はあはあ荒い息遣いの父は、へなへなと床に座り込んだ。
そして、呼吸を整え、椅子に座り直した父は、クリストファーから差し出されたお包みのアイザックを、愛おしげに胸に抱いた。

「こりゃまた、クリストファーそっくりだな。
紛れもなく皇室の血筋だ……あっ、でも、耳はヴァーミリアン公爵家だな。耳朶が大きくて、上がちょっとだけ尖ってる。」

(また…耳かよ…?しかも、詳細説明付き…)

それでも、アイザックを抱き締め、涙目の父を見ていると、孫が見せられて良かったと思う。
今の父を見ていると、孫は男の子でも女の子でも関係ないのだろうと思えた。

「もう!ディーゼルったら私を置いて馬車から飛び降りたのよ!?信じられないわ!!」

ひと足遅れて、母のエリザベスが部屋に入って来た。

「リーチェ、お疲れ様。よく頑張ったわね。」

私の手を握り、母は穏やかに微笑む。

「お母様、ありがとう。アイザックと名付けたの。抱いてあげて?」

「まあ、素敵な名前ね!笑顔をもたらす子!!って、男二人、泣いてるけど!?」

「ふふふ、お父様もクリストファー様も、既にアイザックにめろめろね。」

そんな二人をそのままにして、母は私にそっと打ち明けた。

「リーチェが不安になると思って、黙っていたのだけど…
私はね、リーチェの時、難産だったの。
頭は出て来たのだけど、肩が引っ掛かってしまって、リーチェも私も命を落とし掛けたの。
その時、私はリーチェを助けてとお願いしたのだけど、お父様は決して諦めずに、私と子の二人を助けてくれって、医者に懇願してね。
医者の決断は、赤子の肩を外して、私から引き摺り出すってことだったの。
このままだと、裂けて出血多量で私が死ぬか、圧迫され続けて子が窒息するか、だと。
そしたら、お父様は『俺がやる!』って言い出して…」

「えっ!?赤ちゃんの肩を外す?」

「そう、無茶苦茶でしょう?
お父様は、医療の知識も皆無のド素人よ??
でも、医者に二人を助けるには、それしかないって言われて。
その時、お父様は叫んだの。
愛する家族の命を誰かに託す位なら俺がやる!って。
片腕が不自由になろうと、俺が子を守っていけばいい話だと断言したの。
生きてさえいればいい、不自由を感じさせない世界を俺が創る!って。
今思い返せば、そんな阿呆なって話だけど、お父様は本気でやり遂げる覚悟をしていたわ。
でも、結局は私の骨盤をお父様が上手いことぐりっと押して、リーチェがくるりと回って出て来たの。
その瞬間、私は急に楽になったし、リーチェは元気な産声を上げて、肩も無事だったわ。
でもその時、お父様は泣きながら『子は一人でいい!女の子だろうと必ず幸せにするし、婿を取ればいい!!』って言ってくれたの。
お父様が思い切りの良い阿呆で、本当に良かったわ。ふふふっ!」

産まれてから、ずっと父に守られ、愛されてきた自覚はあったが、まさか産まれ出る前から、こんなにも愛されていたのだと思うと、泣けた。

私の父は、私の為に世界をも変える覚悟で生きているのだ。
世界中の人があざ笑っても、きっと父は本気でそう思い、実現しそうな気がする。

そして、いつも私の為に何が出来るか考えている私の夫も、きっと父と同じなのだろう。

アイザックが産まれた日、私は家族を愛するということを改めて胸に刻んだのだった。
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