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20.やべぇ奴ら
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三日後、殴られた顔の腫れも引き、体の痛みは治った。痣は紫色から少し変色して、黄色い縁取りが出来ている。
その間、私の世話の全てをイザークがしてくれた。
泣きそうな位に断っても、排泄まで着いてきた。
この人の溺愛は、とどまるところを知らないらしい。
そして今日、イザークは私を連れて、ローザンヌ公爵邸に行く。
久しぶりに父や母に会うような気がする。
私が襲われたことは当然伝わっており、公爵邸に到着すると、母のウィリスがすっ飛んできた。
「メイちゃんっ!あなた、大丈夫なの!?怖かったわね!!」
玄関から走って来たところを見ると、余程心配したのだろう。
ガシッと抱き締められ、痛いとは言えない状況に苦笑いが出る。
「まずは、中へ。」
父のカールは、相変わらず落ち着いた雰囲気で、応接室へ促す。
今日は、兄のジョルジュと護衛のカルロスも同席するようだ。
応接室に入るなり、私をソファに座らせ、イザークは土下座する。
「大切に、幸せにすると約束したのに、こんなことに巻き込んで、申し訳ありません!」
床に額が付く位のイザークの謝罪に、父が驚いた。
「顔を上げなさい。自分の娘が巻き込まれるとは考えていなかったが、世間的にはよくある話だ。ましてや、スヴェンセン公爵家ならば、想像していなかった私達も甘かったのだと思う。君一人が悪い訳ではない。」
「そうよ。メイちゃんは無事だったんだから、こちらに座りなさい。」
イザークは申し訳なさそうに、私の隣に座った。
「さて、ベルク公爵家のド阿呆二人はどうする?」
それまで黙っていたジョルジュは、ニヤリと笑う。
絶対何か企んでる、物凄くいい笑顔だ。
「スヴェンセン、ローザンヌを敵に回した奴らだからな。財力か?武力か?どちらでいこうか。」
無表情がデフォルトの父が笑ったのを見て、寝た子ではなく、やべぇ奴を起こした気がする。
やべぇ奴の息子も負けずにやべぇ。
「俺の仕事、何だか分かってんのかな?伊達に外交官やってる訳じゃないんだよなぁ。取り敢えず、ティアリアは、隣国の加虐趣味の若造に嫁がす?ドン引きする程、変態らしいぜ。」
部屋の隅に立っていたカルロスが背を向ける。
いつかのデジャヴかしら。
「それはいいわね!ジョルジュちゃん、それでいきましょう!」
母までおかしい。
カルロスの肩は揺れている。
声を出さずに、あんなに笑えるのも凄い子だ。
「サイラスはどうしようかなー。しばらく男娼の館で働いてもらう?ほら、外交官て接待あるじゃん?贔屓にしてる所だから、即採用だぞ?あ、実行犯の糞野郎は、既にそこで客取らせてるから!なかなか筋がいいらしくて、人気の男娼らしいぜ。くっくっくっ。」
(お兄様、怖っ!イザークが脂汗かいてそうだわ…)
「お兄様、そんなことして大丈夫なの?いろいろしてくれるのは、ありがたいけど…」
そこでイザークも口を開いた。
「問題ない。本来なら処刑したいところだが、ジョルジュ殿の案で進めたい。うちの父上も協力すると言っていたので、これ以上、メイに不安な思いをさせることなく片付くでしょう。」
うちの家族だけでなく、未来の夫もやべぇ人だった。
しかも、凄いこと言いながら顔が良い。
やっとこちらを向いたカルロスは、イザークをじっと見つめていた。
その間、私の世話の全てをイザークがしてくれた。
泣きそうな位に断っても、排泄まで着いてきた。
この人の溺愛は、とどまるところを知らないらしい。
そして今日、イザークは私を連れて、ローザンヌ公爵邸に行く。
久しぶりに父や母に会うような気がする。
私が襲われたことは当然伝わっており、公爵邸に到着すると、母のウィリスがすっ飛んできた。
「メイちゃんっ!あなた、大丈夫なの!?怖かったわね!!」
玄関から走って来たところを見ると、余程心配したのだろう。
ガシッと抱き締められ、痛いとは言えない状況に苦笑いが出る。
「まずは、中へ。」
父のカールは、相変わらず落ち着いた雰囲気で、応接室へ促す。
今日は、兄のジョルジュと護衛のカルロスも同席するようだ。
応接室に入るなり、私をソファに座らせ、イザークは土下座する。
「大切に、幸せにすると約束したのに、こんなことに巻き込んで、申し訳ありません!」
床に額が付く位のイザークの謝罪に、父が驚いた。
「顔を上げなさい。自分の娘が巻き込まれるとは考えていなかったが、世間的にはよくある話だ。ましてや、スヴェンセン公爵家ならば、想像していなかった私達も甘かったのだと思う。君一人が悪い訳ではない。」
「そうよ。メイちゃんは無事だったんだから、こちらに座りなさい。」
イザークは申し訳なさそうに、私の隣に座った。
「さて、ベルク公爵家のド阿呆二人はどうする?」
それまで黙っていたジョルジュは、ニヤリと笑う。
絶対何か企んでる、物凄くいい笑顔だ。
「スヴェンセン、ローザンヌを敵に回した奴らだからな。財力か?武力か?どちらでいこうか。」
無表情がデフォルトの父が笑ったのを見て、寝た子ではなく、やべぇ奴を起こした気がする。
やべぇ奴の息子も負けずにやべぇ。
「俺の仕事、何だか分かってんのかな?伊達に外交官やってる訳じゃないんだよなぁ。取り敢えず、ティアリアは、隣国の加虐趣味の若造に嫁がす?ドン引きする程、変態らしいぜ。」
部屋の隅に立っていたカルロスが背を向ける。
いつかのデジャヴかしら。
「それはいいわね!ジョルジュちゃん、それでいきましょう!」
母までおかしい。
カルロスの肩は揺れている。
声を出さずに、あんなに笑えるのも凄い子だ。
「サイラスはどうしようかなー。しばらく男娼の館で働いてもらう?ほら、外交官て接待あるじゃん?贔屓にしてる所だから、即採用だぞ?あ、実行犯の糞野郎は、既にそこで客取らせてるから!なかなか筋がいいらしくて、人気の男娼らしいぜ。くっくっくっ。」
(お兄様、怖っ!イザークが脂汗かいてそうだわ…)
「お兄様、そんなことして大丈夫なの?いろいろしてくれるのは、ありがたいけど…」
そこでイザークも口を開いた。
「問題ない。本来なら処刑したいところだが、ジョルジュ殿の案で進めたい。うちの父上も協力すると言っていたので、これ以上、メイに不安な思いをさせることなく片付くでしょう。」
うちの家族だけでなく、未来の夫もやべぇ人だった。
しかも、凄いこと言いながら顔が良い。
やっとこちらを向いたカルロスは、イザークをじっと見つめていた。
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