【完結】 心だけが手に入らない 〜想い人がいるあなたは、いつか私を見てくれますか?〜

紬あおい

文字の大きさ
8 / 12

8.新婚旅行 ⑤ *

しおりを挟む

熱が下がり、公爵様の別邸を出発する時は、ベンソンとナタリーの老夫婦だけがお見送りしてくれた。

私が寝た振りを続けている間に、何らかの話し合いがあったのか、なかったのか、正直今はどうでもいい。
新婚旅行になるのか、離縁旅行になるのか、そちらの方が気になっている。

でも、せっかくの旅行だ。
どちらにしろ楽しい思い出を作ろうと思っている。

そして、馬車で走ること二日後、やっと海辺の別荘に着いた。
別荘から直に行ける長い海岸線の砂浜。
穏やかに打ち寄せる白波。
ささくれ立った心を癒すにはもってこいだ。

「フィーロ様、素敵な所ですね!」

「そうだろう?俺の好きな場所だ。きっとレイも気に入ると思って、ここにしたんだ。」

「凄く気に入りました!波打ち際で遊びたいです。」

「早速行くか?」

フィーロは笑って、私の手を掴んで走り出した。

「ちょっと待って!早い、早いです!!フィーロ様?」

「様は要らない。フィーロでいい!」

走りながら、フィーロは言った。

靴を脱ぎ、服の裾を捲り、私とフィーロは波打ち際ではしゃいだ。
まだ少し冷たい海の水、打ち寄せる波に足を取られて抱き寄せる腕、近付く唇の距離。
何もかもが嬉しくて、楽しい。

海に向かってフィーロを思いき突き飛ばした。
びしょ濡れになったのに、輝く笑顔になるフィーロに叫んだ。

「フィーロ、連れて来てくれて、ありがとう!」


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


その後、別荘の管理人のニールが呆れるほどびしょ濡れになった私とフィーロは湯浴みをした。
公爵領にしては珍しい掛け流しの温泉も出たので、砂まみれの体も綺麗になった。

「温泉なんて、生まれて初めてです。気持ちいいー!!」

「レイ、今日は楽しそうだな。来て良かったよ。こっちに来ないか?」

フィーロの腕の中にすっぽり収まり、ちょっと温めの温泉に浸かる。
心なしか肌がつるつるになった気がする。

「美肌効果があるのかしら?つるつるですよ?」

私は顔のつもりで話していたのに、フィーロが体を弄る。
腰回りを撫でられるとゾワゾワして、落ち着かなくなる。

「ちょっ、違ぅ…」

耳を舐められ胸を弄られると、力が抜けていく。

「んんっっ…だ、め…」

背中を押されて、前のめりになったところを腰を掴まれて、陰唇をしゃぶられる。
指で陰核を弾かれると、もう堪らない気持ちになって、腰が蠢く。

「ぃやぁ…はぁん…やめ、てぇ…」

くちゅくちゅと卑猥な音がして、羞恥心でいっぱいになる。

「挿れるぞ!」

ぱちゅん、ぱちゅんと、いつもより水音を含んだ音がする。

「はあ、はあ…いい、いいぞ!溶けそうな位いぃ…レイの中は、本当に気持ちいい…」

浅い所まで引き抜かれた肉棒を、一気に奥まで叩き付ける抽送を繰り返され、どんどん絶頂に追い込まれる。

「あぁ、もう、だめっっ!おかしくなるっ!イくっっっ!!」

「一緒にイこうっ!レイ、イくぅぅ!!」

ドクドクと注がれる熱い飛沫は、最奥に擦り付けられるかのように放たれた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

届かぬ温もり

HARUKA
恋愛
夫には忘れられない人がいた。それを知りながら、私は彼のそばにいたかった。愛することで自分を捨て、夫の隣にいることを選んだ私。だけど、その恋に答えはなかった。すべてを失いかけた私が選んだのは、彼から離れ、自分自身の人生を取り戻す道だった····· ◆◇◆◇◆◇◆ 読んでくださり感謝いたします。 すべてフィクションです。不快に思われた方は読むのを止めて下さい。 ゆっくり更新していきます。 誤字脱字も見つけ次第直していきます。 よろしくお願いします。

私のことはお気になさらず

みおな
恋愛
 侯爵令嬢のティアは、婚約者である公爵家の嫡男ケレスが幼馴染である伯爵令嬢と今日も仲睦まじくしているのを見て決意した。  そんなに彼女が好きなのなら、お二人が婚約すればよろしいのよ。  私のことはお気になさらず。

愛しい人、あなたは王女様と幸せになってください

無憂
恋愛
クロエの婚約者は銀の髪の美貌の騎士リュシアン。彼はレティシア王女とは幼馴染で、今は護衛騎士だ。二人は愛し合い、クロエは二人を引き裂くお邪魔虫だと噂されている。王女のそばを離れないリュシアンとは、ここ数年、ろくな会話もない。愛されない日々に疲れたクロエは、婚約を破棄することを決意し、リュシアンに通告したのだが――

すれ違う思い、私と貴方の恋の行方…

アズやっこ
恋愛
私には婚約者がいる。 婚約者には役目がある。 例え、私との時間が取れなくても、 例え、一人で夜会に行く事になっても、 例え、貴方が彼女を愛していても、 私は貴方を愛してる。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 女性視点、男性視点があります。  ❈ ふんわりとした設定なので温かい目でお願いします。

悪役令嬢の涙

拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。

【完結】裏切られたあなたにもう二度と恋はしない

たろ
恋愛
優しい王子様。あなたに恋をした。 あなたに相応しくあろうと努力をした。 あなたの婚約者に選ばれてわたしは幸せでした。 なのにあなたは美しい聖女様に恋をした。 そして聖女様はわたしを嵌めた。 わたしは地下牢に入れられて殿下の命令で騎士達に犯されて死んでしまう。 大好きだったお父様にも見捨てられ、愛する殿下にも嫌われ酷い仕打ちを受けて身と心もボロボロになり死んでいった。 その時の記憶を忘れてわたしは生まれ変わった。 知らずにわたしはまた王子様に恋をする。

出て行けと言われた私が、本当に出ていくなんて思ってもいなかったでしょう??

睡蓮
恋愛
グローとエミリアは婚約関係にあったものの、グローはエミリアに対して最初から冷遇的な態度をとり続けていた。ある日の事、グローは自身の機嫌を損ねたからか、エミリアに対していなくなっても困らないといった言葉を発する。…それをきっかけにしてエミリアはグローの前から失踪してしまうこととなるのだが、グローはその事をあまり気にしてはいなかった。しかし後に貴族会はエミリアの味方をすると表明、じわじわとグローの立場は苦しいものとなっていくこととなり…。

不実なあなたに感謝を

黒木メイ
恋愛
王太子妃であるベアトリーチェと踊るのは最初のダンスのみ。落ち人のアンナとは望まれるまま何度も踊るのに。王太子であるマルコが誰に好意を寄せているかははたから見れば一目瞭然だ。けれど、マルコが心から愛しているのはベアトリーチェだけだった。そのことに気づいていながらも受け入れられないベアトリーチェ。そんな時、マルコとアンナがとうとう一線を越えたことを知る。――――不実なあなたを恨んだ回数は数知れず。けれど、今では感謝すらしている。愚かなあなたのおかげで『幸せ』を取り戻すことができたのだから。 ※異世界転移をしている登場人物がいますが主人公ではないためタグを外しています。 ※曖昧設定。 ※一旦完結。 ※性描写は匂わせ程度。 ※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載予定。

処理中です...