【完結】 契約が終わったら静かにお引き取りくださいと言ったのはあなたなのに執着しないでください

紬あおい

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翌日、マーラーとターニャは、侯爵夫妻のアルトとマリーナに呼ばれて、執務室を訪れた。

「クライスは、ジュリエットとの結婚は口約束だが書面を以てなかったことにするとウィンストン侯爵に伝えてきたそうだ。
それを受けて、我が家から正式に書類を作成し、押印とサインの入った誓約書をお互い一部ずつ保管している。
万が一、ジュリエットがそれを保護にした場合は、最も過酷な戒律を課すパ・ディシュー修道院行きだ。
徹底した沈黙、粗食、労働、睡眠時間の制限で有名だ。
ジュリエットのような奔放で愚かな令嬢には地獄だろう。」

「そうでございますか。それでは、あとはクライスお坊ちゃまの行動次第でしょうか。」

「ファニア奥様は、牧場に生産所を建てたら、そちらでチーズ製品を作る仕事をして、山羊達と暮らすおつもりのようです。」

「「はっ!?」」

アルトもマリーナも、おっとりしたファニアが田舎暮らしに魅力を感じてることは理解出来るが、まさか本当に自活する決意まで固めていることに驚いた。

「ファニア奥様は、大層山羊がお気に入りらしく…クライスお坊ちゃまは、それを愛おしげに見つめられて…まるで、ご自分も牧場に移住して暮らすことを考えていらっしゃるようでした。」

「はあぁぁ…あの馬鹿息子…自分の世話も出来ないクセに牧場暮らしだと!?」

頭を抱えるアルトに、マリーナは提案する。

「この際、一年だけ牧場暮らしをさせてみる?ずっと執務をやらせてきたから、ちょっと皇都を離れてみるのもいいかもしれないわ。
一年、ファニアにクライスを見定める時間をあげるの。
その間にクライスがファニアの信頼を得て、二人が愛し合うようになれば良いことだし、駄目ならクライスも諦めるでしょう?」

「クライスの見目だけではどうにもならんからな。自身の軽率な行動と暴言も反省したらいいか。」

「では、最短で牧場にチーズの生産所と二人の仮住まいを建てさせましょう。
クライスがファニアの心を動かせなかったら、ファニアには慰謝料としてあげられるしね。」

「それで決まりだ。ファニアがクライスと離縁しても、我が家との縁が切れるのは惜しい位に良いだしな。」

(これで、ファニア奥様の居場所が確保出来たぞ!!)

(クライスお坊ちゃま、頑張ってファニア奥様のお心を掴んでくださいね!!)

アルトとマリーナが意気投合するのを見て、マーラーとターニャも安心した。



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