女の子がエロい服を着てる世界でもラブコメはできる!

キューマン・エノビクト

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25. 栄養も健康も考慮しない、雑な飯っていいよね

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 いったいいつから海の家には焼きそばというイメージがついて回るようになったのか定かではないが、とにかく今日も今日とて焼きそばはここの看板メニューとなっているようだ。
 他には、たこ焼きにアメリカンドッグといった粉ものや、フランクフルトやフライドポテトといった管理が簡単そうなものが売り出されている。
 かき氷もあるが、アレはデザート枠なので別だ。

「フライドポテトとアメリカンドッグ一つずつください。あとほうじ茶」
「あいよ、500円ね」

 500円玉をポンと渡して、俺は混み合ったレジを離れてパラソルの下へと戻る。
 申し訳程度のイートインスペースは、既に人で溢れかえっていた。
 腰を下ろす。
 なんだかんだで、俺は海に来たというのに海に入っていない。
 喧騒が周りにあるパラソルの下の日陰は随分と居心地が良いのだ。

「お前またそこに戻ったんだ?」
「俺のリスポーン地点だからな」

 やってきたのはさっき俺の顔が平たくなるまでボールをぶつけてきた三人組。
 浜場、加賀、そして近藤だった。

「せっかくだから俺らもここで食っていい?」
「いいぞ」

 もしかしたら色葉と白宮さんがこっちに来るかもしれないが、男子連中がたむろしてたらそのまま適当にどっか行くだろう。
 そういや今日は男との絡みがさっきのビーチバレーしかなかった。
 ここらで男と話して理性を取り戻そう…

「そういや奥原、お前さっき色葉とセックスしてたな」
「ぶふーっ!?」
「うわ汚え」

 今日何度目かわからない変な声とともにフライドポテトの破片を砂の上にぶちまけた。
 話題をふっかけてきた浜場は、責任を感じてか破片に砂をかけて処理していた。
 加賀と近藤が不思議そうな顔をする。

「なんでそんなに動揺するんだよ」
「いや、ちょっといろいろあって…で、それがどうした?」
「あいつがイッたとこ、例のお前が出てた絶頂我慢大会のときにしか見たことなかったんだよ。セックスしてるとこなら何度か見たけど男のほうが出して終わりだったし…さっきのセックスであいつイッてたか?」

 ひでえ話題だ。
 そう思ったが、多分こっちの世界においては普通の話題なのだろう。
 俺が慣れるべきは、女の子相手のやりとりだけじゃなく、男相手の性的な話題も含まれるのだ。

「ぶっちゃけ一瞬でイッてたぞ。こっちはまだ出しそうって感覚すらなかったのに」
「はぁ??マジで??」
「それは…信じられないな…」

 加賀と近藤は揃ってそんなことを言った。

「僕も何度かしたことがあるが、向こうは全くイかなかったな」
「そうそう」

 なんと二人とも経験済みだったらしい。
 これくらいで動揺してはいけないので、「へぇ」なんて相槌を打ってみる。

「だからさ、オレあの大会にあいつが出たとき、あいつが勝つなって思ったし、皆思ってたと思う」
「僕も思ってた。まさか二番目に脱落するとは…」
「…マジなの?」

 俺、もしかして実はすごい能力を持っていた?
 異世界転生するときに『女の子を素早くイかせる能力』とか貰ったのかもしれない。
 …せめて現代日本もどきの世界観じゃなければもうちょい使いみちもあったかもしれないのに。
 いやないか。

「…正直、競ってるわけでもないんだけど、先にイかされると悔しくなるんだよね」
(悔しいけど感じちゃうってやつじゃん)
「なんなの、近藤とあいつは時々ヤる仲なの?」
「まあそんぐらいの仲の良さはあるつもりだよ。勉強教えてってせがまれてね」

 この世界では、どうやら男女の邂逅は勉強会でよく起こるらしい。

「だからたまには一泡吹かせたいなーって思ってさ。どうだろう、なんかコツとかあるのか?」
「そう言われてもなぁ…呼吸の方法とか説明しようとしても無理なのと同じだし…」
「頼むよー、もし次セックスする機会があったらコツを意識したりしてくれないか?」
「別に良いけども…」

 こうして、俺は成り行きで約束をさせられてしまった。
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