女の子がエロい服を着てる世界でもラブコメはできる!

キューマン・エノビクト

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78. 自分だけはテンプレじゃないと、そう思ってたのに

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 休みが終わっての宣伝は、再び浜場とのペアになった。
 教室を出て、先程と同じく屋外を回って客を向かわせることにした。
 ふと後ろを振り返ってみると、俺たちとは逆方向に行った近藤と色葉のペアがいる。
 さっきの近藤を信じるならば、これから二人で話をするのだろう。
 とはいえ、様子を見ている限りでは険悪になったりはしないだろうし、なんだかんだで上手くいくんじゃないかと思う。
 …となれば、問題は俺になるわけで。

「…宣伝しろよ」

 浜場に肩を突っつかれて、ハッと顔を上げる。
 手に抱えた看板は若干下向きに傾いて、背の低い子どもからでなければ見えないようになってしまっていた。

「悪い。考え事してた」
「服装の関係で外行けるのオレらのペアだけなんだからな。ちゃんと宣伝しないと客取れねえぞ」
「アイデア出したからもうOKってことにならんかな」
「残念ながら、それとこれとは別だからなぁ」

 俺の希望をさっくり消し飛ばして、浜場は続ける。

「んで、何かあったか?まださっきのアレが尾を引いてるとか?」
「いや、そういうわけじゃないんだが…ちょっとな…」
「言えないことか?」
「そういうわけでもないんだが…」

 俺の口からは、どうしても煮え切らない中途半端な言葉しか出てこない。
 自分自身に対する苛立ちが少しずつ湧いてくる。

「ま、無理することはないと思うがな。言えないなら言わなくてもいいし言って楽になるなら言えばいいし。ただでさえお前、そんじょそこらの人よりデカい悩み抱えてんだからな」

 呑気にハハハと笑う浜場に、少しだけ気持ちが軽くなる。
 そして、抵抗の減った口から、さっきよりも具体的な形を持った言葉が零れ落ちた。

「一つ、話聞いてくれるか」
「期末の勉強会で手を打つぜ」

 俺はそれを快諾と受け取って、ぽつぽつと話を始めた。

 ◆ ◆ ◆

「――やっと、か」

 俺の話が終わってから暫しの沈黙の後、浜場が発した第一声はそれだった。

「やっと…?」
「うん、やっと」

 上機嫌そうな表情で浜場は言う。

「お前がどうも気持ちを計りかねていた運動会のときからオレは確信してたんだよ。間違いなくお前は白宮さんを好きだとな。ま、オレや近藤以外もお前と絡みがあるやつはみんなわかってると思うぞ。色葉とか加賀とか」
「マジで?」
「会う頻度といい態度といいむしろどうしたら勘違いできるのかわからないレベルで。まぁ、全く絡みのないヤツにはわからんかもしれないけど」

 やれやれと浜場は肩をすくめて首を振ってみせる。

「でも、ここがゴールじゃないからな?」
「わかってる。わかってるんだけど…」

 俺は少し言い淀んで、しかし決心して口に出す。

「恋愛って、どうすればいいんだ?」
「…は?」

 浜場から素っ頓狂な声が出た。
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