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本編 第一章 過去の傷跡編
1.出会い
しおりを挟む昨日、父が事故で亡くなった。
胸の奥が空っぽになったようで、何も感じなかった。
……いや、感じないふりをしていたのかもしれない。
そして今日。僕は母方の叔母に引き取られることになった。
ずっと前に、僕を産んだ母も事故で亡くなっていたらしい。
預けられる先には、生き別れの兄たちがいるという。
叔母は、仕事の出張でしばらく不在にするらしく、僕はその間、その兄たちと全寮制の学校に行くらしい。
知らない人たち。
けれど、血は繋がっている。
……なんか、複雑だ。
玄関の前で深呼吸して、鍵を回す。
ガチャ。
静まり返った家。
少し甘い匂いがするのは、気のせいだろうか。
リビングの扉を開けた。
ガチャ。
巳「……え」
言葉が喉で止まった。
僕がその光景に言葉を失っていると
踏みつけていた男がこちらを振り返った。
一「おや?」
一「あー!あなたが私たちの弟ですね!よろしくお願いします。
事前聞いていたとおり本当に私たちと同じ顔なのですね、本当に3人目がいるとはびっくりしました!」
そう言うと、踏みつけていた方の男が、平然な顔をしてこっちに寄ってきた。
一「やはり、私たちと同じで容姿端麗ですね」
二「んぁ、誰か来たのか?」
踏みつけられていた男がむくりと起き上がる。
一「私たちの弟が来られましたよ」
二「へぇーん、こいつがねぇ」
ニヤッと笑いながらこっちをジロジロ見てくる
一「そういえば、自己紹介がまだでしたね。私の名前は一織。
白桃一織と申します。
どうかよろしくお願いします。」
続けて寝っ転がったまま男がいう。
二「俺の名前は、二織。白桃二織だぁ。よろしくぅ!お前はぁ?」
巳「僕の名前は、、、ってちょっと待って今どういう状況なの?」
一「どういう状況って何がですか?」
巳「いやさっきのだよ!なんで踏みつけられてたの!?どういう状況?!」
一「あー、あれですかいつものことなので気にしないでください。ただ少し喧嘩をしてただけです。」
(えー治安悪!)
二「そうだぜぇ俺たちの弟になるってならなれなきゃなぁ」
一「でも、私に勝ったことがないんですよね」
二「うっせ、テメェも勝ったことねぇじゃねぇか」
一「私たちの事はとにかく、あなたはなんとおっしゃるのですか?」
巳「僕は、巳織」
一「巳織さんと言うのですね。これからよろしくお願いします」
二「よろしくぅ」
二織が寝っ転がったまま、ニヤけ、手を振ってきた
巳「ところでさっき喧嘩してだって言ってたけどなんでしてたの?」
呆れながら言う
一「今日の晩ご飯はカレーなのですが甘口と辛口どちらがいいかをきめていたんです。」
巳「え?」
すると急に二織がヒョイと立ち上がり、一織と睨み合った。さっきまで怪しい笑みを浮かべていた表情は一変し、険しく威圧的になった。
二「ぜってぇ辛口の方がいい、お前に任せると碌なことがねぇ」
一方、一織は表情も変えずに冷静に言い放つ。
一「いいえ、絶対に甘口です。あとそれはわたしのセリフです。取らないでください」
二人の間に、ピリッとした空気が走った。一織は基本的に、感情が読み取りにくい表情をしている。しかし今は、二織に対して怒っていることだけは明らかだ。
えーくだらな!とは思ったが口に出すのはやめておいた。これほどボロボロになる位喧嘩したのだから、この2人にとってはとても重要だったんだろう。
一「あっ!いいことを思いつきました!」
急に一織の表情が緩み、何かを思いついたような顔になる。
「このままさっきの続きをしても良いですが、あなたが負けるのは明白。
それでは面白くありません。
そこで、巳織さんに決めてもらうのはどうでしょうか?」
二「いいじゃねぇかぁ、そりゃぁいい」
そして二人は同時に僕の方を見てニヤッと笑った。
次回カレー編お楽しみに
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