甘いの辛いのどっちにするの?

ずんだもち

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本編 第一章 過去の傷跡編

三兄弟、地獄行き

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 僕が無理やり押し込まれた後、満足げな顔の二織兄さんも乗り込み、ついにバスは「地獄」へ向けて出発してしまった。

「はぁ……最悪だ……」 

 結局、抵抗も虚しく運命を受け入れるしかなくなった。思わず重いため息をつくと、それを察したのか一織兄さんが優しく励ましてくる。

「大丈夫ですよ、みしきさん。あなたに何かあれば、私がすぐに助けます!」 

「そーだぜ、みしき! 俺が守ってやる。頼りがいのある兄貴を持って幸せもんだなぁ!」

 「ええ、私たちはずっとそばにいますから」

 二人の言葉に少しだけ緊張がほぐれた。寝不足だったこともあり、僕は二人の気配に包まれながら、いつの間にか深い眠りに落ちてしまった。

「みしきさん、みしきさん! 着きましたよ」

「……うーん……」 

 重いまぶたをこすりながら返事をし、ふらふらとバスから降りる。

 「そういえば、荷物……重いけどどうするの?」

 「先生方が私たちの寮まで運んでくださるそうですよ」

 「へぇ、そこだけは親切なんだね」

校舎に入り下駄箱のところまで行くと、そこには一人の背が高い男が立っていた。

「えーっと……君らが転校生? とりま、ついてきて」 

 男はボサボサの髪をわしわしとかきむしり、大きなあくびをしながら言った。 

「ほーんと、めんどくさいったらありゃしない。二度と関わりたくねぇのによぉ、なんで俺がこんな問題児の世話しなきゃなんねんだ……」

 小声でブツブツと文句を垂れ流している。初対面からあまりに失礼な態度に、僕は少しイラっときたが冷静に尋ねた。 

「えーと、あなたは誰なんですか?」

 「俺? 俺は君たちの担任の成田。よろしく」

(担任? え、これが!? この、いかにも「まとも」じゃなさそうな、やる気ゼロの男が僕たちの先生だっていうの?まぁとにかく挨拶しよう)

「成田先生これからよろしくお願いします。えーとぼくの名前は、、、」 

「そういうのいーから、お前たちの事は事前に知ってるし、必要な時以外関んないから、それでよろしくー」

 ぼくが丁寧な自己紹介を投げかけるが、成田はそれを遮り、ため息をしながらだるそうに歩き出した。

  「気に入らねぇ……」 

 隣で二織兄さんが低く呟き、ガンを飛ばしている。

 やがて、ある教室の扉の前で足が止まった。プレートには「2-A」と書いてある。 

「着いたぞ。それじゃ、俺はこれで。ホームルームには戻るから、中の奴らとせいぜい仲良くしろよー」

 成田は再び髪をかきむしりながら、背を向けてどこかへ消えてしまった。

「なんだよ、あいつ……」  

「まぁまぁ、とりあえず入ろう!」 

 一触即発な空気の二織兄さんをなだめ、僕は教室のドアに手をかけた。

 この時、僕はまだ知らなかった。 この後、僕を挟んだ二人の兄が、このクラスで騒動を巻き起こし、「やらかし」をしまくることになるのかを——

 そして僕は知ることになるこの学校の治安の悪さを———
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