平凡雑音日記。

赤屋カル

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 友人aをここに出す。

友人aは僕の恋愛相談にも乗ってくれるし,進路の不安とか色々聞いてくれる。

こんな自己中心的な僕のことを,正面から受け止めてくれる。

時には叱ってくれる。



簡単に言えば,一張一弛だ。

僕には勿体無い存在だと思う。

そんな友人aに,snsで知り合った異性の話をした。

異性の相手をbとしよう。

bは,念入りに計画を立てるタイプとは逆で,
なんとなくで動くタイプだ。

だから,いざ一緒にどっかいこうとなれば,
フラフラしたり困ったりする。
生憎の雨の日に,2回目の対面となる。
別にお昼時でもない。かといって夕飯には早い。


そんな絶妙な時間に私たちは人混みが多い商店街の入り口に待ち合わせた。

bは以前から「相手に委ねる」ばかりで,
自分の意見をなかなか言わない。

僕はそこが嫌いだ。

自分の意見があるなら言って欲しいし、
欲あらば
少しだけ僕を引っ張って欲しいと思った。

僕よりも2つ歳上で,僕よりも少し背が高い。

首輪のような銀色のネックレスは,どことなく
「おしゃれ」
を取り入れているが

服装がシンプルかつ湿気によって
ボワボワの綿みたいなのが乗っかってる頭だったから
おしゃれがただの小細工にしか見えなかった。

そんなbの口癖は
お会計時に「お会計はどうなさいますか?」
に対する返答が
「どうする?」
っていう4文字だ。

僕はこの4文字が嫌いだ。
「じゃあ,奢って。」
なんて言えないし
「どうしようか。」
って言い返した。
欲あらばbは男だから,
女性に対して奢ってほしい。
欲あらば。

ここで,僕の性格の悪さがインク一滴こぼれ
滲み出てしまうのであるが。

地点,フルーツパフェ。bは甘いものが好きで,生憎の雨だったからか,
以前から行きたがっていたパフェ店に
行った。
bの目は輝いていて,

まるで子供が小さなクマちゃんをケース越しに
顔をくっつけてまじまじみてるようだ。

そんなことは置いといて。

この「どうする?」
の4文字にいつも返答が困ってしまう。

この後にカラオケに行ったのだが,
カラオケの会計はセルフレジであり,
個別会計というものがなかった。

ここでも彼は
「どうする?」
と聞いてきた。

「え,あ…」
僕はもうなんか嫌になったのだ.
このどうする?っていう回答に。
水が氷になった瞬間だったのか。
沸騰したお湯が一気に冷めた感覚。

「じゃあ,お願いします。」
と明るめの口調で言った。
もう面倒。
どうにでもなれ。
って感じで。
そしたらbは
「え?まじ?」
って引くんだ。
目をまんまるくして,

「あ,じゃあ俺1000円出すから残り出して」
って言ってきた。

いや,最初から考えあるなら言えよ。

と思う一面がある。


そもそも
世の中が
「男性は女性に奢るべき」
「奢るのが普通」
っていう感覚がおかしいということに気づいた。


いつのまにかそれが普通で、
女性はおいしいからそのまま乗っかってるだけなんだと。

その話を全て友人aにした。
するとaは
「好きなの?」
「どうなりたいの?」
と聞いてくる。

好き?どうなりたい?

違う。

その返答が欲しいのではない。

僕は彼が発する
「どうする?」の意味を知りたいだけなのだ。

このどうする?には何が込められているのか。
彼の優しさなのか。
戸惑いなのか。
抵抗なのか。

「好き」とか「どうなりたい」とか
そんな未来話とかじゃなくて

ただ
「どうする」
の4文字が今もまだ脳内を駆け巡っている。
友人aは
そんなに考えているなら
「好きなんじゃないの?」って聞いてくるが
それもまたなんか違う気がする、

なんというか
「好き」って感情を何年も抱いていないと

好きの感覚がわからなくなるのだろうか。


んー。

あれこれ考えているうちに,
今現在,家で
僕は今日もソフトクリーム,爽とと淡々食べ,体を冷却し,

いつしか
心まで冷たくしてしまうのかもしれない.
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