ジジイボム

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「せっかくだしちょっと見学でもする?」
青メガネロリが優しい言葉をくれた。

「じゃお願いします。」
断る理由も特にないので天才は青メガネロリと軍の施設をまわることにした。

「じゃあ俺も。」
とTHE軍人が両手を頭の後ろで組みながら勝手についてきた。

(なんでこいつも来るんだよ)
と天才は少しだけ不満そうな表情を作ったがTHE軍人にはもちろん伝わっていなかった。

「二人きりのデートはまた今度ね。」
青メガネロリが微笑みながら耳元で囁く。

「はあ?なっ何が、僕は別にそんなつもりじゃ・・・。」
と天才はいつもより大きな声を咄嗟に出してしまった。

「あん、どした?」

「なんでもない!」
THE軍人の問いにまた咄嗟に大きな声を出してしまい無性に恥ずかしくなった天才は少し早足になった。

「おーい勝手にうろちょろすんなよ、はいそこで停止。」
THE軍人が大きな声で天才を呼び止める。

「静かな奴かと思ったら急に大声出したり変な奴だなあいつ。」

「そう?可愛いじゃない」
THE軍人の言葉に微笑みながら青メガネロリが返す。

「可愛いかアレ?」
THE軍人は一人不思議そうな顔をしていた。

 天才に足を止めさせた場所は大きなガラス越しの部屋の前だった。中の音は聞こえない。どうやら全ての部屋は防音処置が施されているらしい。扉にはバイオハザードマークが貼られていて、ガラス越しの部屋の中にもう1枚同じくバイオハザードマークが貼られた扉と同じく大きなガラス越しの部屋があった。

「ここは催涙ガスとか毒ガスみたいな危険ガスの研究室だ。今日は休みだな、鍵はここの責任者しか持ってないし入れないから次行くぞ。」
天才は少し中を覗きたかったが鍵がないなら仕方ないとTHE軍人の言葉を素直に受け入れ次に向かうことにした。

「はい停止、ここは室内射撃場だ。」
THE軍人がいつの間にか仕切っていることに少し疑問を抱いたが特に言うことでもないと天才はそのまま話を聞くことにした。

 ここも大きなガラス越しの部屋で中には一つ扉が見えた。
〔ピッピッピッピッピッピッピッピッ〕
THE軍人が壁に備え付けのにボタンに何かを入力している

〔ガチャン〕

扉が開いたようだ。

「認証コードだけ?」
少し驚いた表情で天才が問う。

「口下手ね、射撃をするための武器があるのにそんな簡単な物でいいの?みたいな顔してるわよ。」
と青メガネロリの言う言葉通りのことを思っていたことに天才は少し驚いた。

「まあ見た方が早いし入れ。」
THE軍人らしい言葉とともに部屋の中のに招かれた。

中はかなり広く、そこにはまた別の部屋へ通ずる扉が1~15の番号で割り振られていた。

「これ全部射撃場?」
天才の素朴な疑問が青メガネロリには少し可愛いく見えていた。

「そうよ、番号が光っているところは現在使用中で、今日はだいたいの人が休みだから結構空いてるけど14番にしましょうか。」
 入り口から近い14番の部屋へ青メガネロリに誘導された。14番の部屋の扉を開けた先にはまた1つ扉があった。

「じゃここで携帯、時計、金属類は外してくれる。」
青メガネロリの言うことを
(まあ軍の施設だしこういう場所もあるよな)
と思いながら素直に携帯、時計を渡した。

「じゃどうぞ。」
と青メガネロリが扉を開ける。中は1kmはあるんじゃないかとというほどの奥行きとTHE軍人が6人は入るんじゃないかというほどの幅で高さはTHE軍人2人分はある。 

 手前にハンドガン、ライフル、マシンガンの三つのタイプの銃が2つずつテーブルに並べられていた。ふと天才はその隣においてあったものを見て
「これってフルフェイス?」
と興味津々に聞く。

「フルフェイス見るの始めてか?」
THE軍人が天才に聞き返す。

「うん、始めてみた。」
天才は嬉しそうに答えながらフルフェイスを手に回転させたり下から眺めたり上から眺めたりまるでおもちゃを買ってもらった子供のようだった。会議の時とは違う天才の幼い表情にTHE軍人、青メガネロリは少し笑みをこぼした。

 車やバイク、船、飛行機などの乗り物はほぼ自動化が進み安全性が増したこともあり『身を守る』ために使われていたヘルメットの着用は自由になっていた。だがフルフェイスは多くの犯罪に『身を隠す』というかたちで使われたこともあり政府は一般人のフルフェイスの使用を禁止し軍人、警察などの一部の職業でしか扱うことができない物になっていた。

「被ってみろよ。」
THE軍人が笑顔で言う。

「いいの?」
天才も嬉しそうにフルフェイスを被る。

「ちょっと臭いけどすげ~。」
会議までの天才の姿はそこには全く無く、一人の純粋な少年の姿がTHE軍人にはなぜかとても嬉しくも、これから行うことの大きさを思うととても悲しくも感じたことも揺るがない事実だった。

「アイガードの横のボタンを3秒長押ししろ。」
そのTHE軍人の言葉にアイガードのボタンを探す天才に対して

「ここよ。」
青メガネロリが見かねてボタンを3秒長押ししてくれた。

アイガードの部分が明るくなり
〔シューティングモード〕
〔ナイトシューティングモード〕
の文字がアイガードに表示されている。
「うわっすげ!」
と驚いた少年はシステムを理解したのか少し天才に戻っていた。

「ちょっと待てよ~。」
とTHE軍人がもう1つのフルフェイスを被る。

「えっと共有モード、共有軸はオレ、音はインナーじゃなくてステレオと・・・あとは・・・。」
THE軍人が何かブツブツ言いながらフルフェイスをいじっている。天才のアイガードの目の前の文字が消えた。

「これで良しと。」
THE軍人の作業が終えたようだ。

「すまんハンドガン取ってくれるか?」
THE軍人が青メガネロリに言う。

「ハンドガンね、はい。」

「はい、君も。」
と青メガネロリがTHE軍人と天才にハンドガンを手渡す。

「じゃいくぞ。」
THE軍人がそう言うとアイガードの部分にいくつか的が出てきたのと同時に
「えっ!?」
天才は少し銃が重たくなったのを感じ驚いた。次の瞬間

〔ダーン!ダーン!ダーン!ダーン!〕

かなり大きな音とともに銃が勝手に大きく動いた。
「ええっ!?」
とっさに天才はフルフェイスを脱いでしまった。

〔ダーン!ダーン!ダーン!ダーン!〕

音はまだ続いていて銃もまだ勝手に動いている。

〔ダーン!ダーン!ダーン!ダーン!〕

銃声が止んだ。

「ふぅ、派手にビビりやがって。」
フルフェイスを外しながらTHE軍人が微笑みながら言う。

「これってVR・・・ですよね?」
天才は不思議そうに問う。

「ハハッ半分正解、半分はずれだな。」
THE軍人が笑いながら言う。

「銃が急に重たく感じたり勝手に動いただろ?」
THE軍人は鼻高々に聞く。

「はい、勝手に動いたのはなんとなくわかるんですけど・・・重たく感じたのは・・・?」
天才が自分の理解が追い付かないということとその説明をTHE軍人のような人間に説明されることに少し悔しさを感じながら答えた。

「いいねその表情。」
THE軍人が勝ち誇った表情で言う。

 天才は少しイラ立ちを感じたがそんなことは気にもせず
「勝手に動いたのは共有モードって言って片方の見てる映像や撃った銃の反動を共有するモードで共有軸はオレに設定してたからオレの見てる映像とオレが撃った銃の反動がお前に共有されたんだ。ちなみに今使ったのはハンドガンでも結構重くて反動の強いマグナムを設定してたのと他にもトカレフとかみたいな軽くて比較的反動の小さい銃とか色々あるんだけどよ、その『反動』を電気信号で再現しててまあゲームのコントローラーが出す振動をより強くしたようなもんだ。」
とTHE軍人は勝ち誇った表情のまま説明を続ける。

「それはほぼ予想通りでした。」
天才が言う。

「お前が感じた重たさは、実はここの床と銃の先端に特殊な磁石を埋め込んでて銃の設定に合わせて本来の銃の重さに感じるように磁力が働いてたって話、ちなみに音はインナーに流すモードもあるけどインナーでやると耳の保護の観点から勝手に実際より音を小さくしちまうから実戦の感覚を養うならステレオから本当の音を飛ばしてるほうが良いってことでステレオにした。」
THE軍人の勝ち誇った説明の仕方というよりは使用されているシステムを聞いて
「すっげ~!」
と天才は笑みを浮かべていた。

「まあ今は標的を動かさない設定にしてたけど、敵が動いたり攻撃してくるモードももちろんあって地形とかも設定できるぞ。このシステムをAVR、アルティメットヴァーチャルリアリティーって言ってな・・・。」
THE軍人の話を折るように

「アルティメット?」
天才が不思議そうな表情で言う。

「おう、だからアルティメットヴァーチャルリアリティーって言ってだな・・・。」
とTHE軍人がまた話をしようとしたが

「アルティメットのスペルはAじゃなくてUですよね?それなのになんでAなんですか?」
天才がまた話を折る。純粋な少年はしっかり天才に戻っていた。

「お前そ・・・それはえっと・・・ほら・・・その・・・。」
THE軍人は動揺を隠せない。

「アルティメットって言ってるのはこのバカだけよ、本来の意味はアーミーアプリケーションヴァーチャルリアリティー、軍利用仮想現実でAVRね。」
青メガネロリがTHE軍人の残念な知識を訂正して教えてくれた。

「バカはねえだろ、バカは!チェッ、いーじゃねーかよアルティメットの方がカッコいいじゃねえか!」
舌打ちをするTHE軍人がまた小さく見えた。

「フルフェイスをもう一度被ってごらん。」
青メガネロリが優しくほほ笑みながら言う。

「なんで?」

「いいから。」
と天才に少し強引にフルフェイスを被せようとする。

「ちょちょ!ちょっわかったわかったから!自分で被れるから!」
と青メガネロリの身体と密着していることに急に緊張したこともあり天才はそれを誤魔化すかのようにフルフェイスを再度被った。

「画面の文字読めるよね?」
青メガネロリが優しく問う。

「・・・パ・・・パーフェクト。」
天才が小さく言う。

「マグナムみたいな反動の強い銃でも彼は一発も外さない。敵がどんなに動いててもね。射撃においてこの国に彼以上の軍人はいないのよ。まあ射撃以外もすごいとこはいっぱいあるんだけど本人に言うと調子に乗るから言わないけどね。」
青メガネロリが自身のことのように誇らしげにTHE軍人を褒めてることに天才は少し悔しい気持ちとTHE軍人をカッコいいと思ってしまっている自分にまた少しイラ立ちフルフェイスを外した。
                    続く
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