ジジイボム

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侍、忍者、絶望・・・そしてジジイボム

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「ハァー、ハァー、ハァー・・・。」
 タバコをあれだけ吸った後のダッシュは天才の身体にかなりの負荷をかけていた。

 会議室にはまだ青メガネロリだけだった。迷彩服の袖で涙を拭く姿が会議室の自動ドアごしから確認できた。

〔ウィン〕

「ごっ・ごめんなさい!」
天才は叫ぶしかできなかった。まだ顔をあげれない。頭を下げている天才の狭い視界に迷彩服が入って来た。

「顔上げて。」
青メガネロリの声が怖いと思ったのは初めてだった。恐る恐る顔を上げる。と同時に胸ぐらを捕まれた。

「あんた何言ったかわかってんの?何にすいませんって謝ってんの?」
青メガネロリが赤い目で険悪な表情で問う。

「えっとその・・・失礼な発言をしてしまって・・・。」
天才も赤い目のまま答える。

「だから失礼な言葉って何よ?」
青メガネロリのこの言葉に天才はもう一度あの言葉を発しないとダメなことともう一発叩かれる覚悟をした。

「バ・・ババアって言ってごめんなさい。」
天才は目をつぶって歯を食い縛った。

〔パーン〕

先ほどよりは痛くはなかったがやはり叩かれた。

「ほらわかってないじゃない!」
青メガネロリのこの発言に耳を疑う。

「えっ、違うんですか?」
天才は戸惑いを隠せない。

「あんたどうせ身長は伸びないって言ったの覚えてないの!?」
青メガネロリはめちゃくちゃ怒ってる。

「はあ?そっちかよ!?なんだよ!?はあ?」
天才はまた叫んだ。そして少し青メガネロリを睨んだ。

「何よ、私だってなりたくてこの身長になった訳じゃないし牛乳だって毎日飲んでたんだからね!」
青メガネロリが気にしていたのは『ババア』ではなく『ちび』の方だった。それを知った天才は今までにない感情をTHE軍人に覚えたのであった。

(あの脳筋やろうが!あんな野郎の話を真に受けことにも腹立つし、けどもしかしたらあいつが殴ってたって言ってたからあんな筋肉馬鹿に殴られてたらただじゃすまないし・・・。)
「あーーーーー!」
天才はやはり叫ぶことしかできない状況に立たされていた。

〔ウィン〕

このタイミングでTHE軍人が会議室に戻って来た。険悪そうな表情を浮かべる青メガネロリを見て
「お前まだ言ってねえのか?」
少し怖い表情で天才に問う。

「言ったよ、言ったけどさあ・・・」
天才はTHE軍人が少しふてくされた態度で呟く。

「言ったのか?言ってねえのか?悪いことをしたら謝る?天才にはそれが難しいことなのか?ああ?」
THE軍人の怖さが増していた。『ババア』ではなかったが確かに青メガネロリを傷付けた事実は逃れることのない事実でもあった。

「ちびって言ってすいませんでした。」
青メガネロリの赤い目を見て天才は男らしく深々と謝罪した。

「あん?それじゃねえだろ?」

「いいわ、こっちも大人げなく泣いたり二発も叩いっちゃって悪かったわね、ごめんなさい。」
凄むTHE軍人が言うのと同時に青メガネロリが天才に謝罪した。

「ん?なんだ? まあ仲直りできたなら良かったじゃねえか。」
THE軍人だけがこの状況を理解できていない。

「そうだね・・・ありがとう・・・。」
天才は男前を彷彿させるくらいの笑顔を見せた。THE軍人は男前と同様の恐怖を天才に感じた瞬間でもあった。

〔ウィン〕

男前がチョビヒゲより先に戻って来た。

〔ウィン〕

すぐにチョビヒゲが少し焦った表情で戻って来た。
「御苦労様です。」
迷彩服の大人が数時間前同様に敬礼をした。天才にはデジャブを見ているような少し不思議な感覚であった。

「だからいいって、堅苦しいな。」
また男前が男前な笑顔を見せて言う。

すると男前が一時間前とは違う状況をいち早く察知したのか男前が天才の横に来た。

「女性は大切にしないとな。あと泣き虫もモテないぞ。」
と相変わらずの男前な笑顔を浮かべながら囁いた。

「ぐっ、なんでそれを・・・。」
天才は小さくこぼす。部屋に備え付けられてるカメラを見ていたのか、それとも、天才と青メガネロリの少し赤い目を見て泣くようなことがあったことを悟ったのか、またその原因が天才にあったことさえも悟ったのか、いずれにせよ男前にまたも世界の広さを味わされたことに天才は再び驚きを隠せずにいた。

 大人達がイスにかけたのを見て

「じゃ引き続きジジイボムの『恐怖心』から説明します。」
数時間前の少し緊張していた固さとまだまだ青くさかった少年らしさが天才からはほとんど無くなっていた。声量も少し大きくなっている。

「男子三日会わざれば刮目してみよ、か・・・フッ。」
と男前が誰にも聞こえないように呟き小さく笑った。

「えっと『攻撃対象のランダム化』がもたらす恐怖心については説明しましたよね?この恐怖心を与えるために欠かすことができない要素が『ジジイ』なんです。」
少し大人になった天才がまた自信のある表情で説明し始めた。THE軍人もしっかり聞いている。青メガネロリの目は元に戻っていた。

「いつどこで襲ってくるかわからないという恐怖心、それを行うのが大量のジジイ、つまりジジイを見て恐怖を感じることになるということ、これだけでも効果はかなり高いと思うんですが実はもう1つ、ここには大きな恐怖を与えるものがあります。何かわかります?」
天才が大人達に問いかける。チョビヒゲは自慢のヒゲをいじり、青メガネロリは首をかしげている。迷彩服を着た軍人には少し難しい問いであったようだ。

「『未来』・・・だね?」
男前が笑顔を出さずにゆっくり言う。

「さすがですね。」
 天才には男前だけが答えにたどり着くであろうということがなんとなくわかっていた。予想が当たったこと、天才と同じレベルで話ができる人間を今日まで出逢ったことが無かったこともありそれも嬉しかったのだろう、天才は笑みを浮かべていた。

「未来?でしょ?今から話しますね。」
何かを言おうとしているTHE軍人を見て天才が先に喋る。THE軍人が疑問に思っていることが手に取るようにわかるようになっていた。

「俺はまだ喋ってねえのにあの野郎俺が思ってることから当てやがった。気味悪いぜ。」
THE軍人は小さくこぼすが表情は嬉しそうではあった。

 その言葉が聞こえていたのか

「なんか急に大人っぽくなっちゃっねあの子。」
と青メガネロリも嬉しそうではあったが少し寂しそうな複雑な表情を浮かべて小さくこぼした。

「ジジイを見て恐怖心を覚える、つまりたいして動けないジジイですらこんなにヤバいのにあの国の動ける若者はどんだけヤバいんだ・・・という若者への恐怖心も生まれ、それに伴い不用意な攻撃は困難になります。そんな若者がこうしている間にも力を付けていると思うと恐怖しかないと思わないですか?つまりジジイボムは『未来』への恐怖心をも植え付けることができるんですよ。」
天才の表情は今まで以上の自信に満ち溢れていた。

「さらに高齢者の数が減ることにより高齢者に使われる税金がなくなる、そして浮いた税金の分国が豊かになる、ということだな?」
チョビヒゲも自信に満ちた表情で天才に問う。

「そういうことです。海外諸国に侍が知られている理由の1つに切腹という日本人は失敗したら腹を切るという『失敗の出来ない国のイメージ』や、忍者のように暗闇でも気にしない多種多様な武器を扱え、分身の術みたいな派手な術を使う『殺し屋集団がいる国のイメージ』というようにその時代の特定の職業や行動が『国をイメージ』させれるほどのものでもあり、海外諸国には『クレイジージャパン』の象徴にもなって今尚語られているものでもあります。神風特攻隊や過去の偉人なんかで言うと『絶望』って言われた女レスラーなんかもそうですね。危険過ぎる文化や職業、人物は時に大きく尾をひいてさらに大きくなり爪痕を残します。」
天才は自信満々に言う。

「つまり何が言いたいんだ?ですよね?」
THE軍人が言いたい言葉をまた言う前に天才に喋られた。

「簡単に言うとクレイジージャパンというのは海外諸国にはない、実在する、もしくは実在した『恐怖』なんですよね。」
天才は諭すようにTHE軍人に言う。

「もうちょっと分かりやすく言ってくれよ。」
THE軍人が天才の理解を超えてきた。天才は改めてTHE軍人でも理解できるように言葉を選ぶ。

「えっと、つまり、ん~、そうだなあ、例えば今この時代に『絶望』が生きていたら勝てますか?」
天才が問う。

「霊長類最強の女か・・・遭遇したら気付いたら首と胴体がバラされてる、とかNASAのロケットの耐久性は『絶望』を参考に作られとか、・・・まさに神話の怪物だからな、勝負はやってみないとわからんが無事で済むことはないだろうな。」
THE軍人は言う。

「じゃ『絶望』クラスの生き物が何百匹、何千匹が襲いに来る、もしくはトレーニングをしながら待機しているってなったらどうですか?」
天才が問う。

「そんな恐いことねえな・・・、なるほどな、進化する恐怖・・・か。」
THE軍人は理解したようだった。

「つまりジジイボムはそのクラスの脅威に値すると?・・・確かにな。」

「完璧ね。」
チョビヒゲと青メガネロリはジジイボムの凄さとそれをまだたった15歳の少年が考案したことの凄さを改めて思いしらされた。

「ただ少し問題が・・・。」
天才の先ほどまでの自信に満ちた表情と声は少し小さくなり少しうつむいた。

「どうやってジジイを集めて爆弾を巻いて戦地に送るか?だね?」
男前がさらに男前の笑顔で言う。

「ハハッあんた何者だよ?」
天才は男前がすでにその問題点をクリアできる答えを持っていることを理解して苦笑いをした。
                    続く
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