主人を殺された傀儡は地の女王と復讐の旅に出る

タカヒラ 桜楽

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第1話

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全自動魔導戦闘用人形二式。

それがワタシの名前である。
名付け親は、ワタシの創造主であり、主人である、ノウト・サルヴァンス様である。

ノウト様は、魔術師として神託を受け、その才を開花させた帝国でも五本の指に入る屈指の魔術師であった。
齢25歳で、戦闘用人形を使った人類で初めて新たな職業ジョブを自ら作り上げたお方である。

その功績を認められノウト様は、勇者パーティーの指南役として、勇者パーティーに加わったのであった。

あったのだが・・。


ーーーー

「・・・ッ!?」

ワタシの後ろで、ノウト様が声にならない叫び声を上げ、そのまま地面に倒れ込む。
振り返るワタシが見た光景は信じられないモノであった。

「あなたが、あなたが悪いのよ!!」

そうヒステリックに叫び、ノウト様に刃を振り下ろしたのは、勇者パーティーのリーダーである、勇者レイラであったからだ。

現在勇者一行は、魔王の直属の幹部である四天王の一人〝地の女王センサザール〟との交戦中であったのだが、突然の裏切り行為にノウトはなす術なく斬り捨てられる。

「な、何をしているんだレイラ!
今がどういう状況かわかっているのか!?」

肩から腹部まで袈裟に斬りつけられたノウト様が、咳き込みながら問いかける。

「あんな死にかけのヤツなんて後でどうとでもなるわ・・。」

レイラはそう言い、センサザールを一瞥し、鼻で笑う。

センサザールは、激しい戦闘の後に勇者一行に組み伏せられ、瀕死状態であった。
レイラは、肩で息をし、動くこともロクに出来ない様子のセンサザールを警戒する必要はないとたかを括っているのだ。

レイラはノウト様の髪を掴み、無理矢理顔を上げさせる。

「私とあの木偶人形の強さは、あなたが一番理解しているでしょう?
なんていったて、あの人形は私の模倣品。
つまりは魔王を殺すことのできる実力者が二人といることになるのよ」

余裕の笑みを浮かべるレイラにノウト様は鋭い眼光を向ける。

「ゴホッ、ゴホッ・・レイラ・・。驕りは自分の身を滅ぼすことになるぞ」

咳き込みながら、苦悶の表情を表に出すノウト様を見たワタシは、レイラに刃を向ける。

「警告シマス。
ソレ以上ノ行為ハ排除ノ対象トナリマス」

ワタシがレイラに刃を向けると、それを遮るように三人がワタシの前に立ちはだかる。

「排除されんのはお前の方だ・・。」

腕組みをし、睨みを利かせたのは、重戦士タンクのラインズ。

「ウチらよりもちょっと強いからって調子乗り過ぎじゃな~い」

ワタシをせせら笑うのは、射手アーチャーであるミールナ。

無言で微笑を浮かべ牽制するのは聖職者プリーストのリナン。
三人に阻まれたワタシは、その場から動けなくなる。

「レ、レイラ・・。僕が、ゴホッ、君たちに何かしてしまったのか?
何故そんなに憎しみに満ちた顔を僕に向けるんだ?」

手を下してしまっていいのかをワタシが思考している最中に、ノウト様がレイラに疑問をなげかける。

「何をしたかですって?」

ノウト様の一言に、レイラはワナワナと身体を震わし、怒りをそのままノウトにぶつける。

「貴方が私のことを振ったからでしょ!
私はこんなにも貴方を愛していたのにっ!その思いを踏み躙ったりするからこうなるのよ、人形愛者ピグマリオンコンプレックス野郎がよぉぉ~!!」

「がっ、ああぁっ!」

レイラは怒りに身を任せ、聖剣を串のように扱い、ノウト様の身体に何度も抜き刺しを繰り返す。
ノウト様は断末魔の声を上げ、身をよじり、苦痛に表情を歪める。

ザワッ

その光景を見て、ワタシにはないはずの感情が動いた気がした。
だがそれと同時にワタシの体は鉛のように重くなり、視界が霞む。

「あの木偶人形は貴方の魔力で動いているのですから、貴方が死ねばどうすることもできないのでは?」

微笑を崩さずそう言い放ったのは、聖職者プリーストのリナンであった。

「何故こんなことに加担したんだ!」

ノウト様は、憎悪に染まった顔をパーティーメンバーに向ける。

「協力してくれたら殿方を紹介してくれるとレイラ様がおっしゃったので」

「お前がいると俺の格が下がるんだよ。
俺は勇者パーティーでも特別な存在になれる、お前さえいなければな。」

「ウチはその姿が見たかったみたいな?
だって、普段偉そうにしているヤツが痛い目に合うのって見ていてスッキリするでしょ。
人の不幸は蜜の味的な?キャハハハ!」

三者三様の言い分に呆れ、ノウト様は渇いた笑いが溢れる。

「何だよそれ・・。そんな理由で僕は殺されるのか!?」

「まあそういうことよ。貴方を今から殺すけど、楽には殺してあげないわよ?
私が味わった苦しみをじっくりと味あわせて殺してあげる」

ワタシは動かない体を必死に動かそうとする。だが、ノウト様が衰弱していくのと同時に、魔力供給が絶たれ思考すらも停止していく。

消えゆく意識の中で、ワタシは勇者たちに一つの感情が芽生えたのだが、それがどんな感情なのか確かめる術はない・・。




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