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第2話
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私は何故戦場に立っているのだろうか?
戦地に行きたくないから、必死に努力をして四天王になったというのに・・。
私こと、センサザールは、肥沃翼竜の父とハイエルフの母の間に生まれた、混合種族である。
だからこそというべきなのか、私の幼少期は卑しい子供として、忌み嫌われ種族差別を受けることになった。
成熟し里を出るまでのことは思い出したくないほどだ。
だから私は力を欲した。理不尽に抗える力を・・。里を出て私はあらゆる分野に手を出した。
徒手格闘、戦略知識、魔導戦闘術をそれぞれ極めた。
魔王軍に入り実績を重ね私は、卓越した軍師の才を買われ四天王の一人に名を連ねることになったのである。
私は幹部になり、人生の勝ち組となったはずなのだが・・。
事件は一ヶ月前に遡る。アバタール帝国の勇者パーティーが、私が管轄するテーグ密林に侵攻し、私を討伐しに来るという情報が入ったのであった。
そこからは破竹の勢いで私の部下は倒され、残すところは直属の部下と私自身だけとなったのである。
正直争いは嫌いだが、四天王である以上尻尾を巻いて逃げることは許されない。
私は覚悟し、勇者一行を迎え撃つのであった。
ーーーー
結果は歴然であった。私の弱点を調べ尽くしていた、勇者一行に抵抗も虚しく敗北を喫したのであった。
強い!強い!強い!無理!無理!無理!
私の思考はその二言で埋め尽くされていた。
柄にもなく弱音を吐いてしまうほどの規格外の強さであった。
特に勇者と傀儡師と呼ばれるこの世で唯一のユニーク役職の二人だ。
勇者は、並外れた接近戦の技術と中距離魔法を使いこなし、隙のない戦法で圧倒的力を見せつけられた。傀儡師は、火力重視の魔術を乱発し、その勇者を援護していた。傀儡師を攻撃しようものなら、傀儡師の懐にいる勇者級の強さを誇る傀儡が牙を剥き襲いかかる・・・。
正直、この二人なら余裕で魔王様に手が届くだろう。
せめて、どちらかを道連れにしてやる。
薄れゆく意識の中、私は魔力を振り絞り最高位魔術師を繰り出そうとしたその時であった。
傀儡師に話す素振りで近づいた勇者が、傀儡師に刃を向け斬りつけたのである。
そこからは、醜い私怨に塗れた勇者が傀儡師を一方的に長剣を振るっていた。
やがて勇者は満足したのか、私をほったらかしにしたままその場を後にしたのだった。
幸運にもトドメをさされなかったのだが、私の命は最早風前の灯。
ダメージを喰らいすぎて、自力で回復することもままならない。部下に治してもらおうにも、部下はすでにその姿を魔石に変えていた。
「クソ・・・。せっかく生き残ったのに、意味がないじゃない」
手で塞いでも流れ出る腹部の鮮血を眺めながら苦笑する。
このまま誰にも看取られず息絶えるのか・・。なんとも虚しい最後だったな。
私は静かに目を閉じ最後の時をじっと待つのであった。
ーーーーー
結論からいって、いっこうにその時は来なかった。身体が冷たくなるだの、手足の感覚がなくなるだのといった感じは一切なく、むしろ生気が戻っているような感覚さえあった。
「どういうこと?」
私は重くない瞼をゆっくりと上げると、
「やっと起きた?突然で悪いんだけど、あなたに聞きたいことがあるの」
仰向けで、倒れ込んでいた私の顔を覗きこむようにして覆い被さる人物がそう尋ねてきた。
その顔を認識したと同時に私は立ち上がり戦闘体勢をとる。
(ノウト・サルヴァンス!生きていたのか!?)
理由はわからないが、一命は取り留めたが、再び死の際に立たされていた。
私はどれだけ前世で酷いことをしたのだろうか?そう思うほどに運がない。
「身体を治したばかりだから、激しく動かない方がいい」
抑揚のない無機質な声でそう言う、ノウト・サルヴァンスはどこかおかしかった。無表情でこちらをじっと見てくる。
そこで私はようやく、彼が私に治療を施してくれたのだと理解する。
「どうして?何が目的なの?」
私は自分の腹部を触り驚愕する。応急処置などではない、完璧な治癒。
人間と魔族は身体の構造が違うので、治癒方法も異なるのだ。その知識量と技術が垣間見え、尚更この男を警戒する。
「貴方さっき、レイラやご主人様と同じ顔をしていた。どういう心境、感情だったのかを私に教えて欲しい」
異質な雰囲気を放つノウト・サルヴァンスに訝しげな目を向け聞く。
「貴方、誰なの?」
生気を感じられない硝子のような瞳が私を見据えていた。
戦地に行きたくないから、必死に努力をして四天王になったというのに・・。
私こと、センサザールは、肥沃翼竜の父とハイエルフの母の間に生まれた、混合種族である。
だからこそというべきなのか、私の幼少期は卑しい子供として、忌み嫌われ種族差別を受けることになった。
成熟し里を出るまでのことは思い出したくないほどだ。
だから私は力を欲した。理不尽に抗える力を・・。里を出て私はあらゆる分野に手を出した。
徒手格闘、戦略知識、魔導戦闘術をそれぞれ極めた。
魔王軍に入り実績を重ね私は、卓越した軍師の才を買われ四天王の一人に名を連ねることになったのである。
私は幹部になり、人生の勝ち組となったはずなのだが・・。
事件は一ヶ月前に遡る。アバタール帝国の勇者パーティーが、私が管轄するテーグ密林に侵攻し、私を討伐しに来るという情報が入ったのであった。
そこからは破竹の勢いで私の部下は倒され、残すところは直属の部下と私自身だけとなったのである。
正直争いは嫌いだが、四天王である以上尻尾を巻いて逃げることは許されない。
私は覚悟し、勇者一行を迎え撃つのであった。
ーーーー
結果は歴然であった。私の弱点を調べ尽くしていた、勇者一行に抵抗も虚しく敗北を喫したのであった。
強い!強い!強い!無理!無理!無理!
私の思考はその二言で埋め尽くされていた。
柄にもなく弱音を吐いてしまうほどの規格外の強さであった。
特に勇者と傀儡師と呼ばれるこの世で唯一のユニーク役職の二人だ。
勇者は、並外れた接近戦の技術と中距離魔法を使いこなし、隙のない戦法で圧倒的力を見せつけられた。傀儡師は、火力重視の魔術を乱発し、その勇者を援護していた。傀儡師を攻撃しようものなら、傀儡師の懐にいる勇者級の強さを誇る傀儡が牙を剥き襲いかかる・・・。
正直、この二人なら余裕で魔王様に手が届くだろう。
せめて、どちらかを道連れにしてやる。
薄れゆく意識の中、私は魔力を振り絞り最高位魔術師を繰り出そうとしたその時であった。
傀儡師に話す素振りで近づいた勇者が、傀儡師に刃を向け斬りつけたのである。
そこからは、醜い私怨に塗れた勇者が傀儡師を一方的に長剣を振るっていた。
やがて勇者は満足したのか、私をほったらかしにしたままその場を後にしたのだった。
幸運にもトドメをさされなかったのだが、私の命は最早風前の灯。
ダメージを喰らいすぎて、自力で回復することもままならない。部下に治してもらおうにも、部下はすでにその姿を魔石に変えていた。
「クソ・・・。せっかく生き残ったのに、意味がないじゃない」
手で塞いでも流れ出る腹部の鮮血を眺めながら苦笑する。
このまま誰にも看取られず息絶えるのか・・。なんとも虚しい最後だったな。
私は静かに目を閉じ最後の時をじっと待つのであった。
ーーーーー
結論からいって、いっこうにその時は来なかった。身体が冷たくなるだの、手足の感覚がなくなるだのといった感じは一切なく、むしろ生気が戻っているような感覚さえあった。
「どういうこと?」
私は重くない瞼をゆっくりと上げると、
「やっと起きた?突然で悪いんだけど、あなたに聞きたいことがあるの」
仰向けで、倒れ込んでいた私の顔を覗きこむようにして覆い被さる人物がそう尋ねてきた。
その顔を認識したと同時に私は立ち上がり戦闘体勢をとる。
(ノウト・サルヴァンス!生きていたのか!?)
理由はわからないが、一命は取り留めたが、再び死の際に立たされていた。
私はどれだけ前世で酷いことをしたのだろうか?そう思うほどに運がない。
「身体を治したばかりだから、激しく動かない方がいい」
抑揚のない無機質な声でそう言う、ノウト・サルヴァンスはどこかおかしかった。無表情でこちらをじっと見てくる。
そこで私はようやく、彼が私に治療を施してくれたのだと理解する。
「どうして?何が目的なの?」
私は自分の腹部を触り驚愕する。応急処置などではない、完璧な治癒。
人間と魔族は身体の構造が違うので、治癒方法も異なるのだ。その知識量と技術が垣間見え、尚更この男を警戒する。
「貴方さっき、レイラやご主人様と同じ顔をしていた。どういう心境、感情だったのかを私に教えて欲しい」
異質な雰囲気を放つノウト・サルヴァンスに訝しげな目を向け聞く。
「貴方、誰なの?」
生気を感じられない硝子のような瞳が私を見据えていた。
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