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21話
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時は遡り数十分前・・。
「お前は自分の手で復讐を果たしたいか?」
と、ゼンさんに質問を投げかけられる。
ボクはその言葉をそのまま飲み込めないでいた・・。
「したくないです、そんな感情を持ってはいけないって分かっているんです。だけど・・。」
自分の負の感情が表に出てしまうのが怖くなり、ボクは目を瞑ってしまう。
その恐怖に似た感覚に陥り、それ以上言葉が出ない。
だけど、そんなボクの肩をセンサザールさんが叩く。
「別に悪いことじゃないわ。私たちは聖人じゃないのだから、私は嫌なことを抱え込む必要はないと思うの。だから私たちはリーネがやりたいことに全力で協力するわ!」
センサザールは激励するかのように笑顔でそう言う。
その暖かさにまた瞳が潤む。
ずっと泣きっぱなしだな、ボク・・。
ボクは一呼吸置くと、ゼンさんの方を向き、
「出来ればこんなことしたくないですけど・・やり返したいです!今までの分全部、それぐらいのことをアイツらはやってきたです!」
と、強く言い放った。
元々、ボクたちの問題だ。だからこそ、この二人に頼ってはダメだと自分に言い聞かせる。
「なら、付け焼き刃だが教えておくか、奴隷商人共とは交戦しなければどうすることも出来ないしな」
「な、何をです?」
ゼンさんの言葉にそう聞き返すボクを二人はじっと見つめて、
「「戦い方」」と、声を合わせるのであった。
ーーーーー
リーネは空中を舞いながら敵の数を把握すると同時に魔眼を発動する。
特定の種族にしか扱えない魔力や魔素を視認することができる瞳術である。
(強大な魔力量を持っている人が二人、この二人がおそらく奴隷商の護衛です・・。)
「襲雨の羽!」
リーネはそう叫ぶと、自身の魔力を纏わせた羽を上空から弾丸のように射出する。
簡易詠唱魔法のため、威力は落ちるが対多人数の先制攻撃には効果的のようだ。
薄い鉄板なら貫けるほどの硬度を誇る羽が男たちに襲いかかる。
「反射魔鏡」
灰魔術士のゴーイッグが杖を振り自身とドルゴの目と鼻の先に魔力で練られた障壁を作り、リーネの襲雨の羽を難なく防ぐ。
「ドルゴさん、天翼族とはこの程度なんですかね?」
「希少種族だからな、淘汰された種族。相手にならんな・・。」
地上にいる二人は呆れた目でリーネを眺めていた。
リーネはそんな二人ではなく周りに目を向ける。
彼ら以外の奴隷商人たちは皆リーネの攻撃をもろに受け地面に倒れていた。
「酷い人たちです、仲間のことを守りすらしないなんて・・。」
リーネは敵ながらも彼らの言動に憤りを覚える。
「仲間?そんなわけねーだろ。自分の身を守れないヤツが悪いだろ」
「それにコレをやったのは貴方ですよね?」
悪びれた様子もない二人に対しリーネは奥歯を噛み締め追撃を行う。
「襲雨の羽!」
「芸がないな」
ドルゴはリーネの攻撃に意味がないと示すように生身でソレを受け、ゴーイッグは、
「火球!」
と、攻撃範囲から素早く離れ迎撃する。
滞空していたリーネはその身を翻し火球を避ける。
ドルゴは対空用の攻撃手段がないのか、仁王立ちでゴーイッグとリーネの戦いの応酬を退屈そうに眺めていた。
「もしかして、魔力切れを狙っています?こんな初級魔術、いくら撃っても魔力切れなんて起きませんよ」
余裕の笑みを浮かべるゴーイッグに対して、リーネは切羽詰まった顔をしていた。
その最中リーネはゼンたちの助言を頭の中で巡らせていく。
『この技はほんの一瞬の隙をつき、形成を逆転させられる技だが、いかんせん相手依存の技になる。状況を見極めて使え』
ゼンの助言を信じ、いちかばちかの技を使う機会を伺っていたが好奇はなかなか訪れずにいた。
それどころか、初めての戦闘経験であるリーネは命のやり取りに精神をすり減らし、体力は限界に近かった。
だが、幸運にも先に限界を迎えたのは、蚊帳の外にされ、痺れを切らしたドルゴであった。
「時間の無駄だ、おいガキ!早くこっちにきて降参しねーとコイツらを殺すぞ」
ドルゴはそう言い威圧すると、拳に力を入れ側にいたミランダに掴みかかるのであったが、そこである異変に気付く。
(ガキの周りにやけに羽が散らばってねえか?)
その動作を見逃さなかったリーネ。
「そこです!」
リーネは旋回し火球を避けながらドルゴとミランダの間を指差す。
「鎖状の落羽!」
リーネの声に呼応するかのように地面に突き刺さった無数の羽が意志を持ったかのようにドルゴに絡みつく。
瞬く間に羽は強靭な鎖へと変貌し、ドルゴの四肢を縛り大の字に固定させる。
「天板加速」
リーネは動揺するドルゴに向かって、魔力で圧縮した空気を左右の脚で蹴りながら急降下し接近する。
「魔呪式があるんじゃねえのかよ!お前のどこにそんな魔力がッ!?」
リーネの拳がドルゴの左頬を強く打ち、空気が爆ぜるのであった。
「お前は自分の手で復讐を果たしたいか?」
と、ゼンさんに質問を投げかけられる。
ボクはその言葉をそのまま飲み込めないでいた・・。
「したくないです、そんな感情を持ってはいけないって分かっているんです。だけど・・。」
自分の負の感情が表に出てしまうのが怖くなり、ボクは目を瞑ってしまう。
その恐怖に似た感覚に陥り、それ以上言葉が出ない。
だけど、そんなボクの肩をセンサザールさんが叩く。
「別に悪いことじゃないわ。私たちは聖人じゃないのだから、私は嫌なことを抱え込む必要はないと思うの。だから私たちはリーネがやりたいことに全力で協力するわ!」
センサザールは激励するかのように笑顔でそう言う。
その暖かさにまた瞳が潤む。
ずっと泣きっぱなしだな、ボク・・。
ボクは一呼吸置くと、ゼンさんの方を向き、
「出来ればこんなことしたくないですけど・・やり返したいです!今までの分全部、それぐらいのことをアイツらはやってきたです!」
と、強く言い放った。
元々、ボクたちの問題だ。だからこそ、この二人に頼ってはダメだと自分に言い聞かせる。
「なら、付け焼き刃だが教えておくか、奴隷商人共とは交戦しなければどうすることも出来ないしな」
「な、何をです?」
ゼンさんの言葉にそう聞き返すボクを二人はじっと見つめて、
「「戦い方」」と、声を合わせるのであった。
ーーーーー
リーネは空中を舞いながら敵の数を把握すると同時に魔眼を発動する。
特定の種族にしか扱えない魔力や魔素を視認することができる瞳術である。
(強大な魔力量を持っている人が二人、この二人がおそらく奴隷商の護衛です・・。)
「襲雨の羽!」
リーネはそう叫ぶと、自身の魔力を纏わせた羽を上空から弾丸のように射出する。
簡易詠唱魔法のため、威力は落ちるが対多人数の先制攻撃には効果的のようだ。
薄い鉄板なら貫けるほどの硬度を誇る羽が男たちに襲いかかる。
「反射魔鏡」
灰魔術士のゴーイッグが杖を振り自身とドルゴの目と鼻の先に魔力で練られた障壁を作り、リーネの襲雨の羽を難なく防ぐ。
「ドルゴさん、天翼族とはこの程度なんですかね?」
「希少種族だからな、淘汰された種族。相手にならんな・・。」
地上にいる二人は呆れた目でリーネを眺めていた。
リーネはそんな二人ではなく周りに目を向ける。
彼ら以外の奴隷商人たちは皆リーネの攻撃をもろに受け地面に倒れていた。
「酷い人たちです、仲間のことを守りすらしないなんて・・。」
リーネは敵ながらも彼らの言動に憤りを覚える。
「仲間?そんなわけねーだろ。自分の身を守れないヤツが悪いだろ」
「それにコレをやったのは貴方ですよね?」
悪びれた様子もない二人に対しリーネは奥歯を噛み締め追撃を行う。
「襲雨の羽!」
「芸がないな」
ドルゴはリーネの攻撃に意味がないと示すように生身でソレを受け、ゴーイッグは、
「火球!」
と、攻撃範囲から素早く離れ迎撃する。
滞空していたリーネはその身を翻し火球を避ける。
ドルゴは対空用の攻撃手段がないのか、仁王立ちでゴーイッグとリーネの戦いの応酬を退屈そうに眺めていた。
「もしかして、魔力切れを狙っています?こんな初級魔術、いくら撃っても魔力切れなんて起きませんよ」
余裕の笑みを浮かべるゴーイッグに対して、リーネは切羽詰まった顔をしていた。
その最中リーネはゼンたちの助言を頭の中で巡らせていく。
『この技はほんの一瞬の隙をつき、形成を逆転させられる技だが、いかんせん相手依存の技になる。状況を見極めて使え』
ゼンの助言を信じ、いちかばちかの技を使う機会を伺っていたが好奇はなかなか訪れずにいた。
それどころか、初めての戦闘経験であるリーネは命のやり取りに精神をすり減らし、体力は限界に近かった。
だが、幸運にも先に限界を迎えたのは、蚊帳の外にされ、痺れを切らしたドルゴであった。
「時間の無駄だ、おいガキ!早くこっちにきて降参しねーとコイツらを殺すぞ」
ドルゴはそう言い威圧すると、拳に力を入れ側にいたミランダに掴みかかるのであったが、そこである異変に気付く。
(ガキの周りにやけに羽が散らばってねえか?)
その動作を見逃さなかったリーネ。
「そこです!」
リーネは旋回し火球を避けながらドルゴとミランダの間を指差す。
「鎖状の落羽!」
リーネの声に呼応するかのように地面に突き刺さった無数の羽が意志を持ったかのようにドルゴに絡みつく。
瞬く間に羽は強靭な鎖へと変貌し、ドルゴの四肢を縛り大の字に固定させる。
「天板加速」
リーネは動揺するドルゴに向かって、魔力で圧縮した空気を左右の脚で蹴りながら急降下し接近する。
「魔呪式があるんじゃねえのかよ!お前のどこにそんな魔力がッ!?」
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