23 / 43
第23話
しおりを挟む
ドルゴは恐怖に支配されているのか、普段よりも攻撃を避ける動作が大袈裟になってしまう。
それほどに目の前の竜人族の女の攻撃に恐怖心を抱いているからなのだろう。
実際、女がドルゴに向かって腕を振るだけで突風が発生するほどの威力があり、接近戦を得意とする武闘家のドルゴでさえ、一発当たれば決着がついてしまうだろう。
「あら、逃げてばっかりなの?貴方の土俵に上がってあげているのに」
つまらないといった様子で女がドルゴに挑発をする。
「お前ら竜人族こそ、近接戦が得意だろーが!?身体能力にカマかけてるだけの魔族が調子に乗るなよ」
「一つ教えてあげるわ、竜に向かって竜人は侮辱言葉なのよ、それと私はハーフエルフ、二度と竜人族と呼ばないでもらえるかしら?」
女はさらにギアを上げるように攻撃の手数と速度が上がる。
女は手加減をしているということがあからさまなほどに、攻撃速度が加速していく。
ドルゴは、手を抜かれている事実に憤りながらも女の猛攻を掻い潜り、懐に入り込むと女のボディに強く自身の拳を叩き込むのだったが・・、
「・・っ!?」
ドルゴは目を疑う。
女は、何事もなかったかのようにドルゴを見つめていた。
それどころか、あえて受けたかのような棒立ちにドルゴは苛立ち、退くことはせずにその場で怒涛の乱れ打ちを繰り出す。
「狂戦士の突撃!!」
一発・二発・三発と連打を打ち込むたびに、肉体強化と攻撃速度を上昇させていく、ドルゴの捨て身の必殺技だ。
本来、狂戦士の突撃は、発動中に攻撃しか出来ず、それ以外のスキルや防御手段が取れない、諸刃の剣のスキルなのだが、相手が反撃の意志を見せていない以上、このスキルほど適当なものはない。
(火力も抜群のこの攻撃を受け切ったヤツはいねぇ。今にそのツラ歪ませてやるよ!)
ドルゴは内心でそう強く思うと、咆哮を上げる。
「魔族の分際で俺様に舐めた真似してんじゃねぇよおおおおお!!」
やがてドルゴの打撃音は空気が爆ぜ、女同様に衝撃波で突風が吹くほどに達していた。
大気が揺れ、女の体躯が後ろに押され始め、地面にずった足の跡が生まれる。
だが、連撃は五十発に到達したところで途切れてしまう。
女が耐えきれずに倒れたわけでも、妨害されたわけでもない。
ドルゴの拳がもたなかったのだ。
女は欠伸をまざまざと見せつけながらドルゴを一瞥する。
ドルゴはその様子を見て地面にへたり込む。
肉が裂け骨が飛び出したその手の痛みよりも自尊心が打ち砕かれたことに対しドルゴの心は真っ二つに折れてしまったのであった。
「な、何だよお前・・。俺の攻撃を食らって何でダメージが残ってないんだよ!?」
「あら、別に痛くないわけではないのよ?ただ貴方の攻撃のダメージよりも私の自己回復が上回っただけ、ただそれだけの話よ」
何を驚いているのだと、可笑しな物を見る目で笑う女に、ドルゴはつい空笑いが出てしまう。
物理攻撃職の武闘家の攻撃が自己回復に劣っている、これほど屈辱的なものはないのだが、怒りよりも恐怖が勝ってしまう。ドルゴは気が触れたのか、笑いが止まらなくなる。
「ハハハハハ!B級の俺が歯も立たないなんて、どんだけ竜人族の身体は強えーんだよ!?やっぱり近接特化の魔族はみんなそんなに頑強なのか?」
「何言っているの?私は魔導職よ。」
「・・・は・・?」
その一言にドルゴは固まってしまう。
「まさか竜族がこんなモノと思っているわけ?私は純血じゃないし、竜族の血が流れているだけで嫌だけど本物なら貴方の腕残ってないわよ」
「・・何だよ、何だよそれ!」
「そっか、貴方ずっとB級、B級って自慢してたわね。竜族の討伐なんて最低でもA級の共闘パーティーからだったかしら?実物なんて見たことすらないんじゃないの?」
ほくそ笑みながらそう言う女にドルゴは怨恨の表情で睨む。
「まあ、お喋りはここまでにしてそろそろ終わりにしましょうか・・」
「クソッ!お前は俺が絶対に殺してやる!」
女は伸びをして、ドルゴを見下すと腕を振り上げたーーー。
「センサザールさん、待ってください!」
そう言い、静止の声を上げたのは先程ドルゴが倒した少女であった。
息を荒げ、腕を庇うようにして少女はドルゴの前にやって来る。
「ボクに殺させて下さいです・・。」
それほどに目の前の竜人族の女の攻撃に恐怖心を抱いているからなのだろう。
実際、女がドルゴに向かって腕を振るだけで突風が発生するほどの威力があり、接近戦を得意とする武闘家のドルゴでさえ、一発当たれば決着がついてしまうだろう。
「あら、逃げてばっかりなの?貴方の土俵に上がってあげているのに」
つまらないといった様子で女がドルゴに挑発をする。
「お前ら竜人族こそ、近接戦が得意だろーが!?身体能力にカマかけてるだけの魔族が調子に乗るなよ」
「一つ教えてあげるわ、竜に向かって竜人は侮辱言葉なのよ、それと私はハーフエルフ、二度と竜人族と呼ばないでもらえるかしら?」
女はさらにギアを上げるように攻撃の手数と速度が上がる。
女は手加減をしているということがあからさまなほどに、攻撃速度が加速していく。
ドルゴは、手を抜かれている事実に憤りながらも女の猛攻を掻い潜り、懐に入り込むと女のボディに強く自身の拳を叩き込むのだったが・・、
「・・っ!?」
ドルゴは目を疑う。
女は、何事もなかったかのようにドルゴを見つめていた。
それどころか、あえて受けたかのような棒立ちにドルゴは苛立ち、退くことはせずにその場で怒涛の乱れ打ちを繰り出す。
「狂戦士の突撃!!」
一発・二発・三発と連打を打ち込むたびに、肉体強化と攻撃速度を上昇させていく、ドルゴの捨て身の必殺技だ。
本来、狂戦士の突撃は、発動中に攻撃しか出来ず、それ以外のスキルや防御手段が取れない、諸刃の剣のスキルなのだが、相手が反撃の意志を見せていない以上、このスキルほど適当なものはない。
(火力も抜群のこの攻撃を受け切ったヤツはいねぇ。今にそのツラ歪ませてやるよ!)
ドルゴは内心でそう強く思うと、咆哮を上げる。
「魔族の分際で俺様に舐めた真似してんじゃねぇよおおおおお!!」
やがてドルゴの打撃音は空気が爆ぜ、女同様に衝撃波で突風が吹くほどに達していた。
大気が揺れ、女の体躯が後ろに押され始め、地面にずった足の跡が生まれる。
だが、連撃は五十発に到達したところで途切れてしまう。
女が耐えきれずに倒れたわけでも、妨害されたわけでもない。
ドルゴの拳がもたなかったのだ。
女は欠伸をまざまざと見せつけながらドルゴを一瞥する。
ドルゴはその様子を見て地面にへたり込む。
肉が裂け骨が飛び出したその手の痛みよりも自尊心が打ち砕かれたことに対しドルゴの心は真っ二つに折れてしまったのであった。
「な、何だよお前・・。俺の攻撃を食らって何でダメージが残ってないんだよ!?」
「あら、別に痛くないわけではないのよ?ただ貴方の攻撃のダメージよりも私の自己回復が上回っただけ、ただそれだけの話よ」
何を驚いているのだと、可笑しな物を見る目で笑う女に、ドルゴはつい空笑いが出てしまう。
物理攻撃職の武闘家の攻撃が自己回復に劣っている、これほど屈辱的なものはないのだが、怒りよりも恐怖が勝ってしまう。ドルゴは気が触れたのか、笑いが止まらなくなる。
「ハハハハハ!B級の俺が歯も立たないなんて、どんだけ竜人族の身体は強えーんだよ!?やっぱり近接特化の魔族はみんなそんなに頑強なのか?」
「何言っているの?私は魔導職よ。」
「・・・は・・?」
その一言にドルゴは固まってしまう。
「まさか竜族がこんなモノと思っているわけ?私は純血じゃないし、竜族の血が流れているだけで嫌だけど本物なら貴方の腕残ってないわよ」
「・・何だよ、何だよそれ!」
「そっか、貴方ずっとB級、B級って自慢してたわね。竜族の討伐なんて最低でもA級の共闘パーティーからだったかしら?実物なんて見たことすらないんじゃないの?」
ほくそ笑みながらそう言う女にドルゴは怨恨の表情で睨む。
「まあ、お喋りはここまでにしてそろそろ終わりにしましょうか・・」
「クソッ!お前は俺が絶対に殺してやる!」
女は伸びをして、ドルゴを見下すと腕を振り上げたーーー。
「センサザールさん、待ってください!」
そう言い、静止の声を上げたのは先程ドルゴが倒した少女であった。
息を荒げ、腕を庇うようにして少女はドルゴの前にやって来る。
「ボクに殺させて下さいです・・。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冴えない建築家いずれ巨匠へと至る
木工槍鉋
ファンタジー
「建築とは、単なる箱を作ることではない。そこに流れる『時』を設計することだ――」
かつてそう語り、伝説の巨匠と呼ばれることになる男も、かつては己の名前に怯えるだけの冴えない二級建築士だった。
安藤研吾、40代。独立したものの仕事はなく、下請けとして「情緒のない真四角な箱」の図面を引き続ける日々。そんな彼が恩師に教えられた座標の先で迷い込んだのは、昭和初期を彷彿とさせる、魔法のない異世界だった。
現代の建築知識、そして一釘一釘を大切にする頑固大工との出会い。 「便利さ」ではなく「住む人の幸せ」を求めて、研吾は廃村に時計台を建て、水路を拓き、人々の暮らしを再生していく。
異世界で「百年の計」を学んだ研吾が現実世界に戻ったとき、その設計は現代の建築界をも揺るがし始める。 これは、一人の男が仕事への誇りを取り戻し、本物の「巨匠」へと駆け上がるまでの、ひたむきな再建の記録。
結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
さようなら、私を「枯れた花」と呼んだ貴方。~辺境で英雄を救って聖女と呼ばれたので、没落した元婚約者の謝罪は受け付けません~
阿里
恋愛
「お前のような見栄えの悪い女は、俺の隣にふさわしくない」
婚約者アレクに捨てられ、辺境へ追いやられたセレナ。
けれど、彼女が森で拾ったのは、アレクなど足元にも及ばないほど強くて優しい、呪われた英雄ライアンだった。
セレナの薬草が奇跡を起こし、王都を救う特効薬となったとき、かつて自分を捨てた男との再会が訪れる。
「やり直そう」と縋り付くアレクに、セレナは最愛の人と寄り添いながら静かに微笑む。
――あなたが捨てたのは、ただの影ではなく、あなたの未来そのものだったのですよ。
「お前を愛する事はない」を信じたので
あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」
お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる