主人を殺された傀儡は地の女王と復讐の旅に出る

タカヒラ 桜楽

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第23話

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ドルゴは恐怖に支配されているのか、普段よりも攻撃を避ける動作が大袈裟になってしまう。
それほどに目の前の竜人族の女の攻撃に恐怖心を抱いているからなのだろう。
実際、女がドルゴに向かって腕を振るだけで突風が発生するほどの威力があり、接近戦を得意とする武闘家モンクのドルゴでさえ、一発当たれば決着がついてしまうだろう。

「あら、逃げてばっかりなの?貴方の土俵に上がってあげているのに」

つまらないといった様子で女がドルゴに挑発をする。

「お前ら竜人族こそ、近接戦が得意だろーが!?身体能力にカマかけてるだけの魔族が調子に乗るなよ」

「一つ教えてあげるわ、竜に向かっては侮辱言葉なのよ、それと私は、二度と竜人族と呼ばないでもらえるかしら?」

女はさらにギアを上げるように攻撃の手数と速度が上がる。

女は手加減をしているということがあからさまなほどに、攻撃速度が加速していく。

ドルゴは、手を抜かれている事実に憤りながらも女の猛攻を掻い潜り、懐に入り込むと女のボディに強く自身の拳を叩き込むのだったが・・、

「・・っ!?」

ドルゴは目を疑う。
女は、何事もなかったかのようにドルゴを見つめていた。
それどころか、あえて受けたかのような棒立ちにドルゴは苛立ち、退くことはせずにその場で怒涛の乱れ打ちを繰り出す。

狂戦士の突撃バーサーカーラッシュ!!」

一発・二発・三発と連打を打ち込むたびに、肉体強化と攻撃速度を上昇させていく、ドルゴの捨て身の必殺技だ。
本来、狂戦士の突撃バーサーカーラッシュは、発動中に攻撃しか出来ず、それ以外のスキルや防御手段が取れない、諸刃の剣のスキルなのだが、相手が反撃カウンターの意志を見せていない以上、このスキルほど適当なものはない。

(火力も抜群のこの攻撃を受け切ったヤツはいねぇ。今にそのツラ歪ませてやるよ!)

ドルゴは内心でそう強く思うと、咆哮を上げる。

「魔族の分際で俺様に舐めた真似してんじゃねぇよおおおおお!!」

やがてドルゴの打撃音は空気が爆ぜ、女同様に衝撃波で突風が吹くほどに達していた。
大気が揺れ、女の体躯が後ろに押され始め、地面にずった足の跡が生まれる。

だが、連撃は五十発に到達したところで途切れてしまう。
女が耐えきれずに倒れたわけでも、妨害されたわけでもない。
ドルゴの拳がもたなかったのだ。
女は欠伸をまざまざと見せつけながらドルゴを一瞥する。
ドルゴはその様子を見て地面にへたり込む。
肉が裂け骨が飛び出したその手の痛みよりも自尊心が打ち砕かれたことに対しドルゴの心は真っ二つに折れてしまったのであった。


「な、何だよお前・・。俺の攻撃を食らって何でダメージが残ってないんだよ!?」

「あら、別に痛くないわけではないのよ?ただ貴方の攻撃のダメージよりも私の自己回復が上回っただけ、ただそれだけの話よ」

何を驚いているのだと、可笑しな物を見る目で笑う女に、ドルゴはつい空笑いが出てしまう。
物理攻撃職の武闘家モンクの攻撃が自己回復に劣っている、これほど屈辱的なものはないのだが、怒りよりも恐怖が勝ってしまう。ドルゴは気が触れたのか、笑いが止まらなくなる。

「ハハハハハ!B級の俺が歯も立たないなんて、どんだけ竜人族の身体は強えーんだよ!?やっぱり近接特化の魔族はみんなそんなに頑強なのか?」

「何言っているの?私は魔導職よ。」

「・・・は・・?」

その一言にドルゴは固まってしまう。

「まさか竜族がこんなモノと思っているわけ?私は純血じゃないし、の血が流れているだけで嫌だけど本物なら貴方の腕残ってないわよ」

「・・何だよ、何だよそれ!」

「そっか、貴方ずっとB級、B級って自慢してたわね。竜族の討伐なんて最低でもA級の共闘パーティーからだったかしら?実物なんて見たことすらないんじゃないの?」

ほくそ笑みながらそう言う女にドルゴは怨恨の表情で睨む。

「まあ、お喋りはここまでにしてそろそろ終わりにしましょうか・・」

「クソッ!お前は俺が絶対に殺してやる!」

女は伸びをして、ドルゴを見下すと腕を振り上げたーーー。

「センサザールさん、待ってください!」

そう言い、静止の声を上げたのは先程ドルゴが倒した少女であった。
息を荒げ、腕を庇うようにして少女はドルゴの前にやって来る。

「ボクに殺させてやらせて下さいです・・。」


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