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少女たちの秘密基地
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タナレスクの森の出来事から半月ほど経ち環境はガラリと変わっていた。
タナレスクの森は再び子供の遊び場になり、商人が行き交い村も以前と同じように物が流通するようになっていた。
そんなタナレスクの森には大きな大木が存在する。
フェニが大き過ぎてあまり気づかなかったが、四畳半ほどの空洞がある大木は、私たちの村の子供たちでは『秘密基地』といって、ここで、おままごとや集合場所などによく使われているのである。
「ほら、入って、入って!」
そんな大木の中にミリアンヌが私たちを招き入れる。
別にミリアンヌの所有物というわけではないのだが、この集まりのリーダー的存在が彼女なので、おのずとそんな風になっているわけだ。
「お、おじゃましま~す・・。」
「バウ!バウ!」
「こら!フェニちゃん、ここでは犬の真似しないの」
ミリアンヌは大木の中に入るや否や私からフェニを引ったくるように奪う。
フェニはジタバタとミリアンヌの手の中でもがくが、ミリアンヌの目力に負け、しばらくして項垂れると、「わかったよ・・。」と、観念するのであった。
大木の中には、大人たちが私たち子供のために作った椅子やテーブルが存在しており、秘密基地と言っているが、自然の施設のような物だと私たちは感じている。
ここは避難場所にも最適で、扉と動物たちを除ける魔道具も存在している所なのだ。
「ベーラちゃんおはよう・・。」
ミリアンヌが嫌がるフェニの身体を抱きしめていると、奥の方からか細い声が聞こえる。
声の主は、カラスの羽のように艶やかな黒髪の少女レーネである。
レーネはこちらを見ながらハムスターのように黙々とクッキーを食べていた。
「レーネちゃん早いんだね・・。」
「玄関の前にミリアンヌちゃんが待っていたから」
「そ、そうなんだ・・。」
私は苦笑しながら、ミリアンヌに勧められた扉近くの椅子に、フェニはテーブルに座る。
「今日集まってもらったのは他でもなく・・。」
「魔女に関してでしょ?」
咳払いをして勿体ぶるミリアンヌにフェニはつまらなそうに答える。
魔女とは、タナレスクの森の出来事以降、耳にタコが出来るほどにミリアンヌの口から発せられる言葉である。
「じゃあ話が早いわね・・!?」
ミリアンヌはそう言うと、フェニの真横に辞書ほどに分厚い本を荒々しくテーブルに置く。
その音にフェニは身体をビクつかせ私の膝に飛び移る。
目を血走らせ、鼻息を荒くした今のミリアンヌ私でも怖く感じるのでフェニの反応は仕方ないだろう。
「これ新しく手に入れた魔女様に関する本なのよ!」
ミリアンヌのその言葉に私は大きなため息を吐く。
ーーーーー
タナレスクの森にて、大狼であるフェニと私の前世の姿が戦っているところを見て以来ミリアンヌは魔女(実際には魔法少女)のことが気になったらしく、魔女について独自で調べているらしい。
魔女について研究して、それを私やレーネ、フェニとあの場所に居合わせたメンバーを集めて研究成果を発表などをこの秘密基地で行なっているのであった。
始めはおままごとの延長線のような物だと、彼女に乗っていたのだがその熱量は凄く、他の国の書物を漁ったり、自身も魔法の練習を行なっているようで、のめり込み方に私は怖くなっているのだ。
「魔女はしゅうえんを知り光を閉じこめた。そうぞうは絶え間ないやみと変わらないだろう・・。」
ミリアンヌは拙い音読で私たちにいつも読み聞かせるのだ。
興味のない話を聞かされるのは面倒だが、必死に私たちに伝えようとしているその姿が愛らしく、ついこの集まりに赴いてしまうのだ。
夢中に音読をしているミリアンヌをよそに、レーネはクッキーを食べ続けており、フェニはそのクッキーを横取りしようとレーネの周りで彷徨いていた。
フェニは甘い物が好物で、レーネがいつも食べているお菓子が欲しくて堪らないのだが、食い意地の張ったレーネはガッチリと腕の中にお菓子の入ったバケットをホールドしているため、いつもフェニは食べることができないのだ。
「ねえ~!一枚、一枚でいいからボクにくれよ」
レーネの足下で、ピョンピョンと跳ねながらおねだりをするフェニ。
その様子を見て勝ち誇った顔をするレーネを見て私はクスクスと笑ってしまう。
最初はフェニのことをあんなに怖がっていたのに、今では本当に仲が良いんだから。
「ちょっとベーラちゃん!私の話聞いてるの!?」
「え、えーと・・。ご、ごめん聞いてなかったや・・。」
ベーラの迫力に気圧され正直に答えてしまう。
「なんの話だっけ・・。」
「もう、ベーラちゃんったら・・。」
ミリアンヌは苦笑いをする私に向かってため息を吐くと、私に向かって人差し指を立てる。
「魔女様を見つける方法があるらしいの!」
ミリアンヌの言葉にその場にいた者は皆同じく首を傾げただろう。
「魔女を見つける方法?」
私たちの反応を面白がるようにミリアンヌは歯を出して笑うのであった。
タナレスクの森は再び子供の遊び場になり、商人が行き交い村も以前と同じように物が流通するようになっていた。
そんなタナレスクの森には大きな大木が存在する。
フェニが大き過ぎてあまり気づかなかったが、四畳半ほどの空洞がある大木は、私たちの村の子供たちでは『秘密基地』といって、ここで、おままごとや集合場所などによく使われているのである。
「ほら、入って、入って!」
そんな大木の中にミリアンヌが私たちを招き入れる。
別にミリアンヌの所有物というわけではないのだが、この集まりのリーダー的存在が彼女なので、おのずとそんな風になっているわけだ。
「お、おじゃましま~す・・。」
「バウ!バウ!」
「こら!フェニちゃん、ここでは犬の真似しないの」
ミリアンヌは大木の中に入るや否や私からフェニを引ったくるように奪う。
フェニはジタバタとミリアンヌの手の中でもがくが、ミリアンヌの目力に負け、しばらくして項垂れると、「わかったよ・・。」と、観念するのであった。
大木の中には、大人たちが私たち子供のために作った椅子やテーブルが存在しており、秘密基地と言っているが、自然の施設のような物だと私たちは感じている。
ここは避難場所にも最適で、扉と動物たちを除ける魔道具も存在している所なのだ。
「ベーラちゃんおはよう・・。」
ミリアンヌが嫌がるフェニの身体を抱きしめていると、奥の方からか細い声が聞こえる。
声の主は、カラスの羽のように艶やかな黒髪の少女レーネである。
レーネはこちらを見ながらハムスターのように黙々とクッキーを食べていた。
「レーネちゃん早いんだね・・。」
「玄関の前にミリアンヌちゃんが待っていたから」
「そ、そうなんだ・・。」
私は苦笑しながら、ミリアンヌに勧められた扉近くの椅子に、フェニはテーブルに座る。
「今日集まってもらったのは他でもなく・・。」
「魔女に関してでしょ?」
咳払いをして勿体ぶるミリアンヌにフェニはつまらなそうに答える。
魔女とは、タナレスクの森の出来事以降、耳にタコが出来るほどにミリアンヌの口から発せられる言葉である。
「じゃあ話が早いわね・・!?」
ミリアンヌはそう言うと、フェニの真横に辞書ほどに分厚い本を荒々しくテーブルに置く。
その音にフェニは身体をビクつかせ私の膝に飛び移る。
目を血走らせ、鼻息を荒くした今のミリアンヌ私でも怖く感じるのでフェニの反応は仕方ないだろう。
「これ新しく手に入れた魔女様に関する本なのよ!」
ミリアンヌのその言葉に私は大きなため息を吐く。
ーーーーー
タナレスクの森にて、大狼であるフェニと私の前世の姿が戦っているところを見て以来ミリアンヌは魔女(実際には魔法少女)のことが気になったらしく、魔女について独自で調べているらしい。
魔女について研究して、それを私やレーネ、フェニとあの場所に居合わせたメンバーを集めて研究成果を発表などをこの秘密基地で行なっているのであった。
始めはおままごとの延長線のような物だと、彼女に乗っていたのだがその熱量は凄く、他の国の書物を漁ったり、自身も魔法の練習を行なっているようで、のめり込み方に私は怖くなっているのだ。
「魔女はしゅうえんを知り光を閉じこめた。そうぞうは絶え間ないやみと変わらないだろう・・。」
ミリアンヌは拙い音読で私たちにいつも読み聞かせるのだ。
興味のない話を聞かされるのは面倒だが、必死に私たちに伝えようとしているその姿が愛らしく、ついこの集まりに赴いてしまうのだ。
夢中に音読をしているミリアンヌをよそに、レーネはクッキーを食べ続けており、フェニはそのクッキーを横取りしようとレーネの周りで彷徨いていた。
フェニは甘い物が好物で、レーネがいつも食べているお菓子が欲しくて堪らないのだが、食い意地の張ったレーネはガッチリと腕の中にお菓子の入ったバケットをホールドしているため、いつもフェニは食べることができないのだ。
「ねえ~!一枚、一枚でいいからボクにくれよ」
レーネの足下で、ピョンピョンと跳ねながらおねだりをするフェニ。
その様子を見て勝ち誇った顔をするレーネを見て私はクスクスと笑ってしまう。
最初はフェニのことをあんなに怖がっていたのに、今では本当に仲が良いんだから。
「ちょっとベーラちゃん!私の話聞いてるの!?」
「え、えーと・・。ご、ごめん聞いてなかったや・・。」
ベーラの迫力に気圧され正直に答えてしまう。
「なんの話だっけ・・。」
「もう、ベーラちゃんったら・・。」
ミリアンヌは苦笑いをする私に向かってため息を吐くと、私に向かって人差し指を立てる。
「魔女様を見つける方法があるらしいの!」
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