ダークファンタジーの魔法少女、異世界スローライフで日常を知る

タカヒラ 桜楽

文字の大きさ
37 / 37

首謀者 前編

しおりを挟む
 「わざわざセルザローグまでご足労頂きありがとうございますわ!」

 小太りの夫人が扇子を口元に置きながら、上品に笑う。

 ミルナバは、こちらの機嫌を取ろうとするあからさまな夫人の態度に眉を顰める。

 ミルナバたちは現在、セルザローグの東隣のミドザリア王国まで来ていたのであった。

 隣にいるレンダはティーカップを傾け、呑気に出された紅茶を一気に飲み干していた。

 レンダにとって、家主用に作られた大きさのティーカップでは小人の物のように小さく見えてしまう。

 レンダのあまりに速いおかわりに給仕係が慌てて茶葉にお湯を注いでいた。

 遠慮のない飲みっぷりに流石の夫人の口角もヒクついてしまうほどであった。

 「それで?ご要件とは一体どのようなものなんですの?」

 小太りの夫人は自分の心を落ち着けるように紅茶を飲みながら本題に入る。
 
 ミルナバはレンダに目配せをし、依頼のあった書状を取り出させ、テーブルに広げる。

 大理石で作られた、権力を見せつけているような豪勢なテーブルに目もくれずレンダは大雑把に書状を広げるのであった。

 「この書状は貴女が依頼した物で間違いですね?」

 ミルナバはぎこちない敬語を使いながらそう訊ねる。

 夫人は小首を傾げながら、「そうですが・・。」と、不思議そうに聞き返すのであった。

 「実は我々が到着する前にミドザリア王国の騎士団が魔女狩りを行っていまして・・。」
 「そうなんですか・・。」

 夫人の何が言いたいのかよくわからないといった顔にミルナバ鋭い眼光を向ける。

 「本来ならあり得ないことですよ?我々教会と魔女教の討伐を目的として編成された王国騎士団が会い見えるなんてことはね・・。」

 ミルナバのその言葉を聞いてもなお、理解していない顔の夫人にミルナバは苦笑してしまう。

 「そもそも、今回の調査は何かと不可解な点が多かったんですよ」

 ミルナバはそう言い指を一つずつ数え、立ていく。

 「一つ、王国騎士団が動いているのに、わざわざ近隣諸国の教会にも書状が来ていたこと。
 二つ、魔女教徒を厳しく取り締まっているはずのあなた方夫妻が王国騎士団の魔女教討伐をすることを聞かされていない」

 夫人は威圧的に問い詰めるミルナバに目を白黒させる。

 「そしてだ・・。」

 ミルナバはそう言い、首に掛けている十字架を外す。

 ジャラッとチェーンが音を立てながら空白の間を不穏な音が掻き立てる。

 「おしどり夫婦の夫人が旦那と一緒にいないなんてね・・。」

 ミルナバの言葉と同時に、目の前の夫人が席を立つ。

 瞬間ミルナバは後を追いかけるように席を立ち、十字架を宙に投げる。

 「捕縛の糸カティヴィタ・リッジェーロ

 その声と共にミルナバの投げた十字架から無数の糸のような細かい光が夫人目掛け襲いかかる。

 なす術なく夫人はその光に絡め取られ、身動きが取れなくなる。

 オロオロと辺りを見渡す夫人であったが、近辺にいた給仕係は私の意図を汲み取ったレンダが同じく、捕縛の糸カティヴィタ・リッジェーロを使い捕らえていたのであった。

 「さ、白状したらどうさね。アンタは一体誰なんだい?」
 



 

 
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

2021.08.31 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

2021.08.31 タカヒラ 桜楽

ご愛読・お気に入り登録ありがとうございました!
これからも応援していただけるような面白い作品にしていきます!

解除

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

拾われ子のスイ

蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】 記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。 幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。 老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。 ――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。 スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。 出会いと別れを繰り返し、生命を懸けて鬩ぎ合い、幾度も涙を流す旅路の中で自分の在り方を探す。 清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。 これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。 ※基本週2回(木・日)更新。 ※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。 ※カクヨム様にて先行公開中(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載) ※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。 ※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー

白木夏
ファンタジー
2040年の初春、突如として地球上の主要都市に謎のダンジョンが出現した。 その特異性は明らかで、人口密集地を中心に出現し、未開の地には一切現れないという法則性を帯びていた。 人々は恐怖に震えつつも、未知なる存在に対する好奇心を抑えきれなかった。 異世界転移した最強の主人公のほのぼのライフ

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。