17 / 71
幼少期
転換点
しおりを挟む
向こうはもうずるい!
俺は自分の身長より遥かに高い馬を見ながら、そんなことを考えていた。
「行くぞ、ハイヤァぁぁぁ!」
と、叫びながらこっちに近づいてきた。
その時俺はあれを向けた。俺とクリスが夜逃げ用に作ったあれを!
「だから何に使うのよ。炭粉、硫黄、硝石だなんて、炭粉はうちにあるけど硫黄だなんて何処に売っているのかすらわからないし、硝石って何?しかもできるだけ多くって」
「まぁまぁ探してきてくれよ。行商人辺りが売ってるかも知れないし。ついでに丁度良さそうな金属製のパイプっぽいものがあったらそれも頼む。」
「わかったよ。じゃあちょっと行ってくる。」と出かけ、帰ってきた。結構いろんな荷物を持っている。
「偶然、全部行商人が売ってたけど、一体これを何に使うの?」とクリスが不思議そうに聞いてきたので、
「作るんだよ、前の世界の物をこの世界に!」と返した。
「今回作るものは銃だ。まず銃の簡単な構造だけど、あれは火薬を雷管によって着火させて発射しているんだ。つまり銃を作るためには火薬とその爆発に耐えるパイプが必要なんだよ。火薬はついさっき買って来てもらった炭粉、硫黄、硝石を混ぜて作るんだ。一般に硝石の割合を多くするほど爆発の大きさは大きくなると言われてるからそこに気をつけて、大体7割か8割位で頼む。それから……。」
「わかったから今すぐ作るよ!」
と一週間ずっとこの銃の製作に当てた。雷管は火打石を使った擬似的な物になったり、薬莢の部分は陶器で作ったりなどかなり独自的な機構になったが何とか完成した。
俺は銃を構えて、引き金を引いた。手のひらと腕全体に衝撃が伝わる。弾は馬の頭をかすり、鎧にも当たる。がひるまず、近づいてくる。
くそっ、と思いつつも俺は第二の切り札を投げた。その投げられたものは馬のすぐそばで大きな音を立てて爆発する。元軍が使ったてつはうを再現したものだった。これは銃の弾を作る時に余った火薬で作った。殺傷能力はないので完全に威嚇用に作ったものなのだが……。
これが予想以上に効いた。馬は驚き、コントロールを失って左にそれた後、大きな砂埃を上げて壁に激突した。
馬は横に倒れてしまった。重そうな防具も災いし、自分で立つこともできなさそうだ。そんな中、領主のみがゆっくりと立ち上がる。
「くそっ、何をしやがった!」と叫ぶ。自分だってまさかこんなに効果があるなんて思わなかった。ただひるませる程度のつもりだったのに……。
そんなことを思っていると、領主がこっちに走ってきた。大剣を振ろうとしている。俺とクリスが作った弾は三発。そのうち一発はもう使ってしまったため残り二発。
なんとか大剣を避け、急いで空薬莢を出し、新しい弾を装填する。そしてすぐに構え二発目を撃った。弾は大剣に当たり、後ろに飛ばしていた。そして武器を失ってしまった。領主はヘナヘナと倒れ込む。また急ぎ新しい弾を装填し、倒れている領主に向けて「今すぐ、負けを認め投稿しろ!」と脅した。
領主が諦めたような顔をして「わかった。」と返事をもらい銃を下ろそうとしたときだった。
「残念だったな!」と懐に隠していた小刀を構え、刺そうとしてきた。
このときのことはよく覚えていない。
ただもう必死だったのは覚えている。
それ以外に覚えているのは
このことに巻きこれていなければ絶対に嗅ぐことのなかった特徴的な煙の匂いと、
衝撃を受けて痺れたような両腕と、
顔にへばりついた熱い感触と、
顔がグシャグシャになった領主の姿と、
いつの間にか腰が抜けている自分だった。
俺は自分の身長より遥かに高い馬を見ながら、そんなことを考えていた。
「行くぞ、ハイヤァぁぁぁ!」
と、叫びながらこっちに近づいてきた。
その時俺はあれを向けた。俺とクリスが夜逃げ用に作ったあれを!
「だから何に使うのよ。炭粉、硫黄、硝石だなんて、炭粉はうちにあるけど硫黄だなんて何処に売っているのかすらわからないし、硝石って何?しかもできるだけ多くって」
「まぁまぁ探してきてくれよ。行商人辺りが売ってるかも知れないし。ついでに丁度良さそうな金属製のパイプっぽいものがあったらそれも頼む。」
「わかったよ。じゃあちょっと行ってくる。」と出かけ、帰ってきた。結構いろんな荷物を持っている。
「偶然、全部行商人が売ってたけど、一体これを何に使うの?」とクリスが不思議そうに聞いてきたので、
「作るんだよ、前の世界の物をこの世界に!」と返した。
「今回作るものは銃だ。まず銃の簡単な構造だけど、あれは火薬を雷管によって着火させて発射しているんだ。つまり銃を作るためには火薬とその爆発に耐えるパイプが必要なんだよ。火薬はついさっき買って来てもらった炭粉、硫黄、硝石を混ぜて作るんだ。一般に硝石の割合を多くするほど爆発の大きさは大きくなると言われてるからそこに気をつけて、大体7割か8割位で頼む。それから……。」
「わかったから今すぐ作るよ!」
と一週間ずっとこの銃の製作に当てた。雷管は火打石を使った擬似的な物になったり、薬莢の部分は陶器で作ったりなどかなり独自的な機構になったが何とか完成した。
俺は銃を構えて、引き金を引いた。手のひらと腕全体に衝撃が伝わる。弾は馬の頭をかすり、鎧にも当たる。がひるまず、近づいてくる。
くそっ、と思いつつも俺は第二の切り札を投げた。その投げられたものは馬のすぐそばで大きな音を立てて爆発する。元軍が使ったてつはうを再現したものだった。これは銃の弾を作る時に余った火薬で作った。殺傷能力はないので完全に威嚇用に作ったものなのだが……。
これが予想以上に効いた。馬は驚き、コントロールを失って左にそれた後、大きな砂埃を上げて壁に激突した。
馬は横に倒れてしまった。重そうな防具も災いし、自分で立つこともできなさそうだ。そんな中、領主のみがゆっくりと立ち上がる。
「くそっ、何をしやがった!」と叫ぶ。自分だってまさかこんなに効果があるなんて思わなかった。ただひるませる程度のつもりだったのに……。
そんなことを思っていると、領主がこっちに走ってきた。大剣を振ろうとしている。俺とクリスが作った弾は三発。そのうち一発はもう使ってしまったため残り二発。
なんとか大剣を避け、急いで空薬莢を出し、新しい弾を装填する。そしてすぐに構え二発目を撃った。弾は大剣に当たり、後ろに飛ばしていた。そして武器を失ってしまった。領主はヘナヘナと倒れ込む。また急ぎ新しい弾を装填し、倒れている領主に向けて「今すぐ、負けを認め投稿しろ!」と脅した。
領主が諦めたような顔をして「わかった。」と返事をもらい銃を下ろそうとしたときだった。
「残念だったな!」と懐に隠していた小刀を構え、刺そうとしてきた。
このときのことはよく覚えていない。
ただもう必死だったのは覚えている。
それ以外に覚えているのは
このことに巻きこれていなければ絶対に嗅ぐことのなかった特徴的な煙の匂いと、
衝撃を受けて痺れたような両腕と、
顔にへばりついた熱い感触と、
顔がグシャグシャになった領主の姿と、
いつの間にか腰が抜けている自分だった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる