ストレガドッグー気まぐれキャットに駄犬は逆らえないー

匿名BB

文字の大きさ
42 / 42
epilogue【廻り出した運命線】

第41話

しおりを挟む
 ファンタズマ所属、六階位へクスから『カルペ・ディエム魔結晶襲撃事件』後述『当該事件』と明記、についての報告レポート。

 死者、民間人質三十六名。
 カルペディエム工作員二十三名中十七名死亡、他重症。治療後に聴取実施。
 注釈、死亡者の内、当該事件首謀者『双賀グレイ』も含まれる。

 その他、六階位へクスより今後の学院潜伏について要望有り。
 抹消命令の下されていた『ミーア・獅子峰・ラグナージ』は『天使の施しハイラックス』密売に置ける直接的関与は皆無であったが『カルペ・ディエム』及び『ストレガドッグ』から接触、注視されているため、囮として利用することが最適解であると判断。
 よって、今回の事件解決の功績を踏まえ、その意見を了承。


 ただし期限は一年とし、それまでに『カルペ・ディエム』を壊滅させられなかった場合は、指令通り対象を抹殺する。



 ◇ ◇ ◇



「えっ、なんだって?」

 休み明けの学院、すっかり傷の癒えた俺は、昼下がりの陽光差す屋上のベンチに腰掛けたままそう問い返す。
 隣に腰掛けているのは当然、クラスメイトであり新しいパートナーとなったミーアだった。


「何かマズいのことでもあるのか?魔眼これと契約したことが?」

「大ありよ!この馬鹿、まさか本当に何も知らずに契約したの?」

 一体何のことか、首を傾げる俺にミーアは「呆れた」とその真っ白で染み一つ無い額に手を置いて溜息を漏らした。

「魔眼の契約に限らず、主従契約というのは力を分ける『主』と受け取る『従者』が存在する。今回の場合は当然私が『主』で貴方が『従者』よ。結んだ場合に幾つかの制約が発生するの」

「まぁ、そうだろうね。こんな力、制限なしに使えたら誰だって使おうと思うし、で?具体的にはどんなものなんだ?」

いのち、よ」

「へ?いのち?」

 深刻そうに溜息を漏らすミーア。
 未だ状況を理解できていない俺はその言葉を反芻する他なかった。

「そうよ、命。契約者の『親』が死ねば勿論『子』も死ぬ」

「えーと、つまり……ミーアが死ねば、俺も死ぬってことか……?」

「そうね。言うなれば、運命共同体ってところかしら」

 ようやく事態を理解して頭を抱える。
 暗殺対象となるこの少女を殺すまでが、俺に残された余命期間。

『一年』

 短すぎるその猶予の間に、俺は『カルペ・ディエム』を壊滅を、そしてミーアの本当の正体を見定めなければならない。
 彼女を宿敵たる本物の『ストレガドッグ』とするためにも。

「ま、何とかなるか……」

 どうせ終わっていた命。繋ぎ止めてくれたミーアのおかげで今の俺は居る。
 そんな、気まぐれキャットの頼みならば、駄犬だろうがなんだろうがやってやろうじゃないか。
 一人、立ち上がって空を見上げる。
 三年間届かなかったその場所が、ミーアとの運命線との交差により、少しだけ近い場所に感じた。

 これは、魔学によって大切なモノを喪った少年少女の物語。
 そして彼らはまだ知らなかった。
 この先に待ち受ける、残酷なまでの運命とその末路を。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

今更……助けてくれと……言われても……

#Daki-Makura
ファンタジー
出奔した息子から手紙が届いた…… 今更……助けてくれと……言われても……

チート魔力を持ったせいで世界を束ねる管理者に目を付けられたが、巻き込まれたくないので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

異世界で魔法が使えない少女は怪力でゴリ押しします!

ninjin
ファンタジー
病弱だった少女は14歳の若さで命を失ってしまった・・・かに思えたが、実は異世界に転移していた。異世界に転移した少女は病弱だった頃になりたかった元気な体を手に入れた。しかし、異世界に転移して手いれた体は想像以上に頑丈で怪力だった。魔法が全ての異世界で、魔法が使えない少女は頑丈な体と超絶な怪力で無双する。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...