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紫電の王《バイオレットブリッツ》
紫電の王《バイオレットブリッツ》1
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真夜中の廃工場、誰もいないはずの建物の中、二人の男が正対していた。
一人は左手に銃、右手に小太刀を持った、黒髪紅眼の男
一人は三本の刃のついた鉤爪を両手に装備した、紫色の髪と眼をした男。
黒髪紅眼の男は静かに表情で。
紫眼の男は不敵な笑みを浮かべながら、互いにゆっくりと近づいていく。
廃工場の切妻屋根に付いた天窓から月明かりが差し込み、二人を照らした。その姿はまるで、格闘家が互いのリングに歩んでいくかのような……
(いや……)
そんな二人を固唾を飲んで見ていた金髪碧眼の少女は思った。あれは格闘家のような人の類ではなく、どちらかというと猛獣の類だと。
廃工場の割れた窓から四月の冷たい空気が流れ込んできて、床に溜まった砂埃と一緒に二人の髪や着ていた服を軽く靡かせた。
途端、紫眼の男が何かを堪えられなくなったように笑い声をあげた。これから戦闘をするとは思えない、まるで子供が大好物の食べ物を前にしてあげるようなそんな笑い声だった。
「さあ始めようぜ、最ッッ高の殺し合いをッ!!」
戦闘狂じみた笑みを浮かべながら紫眼の男は高らかに叫ぶ。
「覚悟しろ。お前は絶対に許さない」
紅眼の男は相手を鋭く睨みつけ、銃口と小太刀の切っ先を紫眼の男に向けながら静かにそう言った。
瞬間、二人は互いに向かって走り出し、廃工場の中央で鋭い金属音を響かせた。
二人の考えることはたった一つだけ。相手を「殺す」ただそれだけだった。
ジリリリリリリ‼︎
「…ん」
カーテンの隙間から朝の日差しが家に差し込み、俺は覚ます。右目を擦り伸びをしながらスマートフォンで時刻を確認すると午前8時を過ぎた頃だった…
今日は大した予定は無いが、店の食材がそろそろ切れる頃だったので買出しに行こうと思っていた。
二度寝したい身体を頑張ってベッドから起こして朝食の準備をしようとしたが、最近とある事情であまり眠れていないせいか、身体に少し気だるさが残っているのを俺は感じた。
(はあ…)
朝から寝覚めが悪いことに内心でため息をつきながら、俺はまだ覚醒しきっていない頭を起こすためにシャワーを浴びることにして、二階の自室から出て一階の脱衣所に向かう。
(ねむい…)
眠い目を擦ったり、頭をポリポリ掻きながら脱衣所にある洗面台の鏡をちらりと見ると、ボサボサの黒髪で、開かない左目、さらに左目の上から左頬にかけて過去に切り裂かれた傷跡、そして左肘から先に義手を装着しているいつも見る俺こと「フォルテ・S・エルフィー」の冴えない顔が映る。
(あれ?)
鏡に映った冴えない顔から目を放して、浴室の方を見ると電気が付いたままになっていた。昨日お風呂に入った時に消し忘れたか?そう思いながら、覚醒しきっていない俺の頭が何も考えずに浴室の扉を開けた。このままシャワーを浴びてから朝食を作り、食べ終えたら街に買い出しに行く、いつもと変わらない日常だ。そう、ある一点だけを除いて……
「ッ!?」
扉を開けた先にいた一人の少女が驚愕の表情でこちらを見ていた。
毛先を綺麗に切り揃えた黄金色の長い金髪ストレートを腰まで下げ、肌はきめ細かな色白、体型は細く、身体のラインは綺麗な曲線を描いており、身長は155㎝で身長178㎝の俺からすると一回りも二回りも小さい。さらに綺麗な膨らみを感じるBカップの慎ましくも控えめな胸と相まって、その少女からは凛々しさの他にどこか華奢で幼気な印象を同時に感じさせた。
そんな少女を俺が見下ろすと、その大きなブルーサファイアの碧眼をより一層大きく見開いてこっちを見ていた。
「ん……?ッッ!?」
寝ぼけた目を擦りながら浴室にいた少女をまじまじと見た俺は、驚愕のあまり覚醒しきっていなかった頭がアドレナリン注射を動脈に打たれたかのように目が覚める。
浴室で目の合った少女は何も身に着けておらず、その長い金髪の先からぽたぽたと水滴を垂らし、身体の綺麗な曲線のラインをなぞるように一筋の雫が流れ落ちた。恥ずかしさからか全身には赤みが差し、白桃のようになった肌を少女は両腕を抱くようにして上半身を隠していた。下半身は幸い浴室に漂った湯気のお陰でギリギリ隠すことができていたが、妖精や天使を思わせるそのしなやかな肢体に、思わず俺の目は釘付けになってしまう。
「ケ、ケダモノッ……」
少女は白い顔を真っ赤に染め上げ、口をわなわなさせながら喉から絞り出すようにそう言った。
覚醒しきった俺の頭がDanger Dangerと警報を鳴り響かせ、何とかこの場を収める方法を脳をフル回転させながら考える。
落ち着け……まだ火山は噴火していない……この場を収める方法が必ずあるはずだ…
コンマ数秒の間に少女の身体をじっと見つめたまま、考えを巡らせた俺は一つの答えに行きつく。
そうだッ!!女性が怒っているときはどこでもいいから褒めると機嫌を直してくれるとむかし誰かが言ってたのを聞いた気がする。
そう思った俺は少女の良いところを口出して言おうとした。だが、今度は別の問題が発生する。
それは、少女の良い部分が有りすぎてしまい褒める場所に困ってしまうといったものだ。それもそのはず、その少女は何をとっても全てが美しく、劣っている部分が無いのだ。自分自身上手く表現できないが、少女の姿はまるで美術品を鑑賞しているような、誰が見ても美しいと言ってしまうようなそんな感じだった。
(クソ……なんて言えばいいんだ……)
もうあと数秒なにも言わなければ、俺は殺される。目を離しても殺される。逃げても殺される。なにか、何か言わないと…
「お前身体めちゃくちゃエロいな…」
焦りまくった俺は、褒める場所を絞れず身体全体を褒めようとし、尚且つそれを大げさに言おうと欲張ってしまい、満面の笑みでおそらく世界で一番最低の答えを口に出してしまった。
「このッ……ヘンタイッッツツ!!!!」
少女は真っ赤にしていた顔に太い血管を浮かべ、大きく見開いてたブルーサファイアの瞳を三白眼にさせ、右手に大きな拳を作ってわなわなと震わせた。
いつもと変わらない日常は、一人の少女によって全てが崩壊する。
「感電して死ねッッ!!!!」
そのあと、丘の上の一軒家から一人の男の叫び声が聞こえてきたのは言うまでもなかった。
『イギリスケンブリッジ大学の襲撃からもう二週間が経ち、街の人々は……』
「……」
「……」
リビングでテレビのニュースをつけながら、俺が用意した朝食のソーセージ&目玉焼きプレートとトーストしたパンを、少女こと「セイナ・A・アシュライズ」はぶっきらぼうな面のまま無言で食べていた。今はさっきと違ってしっかり服を着ているセイナは、白のブラウスに胸元で結んだ細い赤いリボン、丈の短い黒のプリッツスカートとニーソックスを履いている。そんなセイナの正面のテーブルに座って俺も自分の用意した分の朝食を食べてはいるが、一度もこちらと顔を合わせてくれない不機嫌なセイナがずっと気になってしまい、正直、味を感じている余裕が今の俺にはなかった。
今朝、遅く起きた俺と違って早起きしたセイナは、家の外で数時間朝の鍛錬を行い、汗を掻いた身体を綺麗にするために浴室でシャワーを浴びていたらしい。そこへ誤って入ってしまった俺と鉢合わせしてしまい、俺の行動にキレたセイナが雷神トールの「神の加護」で電撃を使い、家中を逃げ回る俺を追いかけまわた。
世界では科学や魔術が進歩しているなか「神の加護」というのは、そのどちらにも属さない力のことで、なんでも本物の神から加護という形で力を供給してもらい、その神の能力を使用できるといったものらしく、雷神トールに加護を受けているセイナはまだ未熟な面も多いが、それによって電撃を扱うことができる。
普通、神の力を使ってまで追いかけてくるか?という喉まで出かかった本音を俺はギリギリのところで抑えてはいるが、そんな物騒なもんで家中を追いかけまわされた結果、電撃を食らった俺の髪はチリチリのアフロ状態になってしまい、セイナが追いかけてきた最中に家の中にあった電子機器全てが壊れるという何とも惨い事件があった。
そのことを今朝からずっと怒っているらしく、あれからセイナはぶっきらぼうな面のまま一言も俺と会話をしてはくれなかった。
リビングにはかろうじて無事だったテレビの中から、ニュースキャスターの声だけが部屋中にこだましているというこの状況に、俺はもの凄い気まずさを感じていた。
(はぁ……)
俺は心の中で今日何度目か分からない大きなため息をついた。
二週間前、色々あって俺はセイナと半ば無理矢理チームを組まされることになった。
その色々というのは、まずセイナの父でもあるイギリス皇帝陛下とバッキンガム宮殿に保管されていた雷神トールの神器が何者かに盗まれ、イギリス皇帝陛下の妻であり、セイナの母でもあり、俺の古い友人でもあるエリザベス3世が、考えや行動が直線的なSAS訓練小隊の娘のためのパートナーとして俺をイギリスに誘拐してきた。
だが、俺がパートナーになるか答えに悩んでいた矢先、セイナの双子の妹でもあるリリー王女がケンブリッジ大学で人質になるというテロ事件が発生。出生を世間に秘密にされていたセイナは正体を隠しながら、俺と一緒に事件を解決。リリー王女を含む人質の解放に成功した。しかし事件を起こした黒幕に手痛い反撃にあい、俺は一週間意識不明に陥ってしまい、さらにその黒幕の真犯人を取り逃がしてしまった。
ここまでだったら別にセイナとのパートナーを断ることができただろう。むかし俺は一年前の軍人時代の事件をきっかけにパートナーや仲間を作る気が全くなかった。今回の件も当初はテロ事件が片付いたら本当は断るつもりだったのだが、ここで一つの誤算が生じた。
それは……
『テロ事件人質救出の際に半壊したキングスカレッジの礼拝堂は、修繕するのに約一年を必要としている模様、さらに修繕費は日本円にして約15億円にもなるとのことです。しかし、このすべての費用をイギリス女王陛下であるエリザベス3世が全額負担をするという……』
テレビの中で日本のキャスターがテロ事件についての記事を読み上げていた。
そう、この修繕費が一番の問題なのだ。
人質を救うために中世時代に建てられた歴史的建造物である、ケンブリッジ大学敷地内の礼拝堂の外壁やらステンドグラスやらその他諸々を破壊しながら内部に突入した結果、弁償金15億円という借金を背負ってしまうことになったのだ。
あらかじめ弁償金のことを想定していた俺は、元々貯金してあった5億円があれば大丈夫だろうと踏んでいたのだが、それを使っても残りの弁償金が合計で10億円と借金する羽目になってしまった。そこをエリザベス3世につけ込まれ、残りの借金を肩代わりするかわりに、全額返済もしくは皇帝陛下と神器を見つけるまでセイナとパートナーを組んで欲しいと言われ、断ることのできなかった俺はこうして渋々一緒に生活しているのである。
「なあ、そろそろ機嫌直してくれないか?俺も別にわざとやったわけじゃないし……」
ムスッとしたままソーセージをフォークで刺して食べていたパートナーでもあり、この家の同居人でもあるセイナに俺が言う。チームを組む理由はどうあれ、折角パートナーとして組むことになったのだから、俺としてはそれなりに仲良くはなっておきたい。そうしないといざというときにセイナと喧嘩し、任務失敗なんてことになったらそれこそお笑いでは済まない。決して今の気まずい空気に耐えられなくなって言ったとかそういうのではないから、ホント……
俺の言葉を聞いたセイナはチャキッと丁寧にフォークを皿に置いた。そして、口元を紙ナプキンでキュッキュッと拭きながら、こちらを一切見ずに静かに答えた。
「しゃべりかけないでくれるケダモノ…アタシはあんたと違って理性のある人間だからケダモノの言語は通じません。」
さっき取り乱していた時に比べてだいぶ冷静さを取り戻してくれてはいたが、その言葉にはまだ怒りの感情が練りこまれているのを俺はひしひしと感じて落胆した。今のセイナの機嫌を直すには相当な努力が必要だなと、また大きなため息を内心でついた。
そんなことを考えながら俯いていた顔を上げてセイナの方を見ると、朝食を食べ終えて口を拭いていたセイナのティーカップにコーヒーが残っていることに俺は気づいた。
「砂糖とミルク足りなかった?」
俺がセイナの機嫌を直してもらうためにキッチンで淹れて、朝食と一緒に持ってきた自慢のブレンドコーヒーだ。中煎りと深煎りの珈琲豆を絶妙なバランスで配合し、粗挽きにしてコーヒープレス機で時間をかけて抽出することにより、苦みを抑え、酸味を効かせたブラックでも飲みやすい一杯に仕上げている。一応セイナのコーヒーの好みが分からなかったので、角砂糖二つとミルクピッチャーにミルクを入れて持ってきていたのだが、セイナはそれらすべてに全く手を付けていなかった。
「アタシ、コーヒー嫌いなのよね……」
セイナは俺の方を見ずに短くそう答えた。その言葉を聞いた瞬間、ショックのあまり俺は目眩を引き起こして頭がクラッとした。セイナの一言は珈琲店を営む俺からしたら、銃で撃たれるよりも相当なダメージのある一言だったのだ。
「……そうなんだ。」
失いかけた意識をギリギリで保ちながら喉から絞り出すようにしてそう返した。
機嫌を直すために手間をかけて淹れた最高の一杯をセイナのたった一言で片づけられて、俺は再び落胆するのであった。
一人は左手に銃、右手に小太刀を持った、黒髪紅眼の男
一人は三本の刃のついた鉤爪を両手に装備した、紫色の髪と眼をした男。
黒髪紅眼の男は静かに表情で。
紫眼の男は不敵な笑みを浮かべながら、互いにゆっくりと近づいていく。
廃工場の切妻屋根に付いた天窓から月明かりが差し込み、二人を照らした。その姿はまるで、格闘家が互いのリングに歩んでいくかのような……
(いや……)
そんな二人を固唾を飲んで見ていた金髪碧眼の少女は思った。あれは格闘家のような人の類ではなく、どちらかというと猛獣の類だと。
廃工場の割れた窓から四月の冷たい空気が流れ込んできて、床に溜まった砂埃と一緒に二人の髪や着ていた服を軽く靡かせた。
途端、紫眼の男が何かを堪えられなくなったように笑い声をあげた。これから戦闘をするとは思えない、まるで子供が大好物の食べ物を前にしてあげるようなそんな笑い声だった。
「さあ始めようぜ、最ッッ高の殺し合いをッ!!」
戦闘狂じみた笑みを浮かべながら紫眼の男は高らかに叫ぶ。
「覚悟しろ。お前は絶対に許さない」
紅眼の男は相手を鋭く睨みつけ、銃口と小太刀の切っ先を紫眼の男に向けながら静かにそう言った。
瞬間、二人は互いに向かって走り出し、廃工場の中央で鋭い金属音を響かせた。
二人の考えることはたった一つだけ。相手を「殺す」ただそれだけだった。
ジリリリリリリ‼︎
「…ん」
カーテンの隙間から朝の日差しが家に差し込み、俺は覚ます。右目を擦り伸びをしながらスマートフォンで時刻を確認すると午前8時を過ぎた頃だった…
今日は大した予定は無いが、店の食材がそろそろ切れる頃だったので買出しに行こうと思っていた。
二度寝したい身体を頑張ってベッドから起こして朝食の準備をしようとしたが、最近とある事情であまり眠れていないせいか、身体に少し気だるさが残っているのを俺は感じた。
(はあ…)
朝から寝覚めが悪いことに内心でため息をつきながら、俺はまだ覚醒しきっていない頭を起こすためにシャワーを浴びることにして、二階の自室から出て一階の脱衣所に向かう。
(ねむい…)
眠い目を擦ったり、頭をポリポリ掻きながら脱衣所にある洗面台の鏡をちらりと見ると、ボサボサの黒髪で、開かない左目、さらに左目の上から左頬にかけて過去に切り裂かれた傷跡、そして左肘から先に義手を装着しているいつも見る俺こと「フォルテ・S・エルフィー」の冴えない顔が映る。
(あれ?)
鏡に映った冴えない顔から目を放して、浴室の方を見ると電気が付いたままになっていた。昨日お風呂に入った時に消し忘れたか?そう思いながら、覚醒しきっていない俺の頭が何も考えずに浴室の扉を開けた。このままシャワーを浴びてから朝食を作り、食べ終えたら街に買い出しに行く、いつもと変わらない日常だ。そう、ある一点だけを除いて……
「ッ!?」
扉を開けた先にいた一人の少女が驚愕の表情でこちらを見ていた。
毛先を綺麗に切り揃えた黄金色の長い金髪ストレートを腰まで下げ、肌はきめ細かな色白、体型は細く、身体のラインは綺麗な曲線を描いており、身長は155㎝で身長178㎝の俺からすると一回りも二回りも小さい。さらに綺麗な膨らみを感じるBカップの慎ましくも控えめな胸と相まって、その少女からは凛々しさの他にどこか華奢で幼気な印象を同時に感じさせた。
そんな少女を俺が見下ろすと、その大きなブルーサファイアの碧眼をより一層大きく見開いてこっちを見ていた。
「ん……?ッッ!?」
寝ぼけた目を擦りながら浴室にいた少女をまじまじと見た俺は、驚愕のあまり覚醒しきっていなかった頭がアドレナリン注射を動脈に打たれたかのように目が覚める。
浴室で目の合った少女は何も身に着けておらず、その長い金髪の先からぽたぽたと水滴を垂らし、身体の綺麗な曲線のラインをなぞるように一筋の雫が流れ落ちた。恥ずかしさからか全身には赤みが差し、白桃のようになった肌を少女は両腕を抱くようにして上半身を隠していた。下半身は幸い浴室に漂った湯気のお陰でギリギリ隠すことができていたが、妖精や天使を思わせるそのしなやかな肢体に、思わず俺の目は釘付けになってしまう。
「ケ、ケダモノッ……」
少女は白い顔を真っ赤に染め上げ、口をわなわなさせながら喉から絞り出すようにそう言った。
覚醒しきった俺の頭がDanger Dangerと警報を鳴り響かせ、何とかこの場を収める方法を脳をフル回転させながら考える。
落ち着け……まだ火山は噴火していない……この場を収める方法が必ずあるはずだ…
コンマ数秒の間に少女の身体をじっと見つめたまま、考えを巡らせた俺は一つの答えに行きつく。
そうだッ!!女性が怒っているときはどこでもいいから褒めると機嫌を直してくれるとむかし誰かが言ってたのを聞いた気がする。
そう思った俺は少女の良いところを口出して言おうとした。だが、今度は別の問題が発生する。
それは、少女の良い部分が有りすぎてしまい褒める場所に困ってしまうといったものだ。それもそのはず、その少女は何をとっても全てが美しく、劣っている部分が無いのだ。自分自身上手く表現できないが、少女の姿はまるで美術品を鑑賞しているような、誰が見ても美しいと言ってしまうようなそんな感じだった。
(クソ……なんて言えばいいんだ……)
もうあと数秒なにも言わなければ、俺は殺される。目を離しても殺される。逃げても殺される。なにか、何か言わないと…
「お前身体めちゃくちゃエロいな…」
焦りまくった俺は、褒める場所を絞れず身体全体を褒めようとし、尚且つそれを大げさに言おうと欲張ってしまい、満面の笑みでおそらく世界で一番最低の答えを口に出してしまった。
「このッ……ヘンタイッッツツ!!!!」
少女は真っ赤にしていた顔に太い血管を浮かべ、大きく見開いてたブルーサファイアの瞳を三白眼にさせ、右手に大きな拳を作ってわなわなと震わせた。
いつもと変わらない日常は、一人の少女によって全てが崩壊する。
「感電して死ねッッ!!!!」
そのあと、丘の上の一軒家から一人の男の叫び声が聞こえてきたのは言うまでもなかった。
『イギリスケンブリッジ大学の襲撃からもう二週間が経ち、街の人々は……』
「……」
「……」
リビングでテレビのニュースをつけながら、俺が用意した朝食のソーセージ&目玉焼きプレートとトーストしたパンを、少女こと「セイナ・A・アシュライズ」はぶっきらぼうな面のまま無言で食べていた。今はさっきと違ってしっかり服を着ているセイナは、白のブラウスに胸元で結んだ細い赤いリボン、丈の短い黒のプリッツスカートとニーソックスを履いている。そんなセイナの正面のテーブルに座って俺も自分の用意した分の朝食を食べてはいるが、一度もこちらと顔を合わせてくれない不機嫌なセイナがずっと気になってしまい、正直、味を感じている余裕が今の俺にはなかった。
今朝、遅く起きた俺と違って早起きしたセイナは、家の外で数時間朝の鍛錬を行い、汗を掻いた身体を綺麗にするために浴室でシャワーを浴びていたらしい。そこへ誤って入ってしまった俺と鉢合わせしてしまい、俺の行動にキレたセイナが雷神トールの「神の加護」で電撃を使い、家中を逃げ回る俺を追いかけまわた。
世界では科学や魔術が進歩しているなか「神の加護」というのは、そのどちらにも属さない力のことで、なんでも本物の神から加護という形で力を供給してもらい、その神の能力を使用できるといったものらしく、雷神トールに加護を受けているセイナはまだ未熟な面も多いが、それによって電撃を扱うことができる。
普通、神の力を使ってまで追いかけてくるか?という喉まで出かかった本音を俺はギリギリのところで抑えてはいるが、そんな物騒なもんで家中を追いかけまわされた結果、電撃を食らった俺の髪はチリチリのアフロ状態になってしまい、セイナが追いかけてきた最中に家の中にあった電子機器全てが壊れるという何とも惨い事件があった。
そのことを今朝からずっと怒っているらしく、あれからセイナはぶっきらぼうな面のまま一言も俺と会話をしてはくれなかった。
リビングにはかろうじて無事だったテレビの中から、ニュースキャスターの声だけが部屋中にこだましているというこの状況に、俺はもの凄い気まずさを感じていた。
(はぁ……)
俺は心の中で今日何度目か分からない大きなため息をついた。
二週間前、色々あって俺はセイナと半ば無理矢理チームを組まされることになった。
その色々というのは、まずセイナの父でもあるイギリス皇帝陛下とバッキンガム宮殿に保管されていた雷神トールの神器が何者かに盗まれ、イギリス皇帝陛下の妻であり、セイナの母でもあり、俺の古い友人でもあるエリザベス3世が、考えや行動が直線的なSAS訓練小隊の娘のためのパートナーとして俺をイギリスに誘拐してきた。
だが、俺がパートナーになるか答えに悩んでいた矢先、セイナの双子の妹でもあるリリー王女がケンブリッジ大学で人質になるというテロ事件が発生。出生を世間に秘密にされていたセイナは正体を隠しながら、俺と一緒に事件を解決。リリー王女を含む人質の解放に成功した。しかし事件を起こした黒幕に手痛い反撃にあい、俺は一週間意識不明に陥ってしまい、さらにその黒幕の真犯人を取り逃がしてしまった。
ここまでだったら別にセイナとのパートナーを断ることができただろう。むかし俺は一年前の軍人時代の事件をきっかけにパートナーや仲間を作る気が全くなかった。今回の件も当初はテロ事件が片付いたら本当は断るつもりだったのだが、ここで一つの誤算が生じた。
それは……
『テロ事件人質救出の際に半壊したキングスカレッジの礼拝堂は、修繕するのに約一年を必要としている模様、さらに修繕費は日本円にして約15億円にもなるとのことです。しかし、このすべての費用をイギリス女王陛下であるエリザベス3世が全額負担をするという……』
テレビの中で日本のキャスターがテロ事件についての記事を読み上げていた。
そう、この修繕費が一番の問題なのだ。
人質を救うために中世時代に建てられた歴史的建造物である、ケンブリッジ大学敷地内の礼拝堂の外壁やらステンドグラスやらその他諸々を破壊しながら内部に突入した結果、弁償金15億円という借金を背負ってしまうことになったのだ。
あらかじめ弁償金のことを想定していた俺は、元々貯金してあった5億円があれば大丈夫だろうと踏んでいたのだが、それを使っても残りの弁償金が合計で10億円と借金する羽目になってしまった。そこをエリザベス3世につけ込まれ、残りの借金を肩代わりするかわりに、全額返済もしくは皇帝陛下と神器を見つけるまでセイナとパートナーを組んで欲しいと言われ、断ることのできなかった俺はこうして渋々一緒に生活しているのである。
「なあ、そろそろ機嫌直してくれないか?俺も別にわざとやったわけじゃないし……」
ムスッとしたままソーセージをフォークで刺して食べていたパートナーでもあり、この家の同居人でもあるセイナに俺が言う。チームを組む理由はどうあれ、折角パートナーとして組むことになったのだから、俺としてはそれなりに仲良くはなっておきたい。そうしないといざというときにセイナと喧嘩し、任務失敗なんてことになったらそれこそお笑いでは済まない。決して今の気まずい空気に耐えられなくなって言ったとかそういうのではないから、ホント……
俺の言葉を聞いたセイナはチャキッと丁寧にフォークを皿に置いた。そして、口元を紙ナプキンでキュッキュッと拭きながら、こちらを一切見ずに静かに答えた。
「しゃべりかけないでくれるケダモノ…アタシはあんたと違って理性のある人間だからケダモノの言語は通じません。」
さっき取り乱していた時に比べてだいぶ冷静さを取り戻してくれてはいたが、その言葉にはまだ怒りの感情が練りこまれているのを俺はひしひしと感じて落胆した。今のセイナの機嫌を直すには相当な努力が必要だなと、また大きなため息を内心でついた。
そんなことを考えながら俯いていた顔を上げてセイナの方を見ると、朝食を食べ終えて口を拭いていたセイナのティーカップにコーヒーが残っていることに俺は気づいた。
「砂糖とミルク足りなかった?」
俺がセイナの機嫌を直してもらうためにキッチンで淹れて、朝食と一緒に持ってきた自慢のブレンドコーヒーだ。中煎りと深煎りの珈琲豆を絶妙なバランスで配合し、粗挽きにしてコーヒープレス機で時間をかけて抽出することにより、苦みを抑え、酸味を効かせたブラックでも飲みやすい一杯に仕上げている。一応セイナのコーヒーの好みが分からなかったので、角砂糖二つとミルクピッチャーにミルクを入れて持ってきていたのだが、セイナはそれらすべてに全く手を付けていなかった。
「アタシ、コーヒー嫌いなのよね……」
セイナは俺の方を見ずに短くそう答えた。その言葉を聞いた瞬間、ショックのあまり俺は目眩を引き起こして頭がクラッとした。セイナの一言は珈琲店を営む俺からしたら、銃で撃たれるよりも相当なダメージのある一言だったのだ。
「……そうなんだ。」
失いかけた意識をギリギリで保ちながら喉から絞り出すようにしてそう返した。
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ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~
日和崎よしな
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―あらすじ―
異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。
強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。
ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる!
―作品について―
完結しました。
全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。
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