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揺れる二つの銀尾《ダブルパーソナリティー》
揺れる二つの銀尾《ダブルパーソナリティー》15
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「もう一つの人格!?」
ロアと名乗った銀髪の少女にアタシは驚きの声を上げた。
「そいつから離れろセイナッ!!」
バンッ!
フォルテがそう叫びながら右手で抜いたHK45ハンドガンをロアに向けて一発撃った。しかも実弾で。
「おっと!」
ロアが素早く反応して身体を逸らした。
躱された弾丸はトレーニングルームのコンクリート壁に突き刺さり、パラパラと壁が剥がれて地面に落ちていた。
「ちょっと!何しているの!?」
フォルテは自称ハンドガンの天才を豪語しているが、確かにアタシよりも扱いには長けているし、認めたくないがこの前の早撃ち勝負でも負けた。
そんな自称天才が視界外から早撃ちで致命傷を狙った実弾を放ったのだ。
誤射ではない明らかな殺意の籠った一撃を放ったフォルテに対し、その行動の意味が全く分からなかったアタシは動揺しながらそう声を掛けたが。
「久々に隊長とやるのも悪くねえけどよ……」
ダンッ!
今度はロアが持っていたベネリM4をフォルテに向けて放った。
さっきの暴動鎮圧用弾のような小火薬の銃声ではない、大きな火薬音がトレーニングルームに鳴り響き、その衝撃で銀髪のツインテールが大きく跳ねた。
「クッ!」
その一発をフォルテは大きく横っ飛びに地面を転がりながら躱した。
ロアの放った銃弾がさっきまでフォルテのいた壁に突き刺さった。それも一発ではない。無数の銃弾がコンクリートの壁に突き刺さり、さっきのフォルテとは比にならないほどの壁の破片を地面に落とし、バラバラと音を立てながら煙が舞っていた。
一目で分かる。暴動鎮圧用弾なんて生易しいものではない……あれは────12ゲージ弾だ!
「ちょっ!?二人とも何をしているの!?」
カラン────と地面にプラスチック製の空薬莢が転がる音が響く中、急に殺し合いを始めた二人にアタシは呼びかけるが、互いに全く聞いてない様子だった。
しかもフォルテに至っては────
「はぁ!」
右眼を紅く染めて地面を蹴り、ロアに肉薄していた。
FBIに対しても使わなかった魔眼の力を、仲間に向けて使っているのだ。
「このッ……!」
フォルテは片手でショットガンを掴んでロアから引きはがそうとするが、二人は綱引きでもするかのようにプルプルと震えたまま膠着していた。そんな中、魔眼で強化しているはずのフォルテと互角に綱引きをするロアはあろうことか笑っていた。
「そんな強化で大丈夫か……?」
歯を食いしばって力を入れているフォルテに対し、首を傾けながらニコッと邪悪な笑みを浮かべてロアはそう言った。
まだ力に余裕があるというの……?
とアタシがロアに対し思った瞬間────
「ふっ!」
ロアは両手をショットガンから放したのだ。
「ッ!?」
力が入っていたフォルテが思わず数歩後ろによろけた。
普通の人間だったら尻もちをついていたかもしれないが、それでもフォルテは持ち前の運動神経と能力のおかげでギリギリ耐えた。
「そんなに私の武器が好きならもっとあげるよ!」
ICコートからさっきアタシに使っていたクナイ式ナイフをロアは両手で引き抜いてフォルテに投擲した。
その数8本。
それに対し、フォルテが奪ったショットガンを片手で連射しようとして引き金を絞った。
パン!
軽い火薬音が響き、ショットガンの銃口から暴動鎮圧用弾が放たれた。
「なッ!?」
ナイフを一つだけお手玉で撃ち落としたフォルテは焦ったような声が口から漏れていた。
実弾が入っていると思って撃ったショットガンの中に入っていたのは、火薬が少ない非殺傷弾だった。
そのため、ベネリM4の機構が作動せず、次弾が薬室に送り込まれないせいで一度フォアエンドを引かないと撃つことができないのだ。だが、今フォルテは片腕しかないのでそれを素早く行うことができない。
恐らくロアがこの状況を前もって予測して仕掛けた罠だったのだろう。
「グッ……!」
咄嗟にフォルテはその飛来するナイフをショットガンで何本か叩き落としたが、叩き落せなかった数本のナイフが、防刃性のある「八咫烏」を着ていなかったフォルテの身体に突き刺さった。
履いていたジーンズの上から太腿両方と、半袖Tシャツ姿で露出していた腕の三カ所に突き刺さったナイフから血が滴り、トレーニングルームの床の上に赤い血と、その手に持っていたショットガンが落ちた。
「あれあれ?こんな単純な手に引っかかるなんて、さては隊長この一年サボってたんじゃない?」
さっきの言葉をそのまま返したロアは、片膝を着きながら動きを止めたフォルテに向かって駆け出し、地面に落ちていたショットガン拾いつつフォアエンドを引いてフォルテに撃とうとした────
バンッ!!
「おっ!?」
トレーニングルームに銃声が鳴り響いた。
だがそれはロアのショットガンのものではない。
コルト・カスタムで放った.45ACP弾がロアの前を通過し、それに少し驚いた声を上げた彼女がこちらを見た。銃を構えたアタシの方を。
「スピニングスラッシュ!」
アタシは動きを止めたロアに向かってグングニルを回転させながら投擲した。
高速回転して迫る槍の一撃を前に、ロアは一切動じることなく肩を竦めた。
「危ないな~」
ふわっ
槍が当たる前にロアの身体がふんわりと宙に浮き、後方に向かって大きく飛んだ。
ロアが後ろに向かって飛んだといった感じではなく、まるで何かに身体が引っ張られるかのようなそんな感じに近かった。
「フォルテッ!大丈夫!?」
ロアが離れた隙にナイフを突き刺さったフォルテにアタシが近寄ろうとした瞬間────
「待てッ!止まれセイナ!」
フォルテは片膝姿勢で首を少しだけこっちに捻ってそう叫んだ。
酷く慌てた様子で。
「……!どうしたの……!?」
止まりながら投擲したグングニルを空中で掴んだアタシは2m程離れたところにいるフォルテに声を掛けながらその異変気づいた。
フォルテが片膝の姿勢から一歩も動けてないのだ。
身体にナイフが突き刺さった状態のまま、何かに磔にされたかのように全身を硬直させていた。
その様子を見たアタシの直感が「ヤバい」と内心で告げていた。
これ以上今のフォルテに近づくのはヤバイ────詳しい理由は分からないけど。
「気を付けろセイナ!アイツは今は戦闘に特化したもう一つの人格に中身が切り替わっているんだ!戦闘能力が通常よりも段違いで強化され、凶暴性も増している!本気で止めないと殺されるぞ!」
無様な格好をしたままフォルテは口早にそう告げてきた。
もう一つの人格。聞いたことがある。
解離性同一性障害。過去のストレスなどから本来の自分とは異なる人格を形成し、それが表に出てしまう
障害。一般的に広く周知された言葉を使うなら……
「二重人格者ということ?」
「そうだ!ヤツはナイフを使って、い────」
「フォルテッ!?」
何か重要なことを伝えようとしてきたフォルテが苦しそうな表情を浮かべたまましゃべれなくなった。
「種明かしは困るな~」
アタシは声のした方、ロアの方を見た。
ロアはショットガンをリロードした後、黒い指ぬきグローブをつけた左手を握り、その大きな胸に沈み込ませるように押し当てる姿勢を取っていた。
どういう手段を使ったかは分からなかったがロナの口調から察するに、フォルテの口を何らかの方法で抑えたらしい。
「ナイフを使ってい」とまでは聞き取ることができたが、何を伝えようとしたのかは分からなかった。
とりあえずはフォルテの言っていたナイフには気を付けるとして、あと、人格が入れ替わってから付けたあの黒い指ぬきグローブも気になる。初めから使っていたなら気にもならなかったが、あとから付けたのにはきっと何か理由があるはずだ。
「なんだ?今度はセイナが楽しませてくれるのかッ!」
ロアがそう言いながらアタシに向けてショットガンを撃った。
ロアと名乗った銀髪の少女にアタシは驚きの声を上げた。
「そいつから離れろセイナッ!!」
バンッ!
フォルテがそう叫びながら右手で抜いたHK45ハンドガンをロアに向けて一発撃った。しかも実弾で。
「おっと!」
ロアが素早く反応して身体を逸らした。
躱された弾丸はトレーニングルームのコンクリート壁に突き刺さり、パラパラと壁が剥がれて地面に落ちていた。
「ちょっと!何しているの!?」
フォルテは自称ハンドガンの天才を豪語しているが、確かにアタシよりも扱いには長けているし、認めたくないがこの前の早撃ち勝負でも負けた。
そんな自称天才が視界外から早撃ちで致命傷を狙った実弾を放ったのだ。
誤射ではない明らかな殺意の籠った一撃を放ったフォルテに対し、その行動の意味が全く分からなかったアタシは動揺しながらそう声を掛けたが。
「久々に隊長とやるのも悪くねえけどよ……」
ダンッ!
今度はロアが持っていたベネリM4をフォルテに向けて放った。
さっきの暴動鎮圧用弾のような小火薬の銃声ではない、大きな火薬音がトレーニングルームに鳴り響き、その衝撃で銀髪のツインテールが大きく跳ねた。
「クッ!」
その一発をフォルテは大きく横っ飛びに地面を転がりながら躱した。
ロアの放った銃弾がさっきまでフォルテのいた壁に突き刺さった。それも一発ではない。無数の銃弾がコンクリートの壁に突き刺さり、さっきのフォルテとは比にならないほどの壁の破片を地面に落とし、バラバラと音を立てながら煙が舞っていた。
一目で分かる。暴動鎮圧用弾なんて生易しいものではない……あれは────12ゲージ弾だ!
「ちょっ!?二人とも何をしているの!?」
カラン────と地面にプラスチック製の空薬莢が転がる音が響く中、急に殺し合いを始めた二人にアタシは呼びかけるが、互いに全く聞いてない様子だった。
しかもフォルテに至っては────
「はぁ!」
右眼を紅く染めて地面を蹴り、ロアに肉薄していた。
FBIに対しても使わなかった魔眼の力を、仲間に向けて使っているのだ。
「このッ……!」
フォルテは片手でショットガンを掴んでロアから引きはがそうとするが、二人は綱引きでもするかのようにプルプルと震えたまま膠着していた。そんな中、魔眼で強化しているはずのフォルテと互角に綱引きをするロアはあろうことか笑っていた。
「そんな強化で大丈夫か……?」
歯を食いしばって力を入れているフォルテに対し、首を傾けながらニコッと邪悪な笑みを浮かべてロアはそう言った。
まだ力に余裕があるというの……?
とアタシがロアに対し思った瞬間────
「ふっ!」
ロアは両手をショットガンから放したのだ。
「ッ!?」
力が入っていたフォルテが思わず数歩後ろによろけた。
普通の人間だったら尻もちをついていたかもしれないが、それでもフォルテは持ち前の運動神経と能力のおかげでギリギリ耐えた。
「そんなに私の武器が好きならもっとあげるよ!」
ICコートからさっきアタシに使っていたクナイ式ナイフをロアは両手で引き抜いてフォルテに投擲した。
その数8本。
それに対し、フォルテが奪ったショットガンを片手で連射しようとして引き金を絞った。
パン!
軽い火薬音が響き、ショットガンの銃口から暴動鎮圧用弾が放たれた。
「なッ!?」
ナイフを一つだけお手玉で撃ち落としたフォルテは焦ったような声が口から漏れていた。
実弾が入っていると思って撃ったショットガンの中に入っていたのは、火薬が少ない非殺傷弾だった。
そのため、ベネリM4の機構が作動せず、次弾が薬室に送り込まれないせいで一度フォアエンドを引かないと撃つことができないのだ。だが、今フォルテは片腕しかないのでそれを素早く行うことができない。
恐らくロアがこの状況を前もって予測して仕掛けた罠だったのだろう。
「グッ……!」
咄嗟にフォルテはその飛来するナイフをショットガンで何本か叩き落としたが、叩き落せなかった数本のナイフが、防刃性のある「八咫烏」を着ていなかったフォルテの身体に突き刺さった。
履いていたジーンズの上から太腿両方と、半袖Tシャツ姿で露出していた腕の三カ所に突き刺さったナイフから血が滴り、トレーニングルームの床の上に赤い血と、その手に持っていたショットガンが落ちた。
「あれあれ?こんな単純な手に引っかかるなんて、さては隊長この一年サボってたんじゃない?」
さっきの言葉をそのまま返したロアは、片膝を着きながら動きを止めたフォルテに向かって駆け出し、地面に落ちていたショットガン拾いつつフォアエンドを引いてフォルテに撃とうとした────
バンッ!!
「おっ!?」
トレーニングルームに銃声が鳴り響いた。
だがそれはロアのショットガンのものではない。
コルト・カスタムで放った.45ACP弾がロアの前を通過し、それに少し驚いた声を上げた彼女がこちらを見た。銃を構えたアタシの方を。
「スピニングスラッシュ!」
アタシは動きを止めたロアに向かってグングニルを回転させながら投擲した。
高速回転して迫る槍の一撃を前に、ロアは一切動じることなく肩を竦めた。
「危ないな~」
ふわっ
槍が当たる前にロアの身体がふんわりと宙に浮き、後方に向かって大きく飛んだ。
ロアが後ろに向かって飛んだといった感じではなく、まるで何かに身体が引っ張られるかのようなそんな感じに近かった。
「フォルテッ!大丈夫!?」
ロアが離れた隙にナイフを突き刺さったフォルテにアタシが近寄ろうとした瞬間────
「待てッ!止まれセイナ!」
フォルテは片膝姿勢で首を少しだけこっちに捻ってそう叫んだ。
酷く慌てた様子で。
「……!どうしたの……!?」
止まりながら投擲したグングニルを空中で掴んだアタシは2m程離れたところにいるフォルテに声を掛けながらその異変気づいた。
フォルテが片膝の姿勢から一歩も動けてないのだ。
身体にナイフが突き刺さった状態のまま、何かに磔にされたかのように全身を硬直させていた。
その様子を見たアタシの直感が「ヤバい」と内心で告げていた。
これ以上今のフォルテに近づくのはヤバイ────詳しい理由は分からないけど。
「気を付けろセイナ!アイツは今は戦闘に特化したもう一つの人格に中身が切り替わっているんだ!戦闘能力が通常よりも段違いで強化され、凶暴性も増している!本気で止めないと殺されるぞ!」
無様な格好をしたままフォルテは口早にそう告げてきた。
もう一つの人格。聞いたことがある。
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障害。一般的に広く周知された言葉を使うなら……
「二重人格者ということ?」
「そうだ!ヤツはナイフを使って、い────」
「フォルテッ!?」
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とりあえずはフォルテの言っていたナイフには気を付けるとして、あと、人格が入れ替わってから付けたあの黒い指ぬきグローブも気になる。初めから使っていたなら気にもならなかったが、あとから付けたのにはきっと何か理由があるはずだ。
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