SEVEN TRIGGER

匿名BB

文字の大きさ
109 / 361
赤き羽毛の復讐者《スリーピングスナイパー》

戦禍残ル地ヘ1

しおりを挟む
『ハハッ!随分と楽しそうに過ごしているようじゃないか?フォルテ』

 リビングの一角、オープンキッチンの裏で耳に当てたスマートフォン越しに、電話の主はそのマッチョな体格に似合った豪快な笑い声を上げた。

「他人事のように言いやがって、誰のせいだと思ってるんだ?全く……」

 得意のプロレス技や、殴打の嵐によってボロボロになった身体の節々を摩りながら俺はぼやく。

 ────セイナめ……二日も寝込んでいた病み上がりの人間に首投げとかやるかね普通?
 おかげで首や背骨の違和感が半端じゃない……クソ、今度覚えてろよ……次お前が寝てるとき、デコピンじゃなくてその柔らかそうな両頬、泣くまで引っ張ってやるからな……!

 と、内心で復讐を誓う俺。当たり前だ。悪いことはしてないはずなのに、濡れ衣でこんなひどい目に遭っているんだからな……
 濡れ衣で思い出したが、元はと言えばな────

「お前らがロナをこっちに回したせいで、肉体面だけでなく、精神面までもが辛いんだよ……おかげでどっかのCIA長官さんのように頭が禿はげげそうだぜ……」

「だが、役立っているのは事実だろ?あと、私は禿はげげているのではない、自分でスキンヘッドにしているのだ」

 と、俺の嫌みに対して少々ズレた返しをしてくるCIA長官ジェイク・ウォルコット。昔からちょっと天然っぽいところがあるんだよな……と思いながら、会話に出てきた問題の人物。落ち着きを取り戻し、服もちゃんと着た状態でPCを操作するロナの方を見た。
 服を着たと言っても、相変わらず丈の短い黒のキャミソールと白いショートパンツ。大事なところをギリギリ隠せているだけでさっきと大して変わらないその姿に、それは恥ずかしくないんだ……と首を傾げたくなってしまう。ほんと……何年生きても女性ってやつの考えていることは理解できん……

「まあ、情報面はだいぶな……戦闘面もロアには劣るが、それでも一生懸命頑張ってくれているよ、だがホントにそっちは大丈夫なのか?」

「なんの話だ?」

「なんのって、ロナのことだよ。ホントにアイツを抜いて政府は大丈夫なのか?」

「そのことか……確かに抜けた穴はデカいが、彼女一人で組織が揺らぐほど、我々の組織がやわじゃないことは君もよく分かっているだろう?なにより今回の件は、命令違反による無期限追放処分と言えば聞こえは良くないが、あくまでここ一年ずっと頑張ってもらった彼女に対する休養というのが一番の目的だ。私としては入れ替われなくなったロアの件も気になる。まあ精々心の傷が癒えるまで、大好きな君の元に居させてやってくれ……」

「────大好き……ねぇ……」

 本気でロナが俺のことを好きだと思ってなさそうだけどな……
 無期限追放という名の長期休暇については、一か月前にロナの話を聞いた後、すぐジェイクに尋ねて知っていた俺はもう驚きこそしないが、まさかホントに長期休暇を与えるとは思ってもいなかった……提案した俺が言うのもあれなんだけどな……
 こっちとしてはホントに助かっているから、そっちが大丈夫というならありがたいんだけどな……

「……♪」

 ソファーに腰かけ、ノートPCを機嫌良さそうに鼻歌まじりに操作しているロナ。別に無理して仕事しなくてもいいと言っているのに「働かざる者食うべからずだよ!」と意気揚々と仕事している……これじゃあ結局休暇の意味はないのでは……?
 本人はあまり気にしていないようなので、今まで俺がやっていた情報収集に関してはだいぶ甘えてしまっている。そのおかげで昨日ようやく、ヨルムンガンド工作員のベルゼ・ラングが残していったPCとスマートフォンの解析が終わったと言っていた。
 で、そのことを伝えに昨日、寝込む俺の元に来たらしいが。何かにうなされていた俺を見たロナが何を思ったのか、一緒に添い寝をしてくれていたらしい……全然知らなかったが……
 とまあそんな感じで今朝目覚めた時に、ロナが俺を抱き枕代わりにして寝ていたのだが……本来ならば、気持ち的にも肉体的にも嬉しいことのはずだが、セイナその対価で全てが台無し……寧ろマイナスになってしまったけどな……

「で?電話してきた要件は何なんだ?まさか、自分の部下が心配になって電話を掛けたってわけじゃないだろう?ガイフォークスナイト殿?」

「うぐっ……君は嫌なことを思い出させてくれるな……フォルテ……」

 さっきの豪快な笑いとは違った苦笑いを漏らすジェイク。
 一か月前、俺をFBIから助けてくれたジェイクは、CIA長官であること隠すため、アノニマスリーダーのロナの使っているガイフォークスマスクを被って暴れていたのだが……職員数十人を無力化、かつ俺やCIA職員の牧師パスターを逃がした罪人として、FBIから「ガイフォークスナイト」と命名されて今も行方を捜索されているらしい……
 イギリスの風習、ガイフォークスナイトNight。本来は夜という意味合いだが、つるぎで戦っていたからガイフォークスナイトKnght。騎士という意味に掛けてそう呼ぶところが少しこじゃれてて、命の恩人に失礼だが、初めて聞いた時は大爆笑もんだった。

「察しのとおり、部下の心配もあったがそれだけじゃない……ようやく、一か月前のテロ事件についてまとめることができたのでな……その報告だ」

「意外に時間が掛かったな……なにかいい情報はあったか?」

「なんとも言えないな……情報はあるがそれが正確かどうかは……」

 一か月前のテロ事件でヨルムンガンド工作員のアルシェを捕まえたことにより、多少は良い情報も手に入るものと踏んでいたが、俺の予想と反してジェイクの反応はあまり良いとは呼べるものではなかった。

「まずは牧師パスターについてだ、彼は私が連れ帰って尋問したが、例の記憶喪失だったよ……事件前日までの記憶はあるが、当日の記憶はまっさらだと言っていた……君が処理した爆弾についても調べたが、スミソニアン博物館から出てきたとしか分かっていない……」

「爆弾もそうだが、神器はどうやって盗み出されたんだ?」

 神器「ヤールングレイプル」は最初、スミソニアン博物館の地下にあったはずだが、それを牧師パスターが持ち出したと見せかけて、結局持っていたのはアルシェだった。

「監視カメラ、及び職員の情報も確かではないので絶対ではないが、おそらく爆弾や神器の持ち運びは、君達が対峙した、彩芽と名乗る少女の瞬間移動?でやったのではないかと思われる……憶測だがな……」

「でも、もしそうだとしたら最強じゃないか?仮に、ホントにどこでも瞬間移動できるなら、どんな頑丈な金庫に隠したところで意味ねぇじゃねえか……」

「そう、そこだ……今回一番気になっているところは……」

 唸る俺にジェイクはそう言ってから、一呼吸おいて続ける。

「瞬間移動できるのにも関わらず、わざわざミサイル攻撃を誘発してまで金庫の電子ロックを解除させたということが気になる……魔術なのか神の加護とやらかは知らないが、やはりその能力にも条件があるのだろう……それに、盗んでから即退散そくたいさんせず、わざわざリスクを冒してまでセイナ君を勧誘したというところも気になる……彼女に何かあるのか……?」

「……」

 まだアメリカ政府に、神の加護を持つセイナについて詳しく話していないので、なんて説明しようか迷っていると────

「あぁ……詳しく話せないならそれはそれで構わないが……あとは、セイナ君達を追ってきたというAHー64Dアパッチ・ロングボウの操縦員、残念だが彼に関しても牧師パスターと内容はほぼ同じだった……そして最後、アルシェ・マーリンについてだが……」

 ゴクリ……と生唾を呑む。
 今までの操られた味方とは違い、明確な敵。
 それだけにいい情報が入っているといいんだが……

「あまりいい尋問はできず、取れた情報も少なかった……」

「……拷問にかけたのか?」

「おいおい、ジュネーブ条約は君も知っているだろう?」

「それは、あくまでの話だろ……」

 俺の指摘に、ジェイクは痛いところを突かれたとばかりに押し黙る。
 仮にも俺は元軍人。この手のずる賢いことをすぐ思いつく自分に本当に嫌気がさす……

「正確に言うと、ジュネーブ条約を締結していない国なら関係ないはずだ。それこそ……お隣のメキシコにでも連れてって拷問すれば誰も文句は言わない。北大西洋条約機構NATO加盟国の人間にやるとかなると少々面倒だが、アルシェは身分の知れないテロリスト。死んだところで誰も文句は言わないだろう……」

 敵とはいえ、セイナやロナよりも幼いアルシェを縛り付け、拷問にかける様を思い浮かべた自分に吐き気がする。確かに他の人を守るためには必要な犠牲……とはよく言うが……自白剤でも口を割らないからと、人体を破壊する過度な拷問というのは人が人にする行為ではない。それは綺麗ごと、詭弁なのかもしれないけどな……

「君は、本当に拷問にかけるべきだと考えているのか?」

「……いや……と言いたいところだが、幼いとはいえテロを仕掛けたのは事実。今回は死人はこそ出なかったが、次にアルシェの仲間が同じようなことを起こせば大勢死ぬかもしれない……それを未然に防ぐためには……な……普通の人なら必要なって言うのかもしれないな……」

 犠牲……この言葉は俺の中で一位二位を争うくらい嫌いな言葉だ。
 喉から絞り出すように、歯と歯を食いしばりながらそう答えた俺……
 その言葉を聞いたジェイクは、何故か軽く鼻を鳴らしてからこう告げた。

「ふん、君ならそう答えると思っていたよ……人によっては君のことを非道になれきれないと批判する者もいるかもしれない……だが、君のそういう善意のある人間らしいところが私は好きなんだ……きっとそれはロナも────いや、今はよそう……」

 何かを言いかけたジェイクは途中で言葉を切り、軽く咳ばらいを挟みつつ話しを戻す。

「君の言う通り、確かに多少無理すれば拷問は可能だ。だが、私達はとは違う。そんなことしなくても、たかだか三億人の同胞くらい守って見せるさ。それに今回は拷問を掛けたくても掛けれない状態だったんだ」

 連中……と言ったジェイクの指すものがテロリストではなく、どこのことを言っているのか何となく分かってしまった俺はえてそこに突っ込まなかった。

「アルシェに何か言われたのか?」

「情報をしゃべったら死ぬ呪いが掛けられているとな」

「呪いか……」

 魔術を駆使した巧妙な言い逃れだな……
 いくら最近魔術について一般人の理解が増えたからといって、海の生物が未だに半分以上解明されていないのと一緒で、魔術も未知数な部分はたくさんある。
 呪いもその一つだ。かけ方、解き方、種類や効果などは様々で、生物、物、場所、と掛ける場所も様々。
 そこらの普通の犯罪者が言うならまだしも、魔術に精通してるっぽいアルシェにそう言われたら、正直下手に喋らすことはできない。ものすごく効果的な一言だな……

「それじゃあ仕方ないな……もし本当なら、下手に自白剤を使ってしゃべらせでもしたら死ぬ可能性があるからな……クソッ……今回もロクな情報は無しか……」

「そうなんだが、二つだけアルシェが気になることを言っていてな……」

「気になること……?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

「ただの経費削減ですが?」 銀河最弱の補給艦隊が、俺の「在庫管理」で最強になったようです

空木 架
SF
日本の企業で総務として働く星野明日虎(32歳)は、ある日突然、見知らぬ宇宙の帝国へと転移してしまう。彼が配属されたのは、整理整頓もままならない「銀河最弱」の補給艦隊だった! ひょんなことから戦艦の艦長に任命されてしまった明日虎だが、宇宙の戦い方など全く分からない。そこで彼が武器にしたのは、長年の社畜生活で培った「経費削減」と「在庫管理」のスキルだった。 「弾薬の無駄遣い禁止!」「エンジンはこまめに切れ!」――ただ徹底的なコストカットと業務効率化を推し進めただけなのに、それがなぜか「天才的な軍事戦略」として周囲に大勘違いされていく。 個性豊かな仲間たちと共に、最弱だった倉庫部門を最強の組織へと育て上げる、痛快・お仕事&成り上がりSFファンタジー! ※この作品は、「小説家になろう」「カクヨム」でも連載しています

薬師だからってポイ捨てされました~異世界の薬師なめんなよ。神様の弟子は無双する~

黄色いひよこ
ファンタジー
薬師のロベルト・シルベスタは偉大な師匠(神様)の教えを終えて自領に戻ろうとした所、異世界勇者召喚に巻き込まれて、周りにいた数人の男女と共に、何処とも知れない世界に落とされた。  ─── からの~数年後 ──── 俺が此処に来て幾日が過ぎただろう。  ここは俺が生まれ育った場所とは全く違う、環境が全然違った世界だった。 「ロブ、申し訳無いがお前、明日から来なくていいから。急な事で済まねえが、俺もちっせえパーティーの長だ。より良きパーティーの運営の為、泣く泣くお前を切らなきゃならなくなった。ただ、俺も薄情な奴じゃねぇつもりだ。今日までの給料に、迷惑料としてちと上乗せして払っておくから、穏便に頼む。断れば上乗せは無しでクビにする」  そう言われて俺に何が言えよう、これで何回目か? まぁ、薬師の扱いなどこんなものかもな。  この世界の薬師は、ただポーションを造るだけの職業。  多岐に亘った薬を作るが、僧侶とは違い瞬時に体を癒す事は出来ない。  普通は……。 異世界勇者巻き込まれ召喚から数年、ロベルトはこの異世界で逞しく生きていた。 勇者?そんな物ロベルトには関係無い。 魔王が居ようが居まいが、世界は変わらず巡っている。 とんでもなく普通じゃないお師匠様に薬師の業を仕込まれた弟子ロベルトの、危難、災難、巻き込まれ痛快世直し異世界道中。 はてさて一体どうなるの? と、言う話。ここに開幕! ● ロベルトの独り言の多い作品です。ご了承お願いします。 ● 世界観はひよこの想像力全開の世界です。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

処理中です...