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赤き羽毛の復讐者《スリーピングスナイパー》
鎮魂の慈雨《レクイエムレイン》2
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「……ホントにそんなことができるのか?」
ロナから説明を聞いた俺が、未だ信じられないその内容に半信半疑な眼を向ける。
「ダイジョーブ!!この天才ロナちゃんを信じたまえってね!」
そう言ってロナは、ブラをしていないバストを前面に突き出した。
「……チッ……」
隣にいたセイナは舌打ち混じり眉間のシワを深くさせる。
家ではお腹や二の腕に数グラム脂肪がついた程度でギャンギャン騒ぐくせに……そんなに他人の脂肪が羨ましいものなのか……?男の俺には到底理解できんな。
「……何でもいいから、できるなら早くやってくれ……国境警備隊もあと数十分で着くんだろう……?君の説明でもうすでに四分三十二秒時間を使ったんだ……もうこれ以上無駄にできる時間は無いよ……」
薬の影響か?目がだいぶヤバい感じに据わったアイリスが時計も見ずにそう答えた。何かと細かい性格の多いスナイパーにとっては、時間を測るのに時計なんて機具は必要ないんだろうな……
すると────大雑把の権化たるロナは、
「にゃぁー!!どうしてスナイパーって人種はこうもめんどくさいのかな!?アイツといいお前といい、いちいち細かいっちゅーの!!」
と言いながら頭を抱えていた。アイツ……って誰のことだ……?
疑念を抱く俺がそれを訊ねるよりも先に、ロナは急にこっちをビシィッ!!と指さして、
「いい!?この作戦は全員の動きが重要だから、特にダーリンはきっちりやってくれないとロナちゃんが死んじゃうから!!しっかりお願いね!」
「あ、あぁ……」
正直断れるなら断りたい指示を受けていた俺だが、他に方法が無い以上文句は言えない……意識が何度も飛びかけている身体にもう一度気力を入れ直す。左眼のおかげで多少回復はしたとはいえ……一週間くらいは魔眼の反動を受けそうだな……まあ、ここを生きて帰れるなら安いもんだけど。
東の空に昇った太陽は未だ雲に隠れたままで、気づけば辺りはすっかり明るくなっていたが、緊張の連続で不思議と眠くはなかった……昨日から全く寝てないけど。
それと、夜目で何となくしか見えていなかった全員の表情も、細部までよく確認できるようにもなっていた。三人とも同じ目標に向け、協力するために覚悟を決めたといった感じのとても良い表情だ。即決混合チームにしては上出来、こんなもん見せられて男の俺が弱音なんて吐いてられっかよ!
「それじゃあ行くぞッ……!!」
俺の声を合図に、ロナが照射型レーザーキーボードのエンターキーをタップした。
ブシュゥゥゥゥ!!!!
すると強烈なエアー音を響かせながら、グリーズの背中……人で言う肩甲骨の間くらいの位置で真っ白い煙が噴射された。
「な、なんだ!?なぜ扉が開いている!!??」
その煙の中から甲高い男性の声……チャップリンの声が耳に入る。よし……とりあえず成功したらしいな……
「そっちは任せたぜ、セイナ!アイリス!」
本日何度目か分からない悪魔の紅い瞳を発動させ、ロナを抱きかかえる俺にセイナは少しだけ躊躇うような仕草を見せてから、一歩前に近づいて────
「────ア、アンタこそ、しくじって死んだら……そ、その……ただじゃ置かないんだからね……!!」
彼女なりの鼓舞のつもりらしいが、おいおい……死んでも何かされなきゃいけないのか俺は?あと、軍隊式か何か知らんが、そんな顔真っ赤にして怒鳴るようなことか?相変わらずキツイなぁ……
心の中で苦笑を漏らす俺にしがみ付いたロナが「……レベルの高いツンデレ……チッ……」と何かをブツブツと呟いていた。どこに舌打ちする要素あったよ……?
「……フォルテ……今までありがとう……」
騒がしい二人の横でアイリスがポツリ────と呟いた。
「今までって、縁起でもねーこと言うんじゃねーよ……」
今生の別れのような切り出しに、口を尖らせる俺にフリフリ……アイリスは左右に首を振った。
「いや……これから先、誰が死んでもおかしくない……言える内に言っておかないと、言いそびれてしまうことだって……ある……」
その言葉を、俺は軽く流してやることができなかった。
アイリスは過去に父親を亡くした際、別れを告げることも、死に際に立ち会うことすらできなかった。俺達のことをただのコマではなく、友として信頼した上での言葉なんだろう。
だから俺は────ポンッ……視線を伏せていたアイリスの頭を片手でワシャワシャと撫でてやる。
「なぁ!?」
「はぅあ!?」
それを見たセイナとロナが二人して驚愕の声を上げた。そんなに騒ぐことか?別にそこまで変なことはしてないつもりだが……
「……」
甘栗色の髪を撫でられたアイリスは、何も発しない。だが、決して嫌がる素振りは見せない……ただ俯いて俺になされるがままになっている。飼い主に頭を撫でてもらっている猫のように。
「さっき約束したこと?もう忘れたのか……?」
「……約束?」
「飯だよ、飯。さっき俺の飯が食いたいってさ言ってたじゃねーか?」
「……あれは……あのスナイパーと戦わなかった場合の話しで……ここで決着がつけば……勝っても負けてもボクは牢屋に戻るかここで死ぬかの二択しかない……そうなってしまえばもうそんな機会────」
「だったらお前の牢屋にご馳走を持って行ってやるよ……」
そこで初めてアイリスが俺の顔を見上げた。据わっていた琥珀色の瞳を少しだけ見開いて。
「俺の料理を食いたいって言ったんだ……お前が泣いて懇願するまで永遠と飯をご馳走してやる。どんな監獄でも忍び込んで特上のフルコースを振舞ってやる。お前が過ごしたこの二年間が決して無駄ではなかった、そう思えるように俺が幾らでも手を貸してやるから、だからそんなこと言うんじゃねーよ……」
「……」
ぶっちゃけ言うと、俺の飯を素直に美味いと言ってくれる人がいないため、作る身としてはアイリスのように言ってくれる人にはご馳走してやりたくなるんだよな。
アイリスは何も言わずに俯いたまま……巻いたマフラーの中に顔を隠す。
あれ、怒っちゃったかな……?と俺が首を傾げて顔を覗き込むと、プイっ……と視線を逸らす。目も合わせられないほど怒っているってことか……?
「……君がセイナ達に好かれている理由────ちょっとだけ分かったような気がしたよ……」
「え?……なんて言った?」
「うるさい……フォルテが無駄なこと話しているから……数秒、じゃなくて、数分無駄になったぞ……」
珍しく早口でそう捲し立てたアイリスは、怒っているのか?さっきは正確だった時間すら数えられない程に顔を真っ赤にしていた。
なんか……これ以上ここで口を開けば開くほど、罵詈雑言を食らいそうだなと感じた俺は、グリーズの体内に込められていたエアーで、白い靄が作り出した霧の中へとロナを抱えて飛び込んでいく。
うつ伏せのグリーズの背に飛び乗ると、ロナがハッキングしたハッチが解放した状態になっており、背中の装甲の大部分が直立した状態になっていた。さらにそれが収まっていた部分は開口部になっていて、コックピットは丸裸の状態になっていた。
「貴様ら!どうやって開けた!!?」
まさか外側から開けられるとは思ってはいなかったと表情に書かれたチャップリンが、コックピットから這い出ていた。に反応するよりも先に────俺の頭部目掛けて一発の銃弾が襲い掛かった。
銃声の聞こえない正確無比な狙撃……だが、それ故に予測もしやすい。
俺は前もって防弾製の八咫烏と義手の二重防御で身構え、その一撃を何とか防ぐ。
「グッ……!」
重い鉛玉の衝撃に俺は全身が軋む……遅れてターンッ!遥か彼方で置き去りにされた銃声が響いた。
「いけッ!!ロナ!!」
俺の合図で背中に隠れていたロナが靄の中を突っ走る。
「……邪魔ッ!!」
「がはッ……!」
途中倒れていたチャップリンを数メートル蹴り飛ばし、ロナはコックピットへと乗り込んだ。
電子機器を手に作業始めるロナを俺は守るようにスナイパーのいる方向へと飛び出すと……
「ぁっ……!?」
かっぱのように羽織っていた八咫烏の上からもう一撃……みぞおちにクリーンヒットした銃弾に俺が膝を着く。
銃弾で抜けないと分かるや否や、より効果的な場所に銃弾を集中させようという腹積もりらしい……実にスナイパーらしく、くっせたれな野郎だぜ……!
「ロナ……はやぐ……」
「分かってるからもうちょっと待ってて!!」
魔眼で身体を強化していた俺だからこそ耐えれることだが、だからと言って無限に耐えられるわけではない。グリーズの開口部の中、コックピットで作業するロナがあーでもないこーでもないと電子機器を操作していた。
その間に飛んできた三発目の銃弾が猛威を振るい……俺はついに真後ろへと弾き飛ばされた。
グリーズの背をゴロゴロと転げる俺は、何とか小太刀で態勢を立て直すが……次の銃弾からロナを守ることができない……撤退を告げようとしたその瞬間、ロナがコックピットから飛び出してきた。そして────
「……出来た出来た出来たぁ!!!!」
全力疾走で俺の方に駈け寄ってくる。
よし!……それならここに長居は無用だ!俺は鈍痛が残る中で立ち上がり、走ってきたロナと共にグリーズの背から飛び降りようとした背後から、四発目の銃弾が迫っていた……!
空中を翔ける弾丸……その鉛の銃弾が着弾することはなかった。もちろん外れたのではない。だが、誰にも、何処にもその銃弾は当たることは無かった。
じゃあどうなったかって?答えは簡単……銃弾は空中で焼け消えたのだ。
凄まじい熱量のレーザービームに焼かれた鉛弾は、姿かたちを残すことなく蒸発する。
「「いっけぇぇぇぇ!!!!」」
俺とロナがグリーズから飛び降りた。
ロナが明確な隙を作るために講じた策……コックピットで行っていたことは、グリーズ本体のハッキングだった。神器を抜かれ、操縦することこそ叶わなかったが、それでも残っていた力のすべてをレーザービームへと回すことで、山を攻撃するためには十分な力を発揮することができた。
地面から太陽に向かって一筋のレーザーが照射され、魔術弾使いの潜伏していた周辺を薙ぎ払った。
そのタイミングを見測り、俺達と入れ替わるようにしてセイナと、彼女が抱えたアイリスが上空へと舞い上がった。
ロナから説明を聞いた俺が、未だ信じられないその内容に半信半疑な眼を向ける。
「ダイジョーブ!!この天才ロナちゃんを信じたまえってね!」
そう言ってロナは、ブラをしていないバストを前面に突き出した。
「……チッ……」
隣にいたセイナは舌打ち混じり眉間のシワを深くさせる。
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「……何でもいいから、できるなら早くやってくれ……国境警備隊もあと数十分で着くんだろう……?君の説明でもうすでに四分三十二秒時間を使ったんだ……もうこれ以上無駄にできる時間は無いよ……」
薬の影響か?目がだいぶヤバい感じに据わったアイリスが時計も見ずにそう答えた。何かと細かい性格の多いスナイパーにとっては、時間を測るのに時計なんて機具は必要ないんだろうな……
すると────大雑把の権化たるロナは、
「にゃぁー!!どうしてスナイパーって人種はこうもめんどくさいのかな!?アイツといいお前といい、いちいち細かいっちゅーの!!」
と言いながら頭を抱えていた。アイツ……って誰のことだ……?
疑念を抱く俺がそれを訊ねるよりも先に、ロナは急にこっちをビシィッ!!と指さして、
「いい!?この作戦は全員の動きが重要だから、特にダーリンはきっちりやってくれないとロナちゃんが死んじゃうから!!しっかりお願いね!」
「あ、あぁ……」
正直断れるなら断りたい指示を受けていた俺だが、他に方法が無い以上文句は言えない……意識が何度も飛びかけている身体にもう一度気力を入れ直す。左眼のおかげで多少回復はしたとはいえ……一週間くらいは魔眼の反動を受けそうだな……まあ、ここを生きて帰れるなら安いもんだけど。
東の空に昇った太陽は未だ雲に隠れたままで、気づけば辺りはすっかり明るくなっていたが、緊張の連続で不思議と眠くはなかった……昨日から全く寝てないけど。
それと、夜目で何となくしか見えていなかった全員の表情も、細部までよく確認できるようにもなっていた。三人とも同じ目標に向け、協力するために覚悟を決めたといった感じのとても良い表情だ。即決混合チームにしては上出来、こんなもん見せられて男の俺が弱音なんて吐いてられっかよ!
「それじゃあ行くぞッ……!!」
俺の声を合図に、ロナが照射型レーザーキーボードのエンターキーをタップした。
ブシュゥゥゥゥ!!!!
すると強烈なエアー音を響かせながら、グリーズの背中……人で言う肩甲骨の間くらいの位置で真っ白い煙が噴射された。
「な、なんだ!?なぜ扉が開いている!!??」
その煙の中から甲高い男性の声……チャップリンの声が耳に入る。よし……とりあえず成功したらしいな……
「そっちは任せたぜ、セイナ!アイリス!」
本日何度目か分からない悪魔の紅い瞳を発動させ、ロナを抱きかかえる俺にセイナは少しだけ躊躇うような仕草を見せてから、一歩前に近づいて────
「────ア、アンタこそ、しくじって死んだら……そ、その……ただじゃ置かないんだからね……!!」
彼女なりの鼓舞のつもりらしいが、おいおい……死んでも何かされなきゃいけないのか俺は?あと、軍隊式か何か知らんが、そんな顔真っ赤にして怒鳴るようなことか?相変わらずキツイなぁ……
心の中で苦笑を漏らす俺にしがみ付いたロナが「……レベルの高いツンデレ……チッ……」と何かをブツブツと呟いていた。どこに舌打ちする要素あったよ……?
「……フォルテ……今までありがとう……」
騒がしい二人の横でアイリスがポツリ────と呟いた。
「今までって、縁起でもねーこと言うんじゃねーよ……」
今生の別れのような切り出しに、口を尖らせる俺にフリフリ……アイリスは左右に首を振った。
「いや……これから先、誰が死んでもおかしくない……言える内に言っておかないと、言いそびれてしまうことだって……ある……」
その言葉を、俺は軽く流してやることができなかった。
アイリスは過去に父親を亡くした際、別れを告げることも、死に際に立ち会うことすらできなかった。俺達のことをただのコマではなく、友として信頼した上での言葉なんだろう。
だから俺は────ポンッ……視線を伏せていたアイリスの頭を片手でワシャワシャと撫でてやる。
「なぁ!?」
「はぅあ!?」
それを見たセイナとロナが二人して驚愕の声を上げた。そんなに騒ぐことか?別にそこまで変なことはしてないつもりだが……
「……」
甘栗色の髪を撫でられたアイリスは、何も発しない。だが、決して嫌がる素振りは見せない……ただ俯いて俺になされるがままになっている。飼い主に頭を撫でてもらっている猫のように。
「さっき約束したこと?もう忘れたのか……?」
「……約束?」
「飯だよ、飯。さっき俺の飯が食いたいってさ言ってたじゃねーか?」
「……あれは……あのスナイパーと戦わなかった場合の話しで……ここで決着がつけば……勝っても負けてもボクは牢屋に戻るかここで死ぬかの二択しかない……そうなってしまえばもうそんな機会────」
「だったらお前の牢屋にご馳走を持って行ってやるよ……」
そこで初めてアイリスが俺の顔を見上げた。据わっていた琥珀色の瞳を少しだけ見開いて。
「俺の料理を食いたいって言ったんだ……お前が泣いて懇願するまで永遠と飯をご馳走してやる。どんな監獄でも忍び込んで特上のフルコースを振舞ってやる。お前が過ごしたこの二年間が決して無駄ではなかった、そう思えるように俺が幾らでも手を貸してやるから、だからそんなこと言うんじゃねーよ……」
「……」
ぶっちゃけ言うと、俺の飯を素直に美味いと言ってくれる人がいないため、作る身としてはアイリスのように言ってくれる人にはご馳走してやりたくなるんだよな。
アイリスは何も言わずに俯いたまま……巻いたマフラーの中に顔を隠す。
あれ、怒っちゃったかな……?と俺が首を傾げて顔を覗き込むと、プイっ……と視線を逸らす。目も合わせられないほど怒っているってことか……?
「……君がセイナ達に好かれている理由────ちょっとだけ分かったような気がしたよ……」
「え?……なんて言った?」
「うるさい……フォルテが無駄なこと話しているから……数秒、じゃなくて、数分無駄になったぞ……」
珍しく早口でそう捲し立てたアイリスは、怒っているのか?さっきは正確だった時間すら数えられない程に顔を真っ赤にしていた。
なんか……これ以上ここで口を開けば開くほど、罵詈雑言を食らいそうだなと感じた俺は、グリーズの体内に込められていたエアーで、白い靄が作り出した霧の中へとロナを抱えて飛び込んでいく。
うつ伏せのグリーズの背に飛び乗ると、ロナがハッキングしたハッチが解放した状態になっており、背中の装甲の大部分が直立した状態になっていた。さらにそれが収まっていた部分は開口部になっていて、コックピットは丸裸の状態になっていた。
「貴様ら!どうやって開けた!!?」
まさか外側から開けられるとは思ってはいなかったと表情に書かれたチャップリンが、コックピットから這い出ていた。に反応するよりも先に────俺の頭部目掛けて一発の銃弾が襲い掛かった。
銃声の聞こえない正確無比な狙撃……だが、それ故に予測もしやすい。
俺は前もって防弾製の八咫烏と義手の二重防御で身構え、その一撃を何とか防ぐ。
「グッ……!」
重い鉛玉の衝撃に俺は全身が軋む……遅れてターンッ!遥か彼方で置き去りにされた銃声が響いた。
「いけッ!!ロナ!!」
俺の合図で背中に隠れていたロナが靄の中を突っ走る。
「……邪魔ッ!!」
「がはッ……!」
途中倒れていたチャップリンを数メートル蹴り飛ばし、ロナはコックピットへと乗り込んだ。
電子機器を手に作業始めるロナを俺は守るようにスナイパーのいる方向へと飛び出すと……
「ぁっ……!?」
かっぱのように羽織っていた八咫烏の上からもう一撃……みぞおちにクリーンヒットした銃弾に俺が膝を着く。
銃弾で抜けないと分かるや否や、より効果的な場所に銃弾を集中させようという腹積もりらしい……実にスナイパーらしく、くっせたれな野郎だぜ……!
「ロナ……はやぐ……」
「分かってるからもうちょっと待ってて!!」
魔眼で身体を強化していた俺だからこそ耐えれることだが、だからと言って無限に耐えられるわけではない。グリーズの開口部の中、コックピットで作業するロナがあーでもないこーでもないと電子機器を操作していた。
その間に飛んできた三発目の銃弾が猛威を振るい……俺はついに真後ろへと弾き飛ばされた。
グリーズの背をゴロゴロと転げる俺は、何とか小太刀で態勢を立て直すが……次の銃弾からロナを守ることができない……撤退を告げようとしたその瞬間、ロナがコックピットから飛び出してきた。そして────
「……出来た出来た出来たぁ!!!!」
全力疾走で俺の方に駈け寄ってくる。
よし!……それならここに長居は無用だ!俺は鈍痛が残る中で立ち上がり、走ってきたロナと共にグリーズの背から飛び降りようとした背後から、四発目の銃弾が迫っていた……!
空中を翔ける弾丸……その鉛の銃弾が着弾することはなかった。もちろん外れたのではない。だが、誰にも、何処にもその銃弾は当たることは無かった。
じゃあどうなったかって?答えは簡単……銃弾は空中で焼け消えたのだ。
凄まじい熱量のレーザービームに焼かれた鉛弾は、姿かたちを残すことなく蒸発する。
「「いっけぇぇぇぇ!!!!」」
俺とロナがグリーズから飛び降りた。
ロナが明確な隙を作るために講じた策……コックピットで行っていたことは、グリーズ本体のハッキングだった。神器を抜かれ、操縦することこそ叶わなかったが、それでも残っていた力のすべてをレーザービームへと回すことで、山を攻撃するためには十分な力を発揮することができた。
地面から太陽に向かって一筋のレーザーが照射され、魔術弾使いの潜伏していた周辺を薙ぎ払った。
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