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月下の鬼人(ワールドエネミー)上
首輪を繋がれた悪鬼《パストメモリーズ》6
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『たいちょーさーん!狙撃する人数が増えすぎてちょっと対処しきれねーんだけど……』
インカム越しに連絡が飛んでくる。
逃亡する敵を仕留めるため、工場から少し離れた場所で狙撃していたレクスからだ。
「誰か逃したのか?」
俺が確認のため連絡するも……返事はない。
あれ────聞こえなかったのか?
『────今のところは────逃してない』
数秒遅れてレクスから返答があった。
『────ザザッ────これ以上────多く逃げられると────対処しきれない』
最新の無線、外部からの電波妨害もないのに起こるタイムラグ。
おかしい……声自体も鮮明ではなくやや掠れて聞こえることも含め、どこか疑問を感じた俺は────
「どうも無線の調子が悪いみたいだ……誰か一言喋ってくれ……」
『こちらリズ、異常なし』
『こちらベル、隊長の声は良く聞こえるけど、なんかレックスだけ遅れて聞こえるにゃ、それ以外は問題ないにゃ』
素っ気ないが律義に返事するリズと、思ったことをそのまま言ってしまうベルの声がほぼ同時に聞こえてきた。
二人の声質はレクスと違い、鮮明で聞き取りやすく、返答の速さも普通の会話と大差ない。
ということは、ベルも感じた通り、俺ではなくレクスの無線の調子が悪いのか?
『────俺も特に異常は無いな……隊長の気のせいじゃないのか?』
気のせいじゃないことを確信させるタイムラグで返答してきたレクスに、俺はふとあることに気が付く。
「レクス、お前今どこから狙撃してる?」
援護は任せたが、場所については指定を出していない。
この違法魔術工場は、内部が所々入り組んではいるがそこまで大きくはない。
立地はハイウェイの外れ、数十時間前にベアードと対峙した廃墟と環境こそ似ているが、違う点を上げるとするならば……工場の正面、北側以外は風化により切り立った岩壁に囲まれているくらいだ。
俺が狙撃するなら、その岩壁の上から撃ち降ろすのが絶好の狙撃ポイントだと思う……というかそこしかないだろう。正面は開けた荒野しかないからな。
だとしても、岩壁から工場までは約300m位しか離れていないのに……無線にタイムラグが起きるはずもないのだが……
『────どこってそんなの決まっているだろ、真正面────北側2000mの位置からだぞ?』
「へ?」
『え?』
俺の眼が点になる。
「……北側……2000m?200mじゃなくて?」
「────別に問題ないだろ?一人も逃してないし」
いや、確かにそうだけどよ……
「そんなに離れなくても……狙撃できるポイントなんて幾らでもあったんじゃないか?それこそ、すぐ近くの岸壁からでも……」
『いや隊長、ここしかない……』
強めにそう返してきたレクス。
俺には気づくことのできない何かの理由があるのか?
『ここからじゃないと俺の服が汚れちまうんだ……!』
「……は?」
レクス、本名レクス・アンジェロ。イタリア出身の32歳、身長183㎝、体重76㎏。金髪の中年男性。元々はイタリア軍で中佐をしていたキャリア組だが、何故か若くして退役。
優れた狙撃技術を持ち、その腕は現役の兵士ですら全く足元には及ばないレベルである。本人曰く信条は「遠ければ遠いほどいい」で、とにかく遠距離狙撃を好む傾向にある。書類の記述を見ると、嘘かホントか、過去に自陣から全く移動せずに三キロ先の目標を始末したこともあるとかないとか……
イタリア軍退役後はアメリカ軍にヘッドハンティングされ、現在に至る。
『ホントはもう少し離れたかったんだが、射角的にここが限界なんだよなぁ……今回は、俺のような凄腕イケメンスナイパーが敵にいないからいいけど、下手に近づいてギャング達の乱雑な銃弾に晒されるのだけはごめんだからなぁ……砂ぼこりで服汚したくないし、下手に近寄られでもしたら俺対処できないからな……』
インカム越しにレクスの使うスナイパーライフル、M24A2の銃撃音と、軽快なボルトハンドルによる装填音が交互に聞こえてくる中、俺は頭を抱える。
今回のような敵を逃してはならない(ほとんどがそうだが)任務では、狙撃手は離れすぎることを嫌う。安全マージン内で一番近い距離、今回なら1000m前後くらいだろう……までは近づき、自身の安全を確保しつつ、確実に目標を仕留めれるようにする。しかしレクスは人並み以上の自信、戦局によっては動かなければならないことを嫌い、できる限り遠くに行くという型破りな考えを持っていたのだ。
だからって、俺達をSENTRY CIVILIANで送り届けてから、作戦地点から銃弾どころか無線すら届きにくい、2000mも遠ざかるかね普通……
そんな重度の潔癖症。及びベルと同じ近距離戦への苦手意識。とても軍人として考えられないその二つが、レクスの狙撃技術を磨いてきたかと思うと、呆れて声も出ない。
まあ、今のところは仕事を完遂している以上文句は言えないが……せめて無線は普通に聞こえる位置までは近づいて欲しい。他の連中が助けを求めた時、レクスの無線のラグで命を落とされては堪ったもんじゃない。
だんだん、ベアードの言っていた「優秀だが尖った連中」という意味が分かってきた気がする……分かりたくなかったけど。
「とりあえず、何か変化があったらまた連絡してくれレクス、俺はちょっと別件を思い出した」
「────了解」
数秒のタイムラグのあと、レクスの返事があったことを確認した俺は、進んできた道を戻るように180回転振り返る。
「……さて」
銃弾と腰に携えた太刀「勢州桑名住村正」……これはお守りみたいなものだが……を確認する。
レクスとの会話の途中から漂ってきた僅かな血の臭い、ピりついた空気を感じた俺は、改めて緩んでいた気を締め直して歩き出す。
どっかのバカが制止を聞かずに真正面から突っ込んだせいで、ここまでノンストップで敵を倒してきたが、俺が見てきた限りではまだ誰も殺していない……それなのに、ここまで本能と嗅覚に訴えかけてくる血の臭いがするのは不自然だ……
工場と言うよりも研究所に近いリノリウムの通路を歩いていると、パチパチ明滅しながらとショートする蛍光灯の下、一つの扉の前にたどり着いた。
────血の臭いの元はここからか……
トラップを確認しながらゆっくりと扉を開けると、密閉空間から溢れ出した鉄の臭いと一緒に、誰かの会話が聞こえてきた。男の声。しかも片方は少年による乱雑な英語だ。
「もう勘弁してくれっ……!!アンタの質問に俺は答えることはできない!!」
「嘘つけ、なんかあるだろ?裏の世界のお前達のような人間なら、あの事件について一つや二つくらいなんかさぁ!?」
「ぐぁ!!」
男の悲鳴が上がる。
ドアの僅かな隙間から聞き取れる声から察するに、どうやらここのギャングを誰かが尋問しているようだった。
「喋らないなら殺しちまうぞッ────!」
「ひぃ!?」
さっき教えた英語でそう告げた少年に、男は恐怖に慄くように後ずさる。片言なのが逆に恐怖を煽っているのかもしれない。
そろそろ入らないとヤバそうだな……
「何している、アキラ」
インカム越しに連絡が飛んでくる。
逃亡する敵を仕留めるため、工場から少し離れた場所で狙撃していたレクスからだ。
「誰か逃したのか?」
俺が確認のため連絡するも……返事はない。
あれ────聞こえなかったのか?
『────今のところは────逃してない』
数秒遅れてレクスから返答があった。
『────ザザッ────これ以上────多く逃げられると────対処しきれない』
最新の無線、外部からの電波妨害もないのに起こるタイムラグ。
おかしい……声自体も鮮明ではなくやや掠れて聞こえることも含め、どこか疑問を感じた俺は────
「どうも無線の調子が悪いみたいだ……誰か一言喋ってくれ……」
『こちらリズ、異常なし』
『こちらベル、隊長の声は良く聞こえるけど、なんかレックスだけ遅れて聞こえるにゃ、それ以外は問題ないにゃ』
素っ気ないが律義に返事するリズと、思ったことをそのまま言ってしまうベルの声がほぼ同時に聞こえてきた。
二人の声質はレクスと違い、鮮明で聞き取りやすく、返答の速さも普通の会話と大差ない。
ということは、ベルも感じた通り、俺ではなくレクスの無線の調子が悪いのか?
『────俺も特に異常は無いな……隊長の気のせいじゃないのか?』
気のせいじゃないことを確信させるタイムラグで返答してきたレクスに、俺はふとあることに気が付く。
「レクス、お前今どこから狙撃してる?」
援護は任せたが、場所については指定を出していない。
この違法魔術工場は、内部が所々入り組んではいるがそこまで大きくはない。
立地はハイウェイの外れ、数十時間前にベアードと対峙した廃墟と環境こそ似ているが、違う点を上げるとするならば……工場の正面、北側以外は風化により切り立った岩壁に囲まれているくらいだ。
俺が狙撃するなら、その岩壁の上から撃ち降ろすのが絶好の狙撃ポイントだと思う……というかそこしかないだろう。正面は開けた荒野しかないからな。
だとしても、岩壁から工場までは約300m位しか離れていないのに……無線にタイムラグが起きるはずもないのだが……
『────どこってそんなの決まっているだろ、真正面────北側2000mの位置からだぞ?』
「へ?」
『え?』
俺の眼が点になる。
「……北側……2000m?200mじゃなくて?」
「────別に問題ないだろ?一人も逃してないし」
いや、確かにそうだけどよ……
「そんなに離れなくても……狙撃できるポイントなんて幾らでもあったんじゃないか?それこそ、すぐ近くの岸壁からでも……」
『いや隊長、ここしかない……』
強めにそう返してきたレクス。
俺には気づくことのできない何かの理由があるのか?
『ここからじゃないと俺の服が汚れちまうんだ……!』
「……は?」
レクス、本名レクス・アンジェロ。イタリア出身の32歳、身長183㎝、体重76㎏。金髪の中年男性。元々はイタリア軍で中佐をしていたキャリア組だが、何故か若くして退役。
優れた狙撃技術を持ち、その腕は現役の兵士ですら全く足元には及ばないレベルである。本人曰く信条は「遠ければ遠いほどいい」で、とにかく遠距離狙撃を好む傾向にある。書類の記述を見ると、嘘かホントか、過去に自陣から全く移動せずに三キロ先の目標を始末したこともあるとかないとか……
イタリア軍退役後はアメリカ軍にヘッドハンティングされ、現在に至る。
『ホントはもう少し離れたかったんだが、射角的にここが限界なんだよなぁ……今回は、俺のような凄腕イケメンスナイパーが敵にいないからいいけど、下手に近づいてギャング達の乱雑な銃弾に晒されるのだけはごめんだからなぁ……砂ぼこりで服汚したくないし、下手に近寄られでもしたら俺対処できないからな……』
インカム越しにレクスの使うスナイパーライフル、M24A2の銃撃音と、軽快なボルトハンドルによる装填音が交互に聞こえてくる中、俺は頭を抱える。
今回のような敵を逃してはならない(ほとんどがそうだが)任務では、狙撃手は離れすぎることを嫌う。安全マージン内で一番近い距離、今回なら1000m前後くらいだろう……までは近づき、自身の安全を確保しつつ、確実に目標を仕留めれるようにする。しかしレクスは人並み以上の自信、戦局によっては動かなければならないことを嫌い、できる限り遠くに行くという型破りな考えを持っていたのだ。
だからって、俺達をSENTRY CIVILIANで送り届けてから、作戦地点から銃弾どころか無線すら届きにくい、2000mも遠ざかるかね普通……
そんな重度の潔癖症。及びベルと同じ近距離戦への苦手意識。とても軍人として考えられないその二つが、レクスの狙撃技術を磨いてきたかと思うと、呆れて声も出ない。
まあ、今のところは仕事を完遂している以上文句は言えないが……せめて無線は普通に聞こえる位置までは近づいて欲しい。他の連中が助けを求めた時、レクスの無線のラグで命を落とされては堪ったもんじゃない。
だんだん、ベアードの言っていた「優秀だが尖った連中」という意味が分かってきた気がする……分かりたくなかったけど。
「とりあえず、何か変化があったらまた連絡してくれレクス、俺はちょっと別件を思い出した」
「────了解」
数秒のタイムラグのあと、レクスの返事があったことを確認した俺は、進んできた道を戻るように180回転振り返る。
「……さて」
銃弾と腰に携えた太刀「勢州桑名住村正」……これはお守りみたいなものだが……を確認する。
レクスとの会話の途中から漂ってきた僅かな血の臭い、ピりついた空気を感じた俺は、改めて緩んでいた気を締め直して歩き出す。
どっかのバカが制止を聞かずに真正面から突っ込んだせいで、ここまでノンストップで敵を倒してきたが、俺が見てきた限りではまだ誰も殺していない……それなのに、ここまで本能と嗅覚に訴えかけてくる血の臭いがするのは不自然だ……
工場と言うよりも研究所に近いリノリウムの通路を歩いていると、パチパチ明滅しながらとショートする蛍光灯の下、一つの扉の前にたどり着いた。
────血の臭いの元はここからか……
トラップを確認しながらゆっくりと扉を開けると、密閉空間から溢れ出した鉄の臭いと一緒に、誰かの会話が聞こえてきた。男の声。しかも片方は少年による乱雑な英語だ。
「もう勘弁してくれっ……!!アンタの質問に俺は答えることはできない!!」
「嘘つけ、なんかあるだろ?裏の世界のお前達のような人間なら、あの事件について一つや二つくらいなんかさぁ!?」
「ぐぁ!!」
男の悲鳴が上がる。
ドアの僅かな隙間から聞き取れる声から察するに、どうやらここのギャングを誰かが尋問しているようだった。
「喋らないなら殺しちまうぞッ────!」
「ひぃ!?」
さっき教えた英語でそう告げた少年に、男は恐怖に慄くように後ずさる。片言なのが逆に恐怖を煽っているのかもしれない。
そろそろ入らないとヤバそうだな……
「何している、アキラ」
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―作品について―
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