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そこに愛はない
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『神成さんのお陰でナミちゃんと付き合うことになったんだ。本当にありがとう』
頬を少しだけ染めて照れ臭そうに、でも嬉しくて堪らないのを必死に隠してる顔でオサムが言う。
それは四年間ずっと側にいて、初めて見る顔だった。
◇
左胸は形が変わるほどに大きく揉みこまれ、反対に右胸は形を縁取る様にそっと手のひらで包み込まれている。
でもその指は気まぐれに私の尖りを掠めては身体を震わす私の反応を楽しみ、そしてまた何事もなかったように優しく胸をなぞる。
左右非対称で規則性のないアンバランスな刺激が私の頭をかき乱し、大量に摂取したアルコールがそれを後押しする。
じわじわと快楽に侵されて、気持ちいい以外何も考えられない。
こうして人は堕ちていくのかと、まるで他人事のように冷めた私が一歩離れた場所から、乱れよがる私を静かに観察していた。
クーラーを入れたばかりのこの部屋は、昼間溜め込んだ熱が籠っていてまだ蒸し暑く、一向に身体の火照りを冷ましてはくれない。それどころか逆に、どんどん暑くなってきているようにも感じる。
それはこの男も同じなのか、至近距離で吐く息も私の胸を弄んでいる手もかなりの熱を持っていて、それがそのまま私の中で別のものへと変化する。暑いのなら離れればいいのに、あえて身体を密着させ、更に熱を高ぶらせるような行為をするなんて。
馬鹿馬鹿しいとしか思えない。
どうしてこんなことを。自分でも自分が今していることの理由がわからない。普段の私だったら絶対にあり得ない状況だ。
はっきり言って、この暑さがいけない。
あと、お酒のせいもある。
そして一番の原因は、やっぱりオサムだ。
『俺が代わりにしてやろうか?』
いつもの私だったら絶対に首を縦に振ることはないのに、不幸な条件が重なって、あろうことかこの男の甘言に唆されてしまうなんて。
どうかしていたとしか思えない。
そして、それは今の今まで続いている。
私は今もまさに、どうかしている最中だ。
私の着ていたTシャツとブラジャーは一緒くたに捲し上げられ、首の下でくしゃくしゃに丸められている。履いていたショートパンツは下着と一緒に剥ぎ取られ、無造作にポイっとベッドの下に投げ捨てられたままだ。下をそんなに雑に脱がせたのなら、上だっていっそのこと剥いで欲しい。服が皺になるしブラの形も崩れてしまう。
脱ぎたいのだと案に視線で訴えれば、男はにぃっと厭らしく三日月形に目を細めた。
そして顎をしゃくって「自分で脱げば?」と私に示す。
本当に嫌いだ、この男。
自信家で傲慢で不真面目で、いつもちゃらちゃらとしていて人をおちょくった様な態度ばかり取る。
その上から目線な態度にムッとなり、恥じらいもなく勢いよく脱いでやれば、目の前の男は本当に楽しそうにまた目元だけで笑った。
「ねえ、俺のも脱がせてよ」
甘えるようにそう言われ、私は男に冷ややかな視線を送る。
この女好きしそうな甘いマスクでそう言われれば、大抵の女子は言うことを聞いてしまうのだろう。それをわかっていてやっているのが気に食わない。
「自分で勝手に脱げば?」
自分の晒された身体を隠すことなくベッドに倒れこめば、男が今度は声をあげて笑った。
男はとても楽しそうだが、私はちっとも楽しくない。
男にいちいち反応したくなくて、私はすっと目を閉じる。閉ざされた視界は真っ暗で、当然そこには何も映っていなかった。
「女の子はもっと可愛くしないと。こんな状況なら特にね」
顔を見なくても男がにやにやと笑っているのが分かった。
いや、嗤っているのだろう。
「そんなんだから、ナミちゃんに取られちゃうんだよ」
男が口にした名前に、チクりと胸が痛む。
ナミ。
私からオサムを奪った張本人。オサムが好きになった人。
天真爛漫に笑うあの笑顔が大嫌いだった。
浅慮で煩くて感情的で周りの迷惑なんて考えないトラブルメーカー。
それなのに、いつの間にか皆を虜にしてしまうような抗えない魅力を持つ憎たらしい女。
いつの間にか輪の中心にはナミがいた。女子も男子も関係なく皆ナミが好きだった。
もちろんオサムも、そしてこの男も。
例外は私だけだった。
頬を少しだけ染めて照れ臭そうに、でも嬉しくて堪らないのを必死に隠してる顔でオサムが言う。
それは四年間ずっと側にいて、初めて見る顔だった。
◇
左胸は形が変わるほどに大きく揉みこまれ、反対に右胸は形を縁取る様にそっと手のひらで包み込まれている。
でもその指は気まぐれに私の尖りを掠めては身体を震わす私の反応を楽しみ、そしてまた何事もなかったように優しく胸をなぞる。
左右非対称で規則性のないアンバランスな刺激が私の頭をかき乱し、大量に摂取したアルコールがそれを後押しする。
じわじわと快楽に侵されて、気持ちいい以外何も考えられない。
こうして人は堕ちていくのかと、まるで他人事のように冷めた私が一歩離れた場所から、乱れよがる私を静かに観察していた。
クーラーを入れたばかりのこの部屋は、昼間溜め込んだ熱が籠っていてまだ蒸し暑く、一向に身体の火照りを冷ましてはくれない。それどころか逆に、どんどん暑くなってきているようにも感じる。
それはこの男も同じなのか、至近距離で吐く息も私の胸を弄んでいる手もかなりの熱を持っていて、それがそのまま私の中で別のものへと変化する。暑いのなら離れればいいのに、あえて身体を密着させ、更に熱を高ぶらせるような行為をするなんて。
馬鹿馬鹿しいとしか思えない。
どうしてこんなことを。自分でも自分が今していることの理由がわからない。普段の私だったら絶対にあり得ない状況だ。
はっきり言って、この暑さがいけない。
あと、お酒のせいもある。
そして一番の原因は、やっぱりオサムだ。
『俺が代わりにしてやろうか?』
いつもの私だったら絶対に首を縦に振ることはないのに、不幸な条件が重なって、あろうことかこの男の甘言に唆されてしまうなんて。
どうかしていたとしか思えない。
そして、それは今の今まで続いている。
私は今もまさに、どうかしている最中だ。
私の着ていたTシャツとブラジャーは一緒くたに捲し上げられ、首の下でくしゃくしゃに丸められている。履いていたショートパンツは下着と一緒に剥ぎ取られ、無造作にポイっとベッドの下に投げ捨てられたままだ。下をそんなに雑に脱がせたのなら、上だっていっそのこと剥いで欲しい。服が皺になるしブラの形も崩れてしまう。
脱ぎたいのだと案に視線で訴えれば、男はにぃっと厭らしく三日月形に目を細めた。
そして顎をしゃくって「自分で脱げば?」と私に示す。
本当に嫌いだ、この男。
自信家で傲慢で不真面目で、いつもちゃらちゃらとしていて人をおちょくった様な態度ばかり取る。
その上から目線な態度にムッとなり、恥じらいもなく勢いよく脱いでやれば、目の前の男は本当に楽しそうにまた目元だけで笑った。
「ねえ、俺のも脱がせてよ」
甘えるようにそう言われ、私は男に冷ややかな視線を送る。
この女好きしそうな甘いマスクでそう言われれば、大抵の女子は言うことを聞いてしまうのだろう。それをわかっていてやっているのが気に食わない。
「自分で勝手に脱げば?」
自分の晒された身体を隠すことなくベッドに倒れこめば、男が今度は声をあげて笑った。
男はとても楽しそうだが、私はちっとも楽しくない。
男にいちいち反応したくなくて、私はすっと目を閉じる。閉ざされた視界は真っ暗で、当然そこには何も映っていなかった。
「女の子はもっと可愛くしないと。こんな状況なら特にね」
顔を見なくても男がにやにやと笑っているのが分かった。
いや、嗤っているのだろう。
「そんなんだから、ナミちゃんに取られちゃうんだよ」
男が口にした名前に、チクりと胸が痛む。
ナミ。
私からオサムを奪った張本人。オサムが好きになった人。
天真爛漫に笑うあの笑顔が大嫌いだった。
浅慮で煩くて感情的で周りの迷惑なんて考えないトラブルメーカー。
それなのに、いつの間にか皆を虜にしてしまうような抗えない魅力を持つ憎たらしい女。
いつの間にか輪の中心にはナミがいた。女子も男子も関係なく皆ナミが好きだった。
もちろんオサムも、そしてこの男も。
例外は私だけだった。
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