【R18】溺れる身体~そこに愛はない

遙くるみ

文字の大きさ
49 / 52
その後・番外編

理想と現実と妄想と願望(3)

しおりを挟む
「……ん、ぁ」

 ーーあれ、ここはどこだ。僕、どこにいるんだっけ。真っ暗で、何も見えない。

「やめて……んん」

 違う。見えないんじゃない、僕が目を閉じているから真っ暗なのか。頭が重い。身体が重い。瞼が重い。身体のあちこちが重くてだるくて、指先一つ動かせそうにない。
 ああそうか、僕は今寝ているのか。じゃあこれは、夢?大空か、はたまた海底か。全身が心地よい浮遊感に包まれて、どこかへ飛んで行きそうだ。

「……ん、ふ」

 さっきからくぐもった女の人の声が聞こえる。どうしたのかな。苦しそうな、それでいて甘えるような。ソワソワと胸を落ち着かなくさせる、そんな声だ。

「嘘つくなよ。止めてほしくないくせに」

 今度は男の声。どこかで聞いたことのある、いや多分、ついさっきまで聞いていた声だ。名前は何ていったっけ。そうだ、確かー

「うそ、じゃない。安田、本当に駄目、だか、あん」

「ほら、びしょびしょ。いつからこうなってる?」

「ああ、やあ、ふ」
 
 会話の奥の方で、ぴちゃりぴちゃりと甲高い水音が微かに聞こえる。相変わらず瞼も指先も、身体の何一つ動かせない。それなのに、心臓の鼓動だけはドキドキと高鳴っていき、身体全体を震わせている。

「ほら、言えよ。いつから?」

 安田と呼ばれた男が、酷く甘い声色で意地悪な言葉をかける。

「弟の前なのに、こんなん濡らして」

「ん、はぁ、あっ!お願い、だから」

 控えめだった女の人の声が、今では息遣いまではっきりと聞こえるくらい大きく、荒くなった。さっきとは違う類のドキドキで胸が騒いで落ち着かない。
 弟……弟って、もしかして僕のこと?

「ああ、違うか。弟がいるから、か」

「あああっ!はあっんんん!」

 水音は激しさが増し、ぐちゅぐちゅとはしたなく部屋に響いている。
 部屋?ああ、そうだ。思い出してきた。

 ここは姉の部屋だ。姉の部屋に泊まりに来て、確かお酒を飲んで。最後の方の記憶が曖昧だが、多分そのまま寝てしまったんだろう。散り散りになった意識の欠片が少しずつ集結し、頭がクリアになってくる。

 ということは、もしかしてこれは夢ではなく、今現実に起きていることなんじゃあ。
 ドックンドックン、心臓が耳の後ろにあるんじゃないかと間違う位、うるさく収縮を繰り返す。
 さっきから聞こえるこの声は姉なのか?安田とか言ういけ好かない男と姉は、一体何をーー
 
「声、抑えねえと弟が起きちまうぞ。ああ、もしかして弟に聞かせたいとか?」

「ちがっ!ちが、う……ふぅ、は、ぁ」

「ふっ、やらしいなあ。相変わらず。怜奈は誰かに見られる方が興奮するんだもんな」

「ふ、ぅぅうう」

「違くねーだろ。いつもよりも濡れてんじゃねえの?締め付けもすげえし。ほら」

 ぐちゃ、にちゃ、ごぷ。
 未だかつて聞いたことのない、いやらしい音が絶えず鳴り響く。
 身体が熱い。部屋の空気があからさまに濃くなって、息ができない。いや、違う。勝手に荒くなる息を必死に抑えようとしているから、こんなに苦しいんだ。

「や、やめて」

「あっそ。じゃあやめるか」

 そうだ!止めろ!止めてくれ!
 懇願するような弱弱しい声音の姉に、心の中で激しく同意する。
 経験のない僕にだって、すぐ隣で今何が行われているのかなんてわかる。興味がないわけじゃない。その手の漫画も動画ももちろん見たことはある。本当はこのまま息を潜めてこの行為の行く末を聞いていたい。未知の世界を実際に体感したい。

 隣にいるのが僕の姉じゃなければ、の話だが。

「……カイ!意地悪するのは、もう……やめて」

 姉の声と共に布団がドサリとベッドから落ち、僕はひゅっと息を呑んだ。

「……気持ち良くて、もどかしくて、死んじゃいそう。カイのが欲しくて、たまらないの。お願い。もう、入れて」

 さっきまでくぐもって聞こえにくかった声がはっきりと耳に届き、下半身がぶるりと震えた。

「……ふっ、りょーかい」

 二人の声が消え、この場がしんと静まり返る。息を殺し耳に全神経を集中させると、布が擦れる音、ベッドが軋む音、何かビニール製のものを破く音がしてーー

「ああっ!はあ、んんんんー!」

「っく、う」

「あっああっ!はあ、ああ」

 ばつんばつんと力強く肌がぶつかり合う音と同時に、姉が歓喜の声をあげる。僕の聞いたことも想像したこともない女の声で、姉が喘ぎ、よがり、啼いている。

「怜奈、れーな」

「ああん、やぁん……きもち、いー、ぁん、ああっ」

「おーい、もうイッちゃってんのか?声、ちょっと抑えろ、って。弟に聞こえちまうぞ」

「あ、ああっ!はあっんんんん!もっと、ふ、うう」

 耳を塞ぎたい塞ぎたくない。もう聞きたくないもっと聞いていたい。
 すぐ隣で繰り広げられる男女の生々しすぎる性交渉に、恐ろしくも興奮が止められない。全身の血が滾り、ものすごいスピードで下半身へと集結していく。

「弟もガッカリしてんだろーな。完璧だと思ってた憧れの姉ちゃんが、実はこんなセックス大好きの淫乱女だったとか」

「あああっん!んんー、ち、ちがっあああっ」

「なあにが違うんだよ。シーツまでびしょびしょに濡らしてるくせに。ほら、弟の目の前でイケよ」

 耳に入る音全てが一層激しくなると、姉の声もまたより一層激しくなる。

「はああああん!ち、違う!ちがうの、あっああっ!」

「違く、ねーだろ、がっ」

 ペラペラと喋る男の吐く息も次第に荒くなってきて、さっきまでの余裕はさは窺えない。

 なんだ、これ。これがセックスなのか?
 一周まわって嘘くさく思えてきた。やたら大袈裟だし演技臭い。作り物感がすごい。
 やっぱりこれは夢なんじゃあないか?
 絶対そうだ、そうに違いない。だって、あの姉が。いつだって冷静沈着な姉が、こんな、こんな風になりふり構わず乱れに乱れまくるなんて。

「カイがっ、好きだから!カイとのセックスが、気持ち良くって死んじゃいそ、ああっ!」

「……ッチ」

 くちゃくちゃと、わざと音を立ててガムを噛んでいるかのような下品極まりない水音の合間合間に、どちらのものとも取れない荒い息遣いが聞こえる。

 なんだこれ、なんだこれ、なんだこれなんだこれ!
 耳から入る全ての音が頭の中でごちゃごちゃに反響し、身体の内側からはドクンドクンとどでかい太鼓が打ち鳴らされ、身体中が焼ける程に熱い。

「ああっ!やあっもうっ!イク、イッちゃう!」

「イケよ、ほら。お前の大好きな俺のチンポで、よがりまくってるだらしないその顔を弟に見せてやれよ!こんな俺とのセックスが大好きなお姉ちゃんでごめんなさいって謝りながらイッちまえ!!」

「ああっ!ごめ、ごめん怜央!こんな、お姉ちゃんでっはああん!やあ、もうイク!イクイクぅぅ!!」

「……く、う」

「ああああっ!あっあっああーー!」

 だめだ、やめろ、我慢しろ、こんな………

 ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!

 何度も何度も謝罪の言葉を繰り返し、意識を放棄するかのように、僕はまた何も聞こえない真っ暗闇の世界へと沈んでいった。




「あ、おはよう。怜央、体調はどう?頭は痛くない?気持ち悪くない?」

 身体を起こしうっすらと目を開ければ、心配そうに眉を下げた姉のドアップが映りこんできた。
 ごめんなさい!と咄嗟に心の中で叫び、ふと違和感を感じた。

「姉ちゃん……ここは。あれ、僕なんで」

 右を見て、左を見て、前を見る。
 部屋は日の光で十分に明るく、その全容がはっきりと窺える。僕の知っている姉の部屋で間違いはない。ズキッと痛みが走り頭を押さえると、姉に「大丈夫?」と声をかけられた。
 今は朝、いや昼?昨日、二次試験が終わって、姉の家に帰ってきて。そうしたらあの男がいてーー

「あいつは?」

「安田?昨日のうちにとっくに帰ってるけど」

「え?」

 目を丸くして驚く僕を見て、姉が深刻そうに顔をしかめた。

「覚えてないの?」

 あの男が作ったらしいビーフシチューを食べて、あの男に図星を言い当てられて、行き場がなくなってヤケクソで酒を飲んだ。そこまでははっきりと覚えてる。その後なんか余計なことをペラペラと喋ったような気もするけど、いつの間にかプツリと記憶が途絶えて、気がついたのがついさっきだ。

「もう。未成年がお酒なんて飲んだら駄目なんだから」

「う……ごめん」

「お父さんとお母さんには内緒にしてあげるけど、成人するまではもう止めなさいよ。昨日はすぐに寝ちゃったからいいけど、アルコールで失敗する人も多いんだから」

 すぐ寝たということは、僕が覚えているのが全部っていうことで間違いないのだろうか。

 じゃあやっぱり、あれは夢だったのか……なあんだ、そうか……そうか。
 ホッと肩を撫で下ろすと同時に、僕の妄想に勝手に姉を巻き込んでしまった恥ずかしさと申し訳なさで一杯になる。

 いや、当たり前だろう。あの姉が弟のすぐ隣で男とする・・なんて、考えられない。あり得ない。誓って、ない。姉じゃなくたって普通にモラルのある常識的な大人だったら、そんなことする訳がない。
 よくよく思い返してみれば台詞だって、つい最近読んだ漫画のものと同じようなものだったし。友人の隣で声を抑えてするっていうシチュエーションの動画を見たこともあるし。……そういうのが好きだったりもするし。
 っていうか、まんま僕の性癖というか願望というか妄想が夢になって出てきただけなんじゃあーー

 …………うわあ、ごめん。姉ちゃん、ごめん!申し訳ない!

 絶対にこんなこと口に出して言えないから、心の中でひたすら謝る。誠心誠意土下座する。このまま家に帰らず山に篭って、滝に打たれて煩悩退散するべきだ。

「もしかして、姉ちゃんもお酒で失敗したことあるの?」

 逃げるように話題を姉にすり替えると、姉は一瞬気まずげに顔をしかめ、「結果的に失敗じゃなかったから」と呟いた。
 これは多分、何かしらやらかしたんだろう。姉の失敗談なんて早々聞けるものじゃないからもっと聞き出したい気もするが、自爆しそうな気配がプンプンするから、これ以上掘り下げるのはやめた。多分、僕の予想は間違ってはいない。

「何時の新幹線で帰るの?」

 少し考えて「一時くらいかな」と答えると、姉は「じゃあまだゆっくりできるね」と朗らかに笑った。その笑顔に、ドキリとする。

「なんか、姉ちゃん。楽しそうだね」

「そう?」

「うん。姉ちゃんがああいう男を好きになるなんて、意外だったな」

 さっきの笑みもそうだけど、全体的に雰囲気が柔らかくなったと思う。もちろん、いい意味で。そしてそれは多分、あの男の影響だろう。第一印象がマイナススタートだったからだろうか、今では不思議とそんなに悪い印象はない。飄々として掴みどころのないイケ好かない男なのは変わらないけど、そんなに悪い奴ではないと思う。少なくとも、姉に害を与えるような男ではないはずだ。それは確信している。

「自分でもそう思う。でも、案外悪くないものよ」

 そう言ってふわりと笑う姉は、とても女性的で、キラキラと輝いていた。

「思ってもみなかったことって、案外、良かったりするものよ」

「そういうもん?」

「そういうもん」

 二人で顔を見合わせて、同時にぷっと噴き出した。窓の外の青空のように、僕の心も晴れ晴れとしていた。


 受かっていても、落ちていても、浪人しようと、どこの大学に行こうと。重要なのはそこではないのかもしれない。自分が思い描く未来予想に収まる様な人生は、多分、ものすごく平凡でつまらないものなのだろう。自分自身が成長するためには、多少のアクシデントなり障害などにぶち当たらないとだめなんだ。
 そんなこと口に出して言われてはいないけど、何となく姉にそう言われている様な気がした。



 十日後、僕の元に届いたのは合格通知だった。

 色々と悩みはしたものの、結局僕はその大学に四月から通うことになる。そして、次の年の四月には全く別分野の学部に編入することになるのだけど。

 それは、また別の話。



【次話、安田視点で答え合わせです^ ^】
 
しおりを挟む
感想 17

あなたにおすすめの小説

白い結婚のはずが、旦那様の溺愛が止まりません!――冷徹領主と政略令嬢の甘すぎる夫婦生活

しおしお
恋愛
政略結婚の末、侯爵家から「価値がない」と切り捨てられた令嬢リオラ。 新しい夫となったのは、噂で“冷徹”と囁かれる辺境領主ラディス。 二人は互いの自由のため――**干渉しない“白い結婚”**を結ぶことに。 ところが。 ◆市場に行けばついてくる ◆荷物は全部持ちたがる ◆雨の日は仕事を早退して帰ってくる ◆ちょっと笑うだけで顔が真っ赤になる ……どう見ても、干渉しまくり。 「旦那様、これは白い結婚のはずでは……?」 「……君のことを、放っておけない」 距離はゆっくり縮まり、 優しすぎる態度にリオラの心も揺れ始める。 そんな時、彼女を利用しようと実家が再び手を伸ばす。 “冷徹”と呼ばれた旦那様の怒りが静かに燃え―― 「二度と妻を侮辱するな」 守られ、支え合い、やがて惹かれ合う二人の想いは、 いつしか“形だけの夫婦”を超えていく。

ウブな契約妻は過保護すぎる社長の独占愛で甘く囚われる

ひなの琴莉
恋愛
大企業の清掃員として働くゆめは、ある日社長室の担当を命じられる。強面と噂される社長の誠はとても紳士的な男性だった。ある夜、ストーカーに襲われかけたところを誠に助けられ、心配してくれた彼に同居を提案される。傷ついた自分を大きな愛情で包み込んでくれる誠に、身分違いと知りつつ惹かれていくゆめ。思いを断ち切ろうと決めたとき、彼から偽装結婚を頼まれ、本当の妻のように甘く接されて……!?

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

偽りの婚約者のはずが、極上御曹司の猛愛に囚われています

冬野まゆ
恋愛
誕生日目前に恋人に裏切られた舞菜香は、行きつけの飲み屋で顔見知りだった男性・裕弥と誘われるままに一夜を過ごしてしまう。翌朝も甘く口説かれ、動揺のあまりホテルから逃げ出した舞菜香だったが、その後、彼が仕事相手として再び舞菜香の前に現れて!? すべて忘れてなかったことにしてほしいと頼むが、彼は交換条件として縁談を断るための恋人役を提案してくる。しぶしぶ受け入れた舞菜香だったが、本当の恋人同士のように甘く接され、猛アプローチを受け……!?

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

放蕩な血

イシュタル
恋愛
王の婚約者として、華やかな未来を約束されていたシンシア・エルノワール侯爵令嬢。 だが、婚約破棄、娼館への転落、そして愛妾としての復帰──彼女の人生は、王の陰謀と愛に翻弄され続けた。 冷徹と名高い若き王、クラウド・ヴァルレイン。 その胸に秘められていたのは、ただ1人の女性への執着と、誰にも明かせぬ深い孤独。 「君が僕を“愛してる”と一言くれれば、この世のすべてが手に入る」 過去の罪、失われた記憶、そして命を懸けた選択。 光る蝶が導く真実の先で、ふたりが選んだのは、傷を抱えたまま愛し合う未来だった。 ⚠️この物語はフィクションです。やや強引なシーンがあります。本作はAIの生成した文章を一部使用しています。

押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました

cheeery
恋愛
名家・御堂家の次女・澪は、一卵性双生の双子の姉・零と常に比較され、冷遇されて育った。社交界で華やかに振る舞う姉とは対照的に、澪は人前に出されることもなく、ひっそりと生きてきた。 そんなある日、姉の零のもとに日本有数の財閥・凰条一真との縁談が舞い込む。しかし凰条一真の悪いウワサを聞きつけた零は、「ブサイクとの結婚なんて嫌」と当日に逃亡。 双子の妹、澪に縁談を押し付ける。 両親はこんな機会を逃すわけにはいかないと、顔が同じ澪に姉の代わりになるよう言って送り出す。 「はじめまして」 そうして出会った凰条一真は、冷徹で金に汚いという噂とは異なり、端正な顔立ちで品位のある落ち着いた物腰の男性だった。 なんてカッコイイ人なの……。 戸惑いながらも、澪は姉の零として振る舞うが……澪は一真を好きになってしまって──。 「澪、キミを探していたんだ」 「キミ以外はいらない」

結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「結婚したらこっちのもんだ。 絶対に離婚届に判なんて押さないからな」 既婚マウントにキレて勢いで同期の紘希と結婚した純華。 まあ、悪い人ではないし、などと脳天気にかまえていたが。 紘希が我が社の御曹司だと知って、事態は一転! 純華の誰にも言えない事情で、紘希は絶対に結婚してはいけない相手だった。 離婚を申し出るが、紘希は取り合ってくれない。 それどころか紘希に溺愛され、惹かれていく。 このままでは紘希の弱点になる。 わかっているけれど……。 瑞木純華 みずきすみか 28 イベントデザイン部係長 姉御肌で面倒見がいいのが、長所であり弱点 おかげで、いつも多数の仕事を抱えがち 後輩女子からは慕われるが、男性とは縁がない 恋に関しては夢見がち × 矢崎紘希 やざきひろき 28 営業部課長 一般社員に擬態してるが、会長は母方の祖父で次期社長 サバサバした爽やかくん 実体は押しが強くて粘着質 秘密を抱えたまま、あなたを好きになっていいですか……?

処理中です...