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幼少期 盗賊団時代
ハンナ①
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「さて、今日からハンナが仕事に参加する。知っての通り、ハンナはもうすでに風属性の魔術が使える天才だ!」
「つまり期待の新星ってことだな!」
「そうだ。ハンナは魔術が使えると知った時から、剣ではなく魔術の訓練をさせてきた。そのおかげで今では風の刃で木を切断できるところまで来ている」
リーダーがそこまで言うと、そんなことまで出来ると知らなかった人たちがどよめいた。
ハンナは改めて自分の紹介をされてちょっと恥ずかしそうだ。わたしはよくハンナと話したりしてきたから知っている情報しか紹介されなかったが。
「本番でも同じようにして敵を攻撃してほしい。いいか?」
「ぇ……は、はい…」
ハンナは優しい子で、虫を殺すのも躊躇してしまう。そんな子が人を傷つけたり出来るのかと思うが、そこは訓練の成果が出てくるだろう。
「ラヴィ、君は年も近いし、同性だから面倒を見てくれ」
頷きで返す。
「今日は仕事場マルイチだ!もうハンナに仕事のことは教えてあるから、2時間以内に来てくれ」
ハンナにはわたしたちとは違って前もって説明がされていたらしい。
わたしは左右の腰に1本ずつ計2本の長剣と、同じく腰に4本、左右の内胸ポケットの位置に1本ずつ、くるぶしの上に左右1本ずつ計8本の短剣を装備している。リュックのなかには水筒と、果物と干し肉と包帯と軟膏が入っている。
それらが全てあることを確認して、わたしとハンナは仕事場に向けて出発した。
もちろん、ハンナも装備が剣ではなく杖なだけで同じような装備をしている。
「あ、あの、私どうすれば…?」
マルイチに隠れながら、ハンナがおずおずと聞いてくる。どうすればと聞かれても困るんだけどな…
「そうだなー、アルト知ってるでしょ?あそこにいるアルトが多分突っ込んでくから、それを援護する形で魔法を撃てばいいよ。タイミングとか、方向は隣で指示してあげるから」
「そ、そうですか…。あの、攻撃じゃない役目ってないんですか?」
ない…と言いかけたが、荷物運びがあるのを思い出した。だけど、荷物運び係が必要なほど奪ったりしないから出番はほとんどないだろう。それに、ハンナみたいな魔術師は戦士に比べて体力がないから、攻撃や戦士の援護に専念させて荷物は運ばせないのが常識だ。
変な希望を持たせないで、無いと言った方がいいか。
「攻撃しかないよ」
そういうと、ハンナは絶望した顔をした。
人を傷つけたくないと思っているのだろうが、私たちみたいな社会的弱者は人を傷つけるしか生き延びる方法が無いのをわかってもらわなくちゃ、ハンナは今後もずっと苦しんで生きることになるだろう。
「大丈夫。殺したりするわけじゃないんだよ」
まぁ傷ついた身体で歩いて傷が悪化して死んだり、魔物に襲われて死ねば、それは実質わたしたちが殺したことになるのだろうが、それを言ってはいけないだろう。
「それはわかっているんですけど…」
わたしがハンナをなだめたり、ハンナが「やっぱり嫌だ」と泣いたりしながら時がたち、見張り役が声をあげた。
「静かにしろ。獲物が来た。馬車2、護衛7、馬3。護衛は戦士が5、魔術師が1、弓持ちが1だ」
馬車に安いロバやデカイ鳥ではなくちゃんと馬を使っているのは珍しい。
馬車が2台なのに馬が3頭なのは、単純に片方の馬車が思いのだろうと推測する。
そう思っていると、カインさんが注意を促した。
「馬は速い。弓か魔術で足を壊しとけ。三頭ともでなくていい」
皆が頷き、武器を手に持つ。若干の緊張が走った。
「つまり期待の新星ってことだな!」
「そうだ。ハンナは魔術が使えると知った時から、剣ではなく魔術の訓練をさせてきた。そのおかげで今では風の刃で木を切断できるところまで来ている」
リーダーがそこまで言うと、そんなことまで出来ると知らなかった人たちがどよめいた。
ハンナは改めて自分の紹介をされてちょっと恥ずかしそうだ。わたしはよくハンナと話したりしてきたから知っている情報しか紹介されなかったが。
「本番でも同じようにして敵を攻撃してほしい。いいか?」
「ぇ……は、はい…」
ハンナは優しい子で、虫を殺すのも躊躇してしまう。そんな子が人を傷つけたり出来るのかと思うが、そこは訓練の成果が出てくるだろう。
「ラヴィ、君は年も近いし、同性だから面倒を見てくれ」
頷きで返す。
「今日は仕事場マルイチだ!もうハンナに仕事のことは教えてあるから、2時間以内に来てくれ」
ハンナにはわたしたちとは違って前もって説明がされていたらしい。
わたしは左右の腰に1本ずつ計2本の長剣と、同じく腰に4本、左右の内胸ポケットの位置に1本ずつ、くるぶしの上に左右1本ずつ計8本の短剣を装備している。リュックのなかには水筒と、果物と干し肉と包帯と軟膏が入っている。
それらが全てあることを確認して、わたしとハンナは仕事場に向けて出発した。
もちろん、ハンナも装備が剣ではなく杖なだけで同じような装備をしている。
「あ、あの、私どうすれば…?」
マルイチに隠れながら、ハンナがおずおずと聞いてくる。どうすればと聞かれても困るんだけどな…
「そうだなー、アルト知ってるでしょ?あそこにいるアルトが多分突っ込んでくから、それを援護する形で魔法を撃てばいいよ。タイミングとか、方向は隣で指示してあげるから」
「そ、そうですか…。あの、攻撃じゃない役目ってないんですか?」
ない…と言いかけたが、荷物運びがあるのを思い出した。だけど、荷物運び係が必要なほど奪ったりしないから出番はほとんどないだろう。それに、ハンナみたいな魔術師は戦士に比べて体力がないから、攻撃や戦士の援護に専念させて荷物は運ばせないのが常識だ。
変な希望を持たせないで、無いと言った方がいいか。
「攻撃しかないよ」
そういうと、ハンナは絶望した顔をした。
人を傷つけたくないと思っているのだろうが、私たちみたいな社会的弱者は人を傷つけるしか生き延びる方法が無いのをわかってもらわなくちゃ、ハンナは今後もずっと苦しんで生きることになるだろう。
「大丈夫。殺したりするわけじゃないんだよ」
まぁ傷ついた身体で歩いて傷が悪化して死んだり、魔物に襲われて死ねば、それは実質わたしたちが殺したことになるのだろうが、それを言ってはいけないだろう。
「それはわかっているんですけど…」
わたしがハンナをなだめたり、ハンナが「やっぱり嫌だ」と泣いたりしながら時がたち、見張り役が声をあげた。
「静かにしろ。獲物が来た。馬車2、護衛7、馬3。護衛は戦士が5、魔術師が1、弓持ちが1だ」
馬車に安いロバやデカイ鳥ではなくちゃんと馬を使っているのは珍しい。
馬車が2台なのに馬が3頭なのは、単純に片方の馬車が思いのだろうと推測する。
そう思っていると、カインさんが注意を促した。
「馬は速い。弓か魔術で足を壊しとけ。三頭ともでなくていい」
皆が頷き、武器を手に持つ。若干の緊張が走った。
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