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幼少期 盗賊団時代
その理由とは
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「どうして!どうして殺したの!」
激情のままにこいつの胸ぐらを掴む。身長が低いわたしでは持ち上げることはできないが下に引っ張って顔を寄せた。
「これ以上ハンナを飼っておく理由がないからだよ」
あまりにもまっすぐな視線にこちらが間違っているような気分になり、掴んでいた胸ぐらを離した。
「冷静でない君には、理解できないかもしれない。だが、それでもいいから聞いてくれ。理由についてだ」
こいつは、長々とその理由について語った。要約するとこうだ。
ハンナが初めて魔術を使って見せた七歳の時。その時から三年間、畑仕事も雑用もさせずに魔術の練習ばかりさせてきた。趣味だった料理だけは少し手伝わせたりもしたが、ほとんどなにもしていないと言っていい。
そして初めての仕事の際にアルトを怪我させ、一週間行動不能にした。
魔術の練習として、わたしを一週間拘束した。
そして、投資したそれらの時間、人材、食料や金銭を全て無駄にした。
ただの穀潰しならまだよかった。だが、これでは金食い虫だ。
「でも、最初はわたしにすら撃てなかった風の玉も練習のおかげで撃てるようになった!もう少し練習すれば、風の刃だってきっと!そうしたら、今まで投資してきた分も全部取り返せた!」
「その練習はいつまでかかるんだい?」
「それは…わからないけど…」
「それだよ。わからないのがダメなんだ。その期間ずっと何かを失い続けなければいけない。それが時間なのか、食料なのか、お金なのか、それとも団員の命なのかはわからないけどね。僕は団のリーダーとして、より多くの団員を生かす責任がある。
もし生かしていたら、これからハンナは何人殺していたと思う?現に、既に一人殺しかけただろう」
筋道たてて語るリーダーの言葉には説得力があった。
「………………」
「もうわかったろう?夜も遅い。君はアジトに帰るんだ。僕はハンナを埋めてから戻る。
それと、このことは誰にも言わないほうが賢明だよ」
翌日、団員にはハンナが失踪したと伝えられた。リーダーの殺人はわたし以外誰も知らずに終わった。
何人かでハンナの捜索班を作り、見つかるはずもないのに半日もかけて探し回るという無駄な行為をしていた。どういうことだと問いただすと、
「必要経費ってやつさ。盗賊団を円滑に運営するためのね」
と言っていた。
きっと昨晩ハンナに渡していたフルーツも必要経費で、そして最後の晩餐をさせてやるという優しさであったのかもしれない。
あの時のリーダーはかなり手慣れていた。いったい今まで何人の団員を葬ってきたのだろうか。
激情のままにこいつの胸ぐらを掴む。身長が低いわたしでは持ち上げることはできないが下に引っ張って顔を寄せた。
「これ以上ハンナを飼っておく理由がないからだよ」
あまりにもまっすぐな視線にこちらが間違っているような気分になり、掴んでいた胸ぐらを離した。
「冷静でない君には、理解できないかもしれない。だが、それでもいいから聞いてくれ。理由についてだ」
こいつは、長々とその理由について語った。要約するとこうだ。
ハンナが初めて魔術を使って見せた七歳の時。その時から三年間、畑仕事も雑用もさせずに魔術の練習ばかりさせてきた。趣味だった料理だけは少し手伝わせたりもしたが、ほとんどなにもしていないと言っていい。
そして初めての仕事の際にアルトを怪我させ、一週間行動不能にした。
魔術の練習として、わたしを一週間拘束した。
そして、投資したそれらの時間、人材、食料や金銭を全て無駄にした。
ただの穀潰しならまだよかった。だが、これでは金食い虫だ。
「でも、最初はわたしにすら撃てなかった風の玉も練習のおかげで撃てるようになった!もう少し練習すれば、風の刃だってきっと!そうしたら、今まで投資してきた分も全部取り返せた!」
「その練習はいつまでかかるんだい?」
「それは…わからないけど…」
「それだよ。わからないのがダメなんだ。その期間ずっと何かを失い続けなければいけない。それが時間なのか、食料なのか、お金なのか、それとも団員の命なのかはわからないけどね。僕は団のリーダーとして、より多くの団員を生かす責任がある。
もし生かしていたら、これからハンナは何人殺していたと思う?現に、既に一人殺しかけただろう」
筋道たてて語るリーダーの言葉には説得力があった。
「………………」
「もうわかったろう?夜も遅い。君はアジトに帰るんだ。僕はハンナを埋めてから戻る。
それと、このことは誰にも言わないほうが賢明だよ」
翌日、団員にはハンナが失踪したと伝えられた。リーダーの殺人はわたし以外誰も知らずに終わった。
何人かでハンナの捜索班を作り、見つかるはずもないのに半日もかけて探し回るという無駄な行為をしていた。どういうことだと問いただすと、
「必要経費ってやつさ。盗賊団を円滑に運営するためのね」
と言っていた。
きっと昨晩ハンナに渡していたフルーツも必要経費で、そして最後の晩餐をさせてやるという優しさであったのかもしれない。
あの時のリーダーはかなり手慣れていた。いったい今まで何人の団員を葬ってきたのだろうか。
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