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幼少期 盗賊団時代
殺害
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草木も眠る真夜中。その日、たまたま寝付きが悪かったわたしは物音で目が覚めた。
襲撃か!とも思ったが、寝ぼけた体を起こしてみると廃倉庫から出ていく2つの人影が見えた。どうやら襲撃ではなさそうだ。
だが、こんな時間に出ていくなんて怪しすぎる。と思い、こっそり後をつけていくことにする。誰かを起こして2人で行動したかったが、あいにくそんな時間は無さそうだった。
装備は短剣を2本しか持っていないが、何かあれば逃げるつもりなのでこれで十分だ。
10分ほど尾行すると、裏路地から抜けて大通りに出た。昼間は乱雑に立ち並んでいた露店は全て片付けられており、閑散とした雰囲気で不気味だ。
そして、広い場所に出たことで月明かりで二人の顔が見えた。
「リーダーと……ハンナ?どうして」
例えば、この二人がリーダーと副リーダーだったら、何かの作戦会議か?とか思ったりした。
最近盗賊団への不満を言っていた先輩たちなら、衛兵への密告か?とも思ったりした。(その場合はすぐに人を呼んでいたが)
だが、リーダーとハンナの組み合わせは目的が分からない。
ハンナをリーダーが叱るというなら、既に昼間に終えているはずだ。リーダーはそんなネチネチといつまでも同じことで怒るような人物ではない。
と怪しみながら見ていると、隅に置かれた木箱に腰かけた。そしてリーダーは鞄から握りこぶし大の丸い何かを取り出した。
「昼間に約束した品だよ」
丸い何かをハンナに渡すと、ハンナはそれに囓りついた。どうやらそれは食べ物だったらしい。恐らくフルーツだろう。
だけど、なんで?フルーツは最低でも銅貨数枚はする。あれだけ大きければ半銀貨までいってもおかしくない。なぜそんな高価なものを、意味もなく渡すんだ?
少なくともわたしは、意味もなくものを貰ったことはない。
人気の無い裏路地から2人を監視すること数分。ハンナが種だけになったフルーツを捨てると、2人は再びどこかへ歩き出した。どうやらまだ帰るつもりは無いらしい。
無言で歩く2人を追いかけていると、不意にリーダーが声をかけた。
「もう辛い思いはこれで最後だ」
そういうと、いつの間にか抜いていたナイフで喉をかっ斬った。
「ふぇ?」
シャーッと吹き出た血が路地の地面に色をつける。ドサリ、と膝から崩れ落ちたハンナは喉を押さえながら地面に倒れた。
少しの間、目の前で何が起こっているのかわからなかった。鼻や口ではなく開かれた喉から空気が出入りする音が次第に弱まっていくのを聞いて、ようやく理解が追い付く。
「ハンナ!」
何も言わずにハンナを見下ろしていたリーダーを突き飛ばし、ハンナに駆け寄った。
「ハンナ、嘘、嘘でしょ!お願い、気を強く持って!傷口を押さえて!」
ハンナが口を開閉して何か言おうとしたが、空気が喉を通る音しかしなかった。
「見られていたのか…。ラヴィ、無駄だよ。首の動脈を断ち切ってある。聖人でもなければ救うことは不可能だ」
おとぎ話の聖人、聖女の回復の魔法はどんな傷も一瞬で治してしまうと言われている。今この瞬間にわたしが魔法に目覚めなければ救うことはできない。
魔法が使えるように祈り続けたが、その甲斐もむなしくハンナの目は次第に焦点が合わなくなり、震える手が力を失っていった。
襲撃か!とも思ったが、寝ぼけた体を起こしてみると廃倉庫から出ていく2つの人影が見えた。どうやら襲撃ではなさそうだ。
だが、こんな時間に出ていくなんて怪しすぎる。と思い、こっそり後をつけていくことにする。誰かを起こして2人で行動したかったが、あいにくそんな時間は無さそうだった。
装備は短剣を2本しか持っていないが、何かあれば逃げるつもりなのでこれで十分だ。
10分ほど尾行すると、裏路地から抜けて大通りに出た。昼間は乱雑に立ち並んでいた露店は全て片付けられており、閑散とした雰囲気で不気味だ。
そして、広い場所に出たことで月明かりで二人の顔が見えた。
「リーダーと……ハンナ?どうして」
例えば、この二人がリーダーと副リーダーだったら、何かの作戦会議か?とか思ったりした。
最近盗賊団への不満を言っていた先輩たちなら、衛兵への密告か?とも思ったりした。(その場合はすぐに人を呼んでいたが)
だが、リーダーとハンナの組み合わせは目的が分からない。
ハンナをリーダーが叱るというなら、既に昼間に終えているはずだ。リーダーはそんなネチネチといつまでも同じことで怒るような人物ではない。
と怪しみながら見ていると、隅に置かれた木箱に腰かけた。そしてリーダーは鞄から握りこぶし大の丸い何かを取り出した。
「昼間に約束した品だよ」
丸い何かをハンナに渡すと、ハンナはそれに囓りついた。どうやらそれは食べ物だったらしい。恐らくフルーツだろう。
だけど、なんで?フルーツは最低でも銅貨数枚はする。あれだけ大きければ半銀貨までいってもおかしくない。なぜそんな高価なものを、意味もなく渡すんだ?
少なくともわたしは、意味もなくものを貰ったことはない。
人気の無い裏路地から2人を監視すること数分。ハンナが種だけになったフルーツを捨てると、2人は再びどこかへ歩き出した。どうやらまだ帰るつもりは無いらしい。
無言で歩く2人を追いかけていると、不意にリーダーが声をかけた。
「もう辛い思いはこれで最後だ」
そういうと、いつの間にか抜いていたナイフで喉をかっ斬った。
「ふぇ?」
シャーッと吹き出た血が路地の地面に色をつける。ドサリ、と膝から崩れ落ちたハンナは喉を押さえながら地面に倒れた。
少しの間、目の前で何が起こっているのかわからなかった。鼻や口ではなく開かれた喉から空気が出入りする音が次第に弱まっていくのを聞いて、ようやく理解が追い付く。
「ハンナ!」
何も言わずにハンナを見下ろしていたリーダーを突き飛ばし、ハンナに駆け寄った。
「ハンナ、嘘、嘘でしょ!お願い、気を強く持って!傷口を押さえて!」
ハンナが口を開閉して何か言おうとしたが、空気が喉を通る音しかしなかった。
「見られていたのか…。ラヴィ、無駄だよ。首の動脈を断ち切ってある。聖人でもなければ救うことは不可能だ」
おとぎ話の聖人、聖女の回復の魔法はどんな傷も一瞬で治してしまうと言われている。今この瞬間にわたしが魔法に目覚めなければ救うことはできない。
魔法が使えるように祈り続けたが、その甲斐もむなしくハンナの目は次第に焦点が合わなくなり、震える手が力を失っていった。
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