窓際通訳官と異世界召喚されてしまった魔王様

カイナルミ

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14 配下を増やす魔王

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 週末の夜会までの毎日魔術団総長が若返ったという事件で城中が大騒ぎになった。
ライナスは魔法薬の業務が終わって直接帰っているので、若返った総長を昨日の時点で見ていなかった。
出仕して来た時総長が総長だと言ってもしばらく冗談だと思って逆に反応が薄かった。
中庭から総長の部屋まで転移した時も反応が薄かったのでそう言った変化には驚かない精神の持ち主らしい。
今日は薬草栽培を行うらしく動きやすそうな服装で出て行った。

ミュナの予想通り総長とミュナに話を聞きたいとひっきりなしに人が訪ねてくる様になり、『旧原始の魔術書』の翻訳が出来なくなってしまった。
その事で総長が今まで見た事ないブチギレ様で、全ての訪問者を一掃する人騒動もあった。
国王も総長が若返った事に興味津々で呼び出したが総長は応じない。
後半年も無い自身が去る短い期間の上に高位の魔術師を出している御家柄なので、呼び出しに応じないくらいで家を罰する事を国王ができない事を総長は良く理解していた。


「これでやっと念願の『旧原始の魔術書』の翻訳の時間が出来たぞ!他の国の仲間オタク達がゆな嬢が翻訳出来る可能性があると知らせたら、周りを黙らせて早く進めろとせっついって来ておったからの」
『それがどの様な内容か我も気になる。ミュナ、早く翻訳して聞かせよ』
「はいはい・・・」


 渋々ソファーに腰掛け紙とペンを用意するミュナと、いそいそと魔法で準備をする若返ったバレンス総長は『旧原始の魔術書』の翻訳を始めた。
そしてレンはこの間気を失った護衛魔術師のシュローで遊んでいる。シュローが「ひぃっっ止めてくださいっっ!!!」「ゆるしてくださいっっっっ!!!」「誰かたすけてぇぇぇぇっっ!!!」と時々聞こえて来るのが心配になる。一体何をしているのか・・・。



♢♢♢♢♢♢♢





 2人が翻訳を行なっている間何をしようかと考えるレンの目の端に、護衛魔術師のシュローが部屋の隅にいるのが目に入った。レンは玩具を見つけ片方の口角を上げ笑った。魔法で自分の元に呼び寄せ捕まえた。


『(コイツはこの前ミュナに抱きつかれただけで、慌てふためいた上気絶したのだったな。時間もあるから荒治療してやろう)』


「ーーえっなんでっ!?ーーーこれが総長が言っていた時空魔法!?」


 レンが魔法で拘束しなかったら一目散に脱走してしまいそうな程びくびくと小動物の様に怯えている。レンは拘束したまま魔法を流した。


「・・・・え。ひぎゃぁぁぁぁっっっっっっ!!!」

『(ミュナの服を透視状態にして反応見てから次の段階に移るとしよう)』
「ひぃっっ止めてくださいっっ!!!ゆるしてくださいっっっっ!!!」


 真っ赤になったシュローは拘束されて身体が動かせない為に、顔を背けたり目を閉じたりしてミュナを見ないように頑張っている。


「誰かたすけてぇぇぇぇっっ!!!」

『(・・・反応するところはしっかり反応しているのだな。女嫌いでは無いのならもう少し試しても良いな)』


 シュローのローブに隠れたズボンの一部が膨らんでいるのを、1人掛けソファーに座ったままのレンは横目で確認し再び魔力を拘束したまま流す。
 先程までシュローがいたそこには可愛らしい中型犬だけがいた。レンはシュローを犬に変えたのだ。


「くぅーん・・・」
「あれ?めちゃくちゃ可愛いワンちゃんいるし!!」


犬の声に気が付いたミュナは翻訳の手を止め、犬を呼び寄せ抱き抱える。


「くぅ~ん(あわわわわ・・・)」


 シュローの視界にはミュナの胸の形・色・艶までもしっかりと見えており、犬にされた事でミュナの香りで先程反応していた一部が痛いほど張り詰めてしまう。


「翻訳が終わったら遊ぼうね?」


 ミュナは犬をわしゃわしゃと撫で回した後、一旦犬を床に下ろして翻訳を再開する。

 シュローは犬に変えられた事で野生の本能が理性よりも前に出てしまい、ミュナの脚に跨り腰をカクカク振り始めミュナの生足に昂った赤いおちんちんを擦り付け始めた。流石にミュナもそれに気が付き顔を赤らめた。


「こっこらっ!ワンちゃんダメでしょ?」


 ミュナがなんとか必死にしがみつき腰を振る犬を抱き上げ引き剥がす。すると犬はミュナの肩の部分の服を掴みよじ登りミュナの顔にしがみついた。犬の重みでソファーに倒れ込んだミュナの顔にまだ萎えることのない赤いおちんちんを擦り付ける。カクカクと腰を振りそれが丁度ミュナの唇に当たり口を開く事ができない。
助けて欲しいとテーブルの反対側にいるバレンス総長に目を向けると、夢中で翻訳を続けている。
この人に助けて貰うのは無理だとミュナは悟った。そしてレンはミュナの座るソファーの反対側で何をしているのかさえ見えない。


 ーーカクカクカクカク・・・ぴゅるるっっ!


 ミュナの顔に白っぽい液体が掛かり、犬の腰振りが止まった。犬は何かに気が付いたように下にいるミュナの顔を見た後、床に転げ落ち一目散に逃げて行った。

ソファーの後ろでは犬の姿では部屋を出ることも出来ず、レンのソファーの後ろで丸まって犬が泣いていた。

『(女が苦手なフリしてむっつりというやつか?まさか発情に耐えられずミュナの顔面で射精するとは・・・。まぁこれで少しはオドオドしたのも治るだろう)』


こんな事をして治ると思っているのはレン位なもので、ミュナは自分にかかった液体を指で掬い取ってなんとも言えない顔で固まり、シュローは護衛対象の女性に顔射した事に罪悪感と羞恥心で今にも死にそうであった。
ちなみにシュローはこの事を毎夜思い出し罪悪感と羞恥心は半年にかけて興奮へと昇華させ、新たな性癖を開花させてしまうきっかけになる。
ある意味女性に緊張する事を克服出来たのはレンのお陰とも言えない事はない・・・。
しばらくしてシュローの部屋にはミュナに良く似た顔の卑猥な匂いのする人形ラブドールがあると言う噂がまことしやかに囁かれた。





 夕方には半分の翻訳が終わって、総長と片付けをしてからレンと共に帰った。
城門までもう1人の護衛騎士であるクリス・ノーヴァンが護衛してくれた。
彼はもう1人の護衛騎士エルンスト・ヒューヴァーと同期の息のあった剣技を繰り出す将来性のある青年騎士である。
彼はヒューヴァーと違い女性慣れしているのか、レンがヒューヴァーに掛けた魔法を掛けられた時も平然としていた。

 ミュナの中ではノーヴァンは同性が好きなんじゃ無いのか?疑惑を抱いているが実際はミュナの身体をここぞとばかりにガッツリ見ていただけであった。
見かけは爽やか優男で紳士の振る舞いだがゆっくり自分から逃げられなくする食虫植物系男子である。
爽やかとは程遠いヤンデレという括りの人種なのだ。


「護衛魔術師シュローは何かあったのですか?護衛を放棄して走って去って行きましたが」

 翻訳が終わった後レンがシュローの犬化を解くのを忘れていた事に気付き、やっと犬化を解いた。
シュローはミュナが片付け終わった時には既に部屋から居なくなっていた。犬化が解けたシュローは脱兎の如く部屋から逃げだした。

「レンなんでシュローくん帰っちゃったの?」
『ん?彼奴はもっと女に慣れないとすぐ悪魔につけ入れられると思ってな、今日も訓練してやったのだ。きっともう時期ミュナの裸で動じない位の精神を得るだろうな』
「なんかまたレンが余計な事してシュローくんの女性嫌い悪化させたみたいです」

「へぇ・・・女性嫌いですか?それはレン様が仰っているのですか?」
「??え?そう言えばレンは言ってませんね・・・え?違うんですか?」
「そういう事にしておきましょう。では城門まで送りますね」


 目は弧を描き、ノーヴァンはニコリとミュナに笑顔を向けた。


『此奴も中々清々しく腹黒い奴であるな。先が楽しみだ』
「え?清々しく腹黒いって意味正反対じゃない??どういう事!?」
『ミュナは気にするな』
「ゆな様、もしや今の「清々しく腹黒い」とはわたくしの事でしょうか?」
「すっすみません!!レンが変な事言ってっ」
「ふふっ!レン様は人を見る目が確かな様ですね。そんな方がゆな様と一緒に居ると思うと安心できますね」

ノーヴァンは革の手袋をした片手を口元に当て優雅に笑う。見た目は絵本の王子様に見えてしまう程爽やかである。

「良かったね・・・レン。ノーヴァンさんはレンの人の見る目が確かだって」

 本当かよと思うミュナは冷めた目でレンを見る。レンは満足そうにノーヴァンを見て何もない場所からワインを出した。ノーヴァンは一瞬目を丸くしたが、すぐに爽やか笑顔に戻った。


『ミュナ、此奴に我の配下になる気はあるか聞いてみろ』
「え、えぇ~また!?・・・ノーヴァンさん、レンの配下になる気ありますか?」

 少し考える様子ではあったが再び笑顔で「是非とも」と返事をした。その後ワインを呑むとノーヴァンは少し若返った。総長の時よりは若返った歳が違うのは明らかである。


『これでお前も我の声が聞こえよう』
「はっ!!レン様のお声しっかりと拝聴出来ております!!」
『人間の力には戻れんからな。しっかりその力慣らしておけ』
「ーーっ!?承知いたしました。頂いた力で必ずやお役に立って見せましょう」
『期待しておるぞ』


 そしてあまり見かけが変わらなかった事もあり大して騒がれる事なく、城門まで護衛をしてもらい別れた。帰宅後気になっていた事をミュナはレンに聞く事にした。








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