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12.標的変更
義両親が項垂れていると、
「あのぉ…そろそろ良いですか?ここ、私の家なんで解決したら皆さん帰って貰いたいんですけど~」
頬を冷やしながらメリッサさんが気の抜けた声で言う。
カルロが無職の暴力男と知って興味が無くなった事が明らかだ。
完全に自分がこの騒動の当事者だという事を失念しているようだ。
「そうね、そろそろお暇するわ。でも、貴女も私に謝る事は無いのかしら?」
メリッサさんもある意味被害者であるし、こんな男と別れる事ができるきっかけを作ってくれた恩人かもしれない。
しかし、妻がいる事を知りながらもカルロと関係を持った事は許される事では無いし、反省の意が見えない。
「え?謝る!?私なんてもっと最悪よ!?この人に騙されて、仕事も辞めて、殴られて、ドアまで壊されて!!厄介事に巻き込まれたのはこっちよ!謝って欲しいのは私だわ!ドアの修理費も貰うからね!!」
まさかの逆ギレを頂きました…。
仕方無い…。
「メリッサさんが着けている指輪…素敵ね」
「え?あっえっと…」
何かを察したのか、指をサッと後ろに隠して突然しどろもどろになる。
「他の部屋も見せてもらったけれど、素敵な宝石を持ってるのね」
勿論、他の部屋なんて見ていない。ただのカマ掛けだ。
「なっ!!なんですって!?勝手に人の部屋を漁るなんて最低!!」
「あら。自己紹介ありがとう。そっくりその言葉を返すわ。その指輪の裏側を見てみてくださる?私の母から貰った物でto fleurと掘ってあるはずなのだけれど…」
そう言うと、メリッサさんはみるみる青ざめていく。
「いやよ!これは私のよ!絶対に触らせないわ!」
そう言って手を隠してうずくまった。
しかし、エーリク様がいとも簡単にうずくまるメリッサさんの左手から無理やり指輪を奪い取る。
「ちょ、ちょっとやめてよっ!」
暴れるメリッサさんを無視してエーリクさんが指輪の裏側を確認する。
「あぁ、確かにそう書いてある」
「寝室に置いてあった物だけれど、少し前から無くなっていたの。…メリッサさん、貴女が盗ったのね。他にも宝石がいくつか無くなっていたわ。これは立派な犯罪よ。すぐに全てを返して貰うわ」
「すっ全ては無理よ…!半分くらい売っちゃった…!だって…私がカルロ様と結婚するって思ってたから…貴女の物は私の物になると思ってっ!」
「あら、勝手に売るなんて…。それじゃあ盗人として自警団に突き出させて貰うわ」
「捕えるのは得意だ」
そう言ってエーリク様がメリッサさんを捕える。
「きゃっ!やめて!というよりアンタ誰よ!」
「皇室の護衛騎士だ」
エーリク様はそう一言答えた。
「えっっ!?皇室のっ!?凄いわ!護衛騎士なんて超人気職業じゃないっ!!……ふーん…。よく見てみたら貴方素敵ね…」
メリッサさんは急に目の色が変わり、なんとこの期に及んでエーリク様に色目を使いだす。
「私ぃ…今凄く傷付いているの…騎士様に慰めて欲しいなぁ…?」
そう言って乱れた胸元をさらにチラリとエーリク様に見せつける。
メリッサさんは若くて、綺麗で、出る所が出ている。
きっとカルロもこうやって落とされたのだろう…。
さすがにエーリク様はこんな誘いに乗らないだろう…。
そう思いながらも、メリッサさんの美貌に不安を拭いきれない…。
エーリク様は微動だにせず、表情一つ変えずメリッサさんの目をジッと見た。
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