これは乙女ゲームではありません!

keima

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三重県のとある高校。
放課後の校舎の中を俺様は早足で駆けていた。 

-今日こそ、アイツに俺様の思いの丈をぶつけてやる。

突然だが、俺様には好きな女がいる。

飛鳥田あすかた一砂かずな

俺様のクラスメイトで


彼女とは高校に入学してすぐ、同じクラスなったことから親しくなり、明るくてしょっちゅう俺様をからかう彼女にいつの間にか惹かれてしまった。
今日、俺様は彼女に告白すると決めていたのだが、放課後彼女はいつの間にか教室から姿を消してしまい、学校の中をくまなく探したのだが彼女の姿は見つからなかった。


「はあっ……帰ろうかな。」

飛鳥田さんを見つけることができず、もう帰ったんだろうと、諦めかけたそのときだった。


「あっ……」


音楽室すぐそば、階段の踊り場にある鏡に見覚えのある横顔が写った。
飛鳥田さんかのじょだー

俺様は急いで彼女のもとに駆け寄った。

「見つけたぞ飛鳥田あすかた一砂かずな!今日こそ俺様と…「 違います。」ハヘッ!?」

はあっ…と呆れたようなため息をついたあと彼女は言った。

「私は妹の菜月なつきです。一砂かずな姉さんじゃありません。」

そうはっきりと言われて彼女を凝視して見ると、確かによく似ているが、明るい茶色い髪を高い位置でまとめており、つり目がちな一砂と違い目の前の彼女は少々たれ目だ。極めつきは左腕に風紀委員の腕章をつけている。確かに彼女は風紀委員会に所属している一砂のの妹・菜月だ。
 
「すっ、すまない。委員長。」

もう委員長じゃないんだけどね、と言う彼女は去年、同じクラスだったためクラス委員長をつとめていたこともあり、今でも委員長と呼んでしまう。


「一砂姉さんなら、多分まだ学校にいるんじゃないかな。」

「そっ、そうか。ありがとう。」

委員長に礼をして、俺様は再び一砂を探し始めた。 


「今度こそ見つけたぞ飛鳥田かず…「陽菜よなです…調子が悪いので静かにしてもらえますか。」

保健室に入っていく彼女の姿を見つけ
勢いよく保健室に入っていくと、今度は超ひ弱で有名な陽菜よなだった。確かに、顔色が真っ青で、本当に調子が悪いようだ。さらに機嫌が悪いのか、アホ毛が猫のしっぽのようにユロンユロンと揺れている。

ーアカン、これ怒ってる。 

「ごっ、ごめんなさい…お大事に。」

そう言って、開けたばかりにもかかわらず、すぐに保健室のドアを閉めた。


「今度こそ、飛鳥田か……飛鳥田希砂きさ!何だそのオレンジ頭は?校則違反だぞ!!」


「……今、髪の色見なかったら確実にお姉ちゃんと間違えましたよね?」

「ウッ……」

体育館に行くと、赤いジャージ姿の彼女を見つけたと思い近づいていったら、すぐに一砂のである希砂きさだと気づいて、思わずいつもの調子で注意した。
希砂はその派手な髪色から、しょっちゅう生活指導の教師から注意をうけているが、本人はまったく気にするそぶりはない。ちなみに風紀委員の菜月委員長も注意しているがあまり効果はない。 


「おーい、希砂~部長がアンタを探してるよ。」

「あっ、アヤちゃん。」

ひょこっと一砂と希砂にそっくりな顔が現れた。一砂のすぐ下の妹文芽あやめだ。
女子バレー部に所属しているため、一砂あねよりも身長があり、スレンダーな体型で髪もベリーショートにしているため、一部の女子生徒から人気がある。

「あ~、一砂と菜月のクラスメイトで生徒会長の黒木千治ちはる。何か用?」

「俺様の簡単な自己紹介ありがとう。」

「一砂姉さんを探しに来たんだよね。」

「うぉわっ!?」

背後から声をかけられて、ドキッとして振り返ると、デカいシニョンに眼鏡をかけた小柄な少女がいた。その容姿は文芽と希砂によく似ている。

「あっ、実月みつき。」

「みぃちゃん、珍しいね。体育館コッチに来るなんて。」

「いやぁ~、黒木が何か面白いことしてるから来ちゃった。」

「来ちゃったって、アンタ・・・」

文芽が呆れているこの少女は一砂の実月みつき
パソコン部の部長をつとめていて、自作ゲームを作るほどのゲーマーで、将来はゲームクリエイターになると豪語するほどゲームが大好きなため、同じくゲームが好きな生徒会ウチの副会長と仲が良い。 

「君達って本当にそっくりだよね。」

「そっくりって…当たり前でしょ。アタシ達6つ子なんだから。」

そう、飛鳥田さん達姉妹は一卵性の6つ子だ。 
6つ子というだけで珍しがられるが、彼女達はそれぞれ個性がありすぎるため、学校の有名人である。

「そうだ黒木、一砂だったら今日、補講だって聞いているからまだ教室にいると思うよ。」

「マジ!?文芽さん教えてくれてありがとう。行ってくるわ。」

そう言うと、俺は教室に向かって駆け出した。





「今度こそ見つけたぞ……飛鳥田か…「菜月です。」……ごめんなさい。」

教室にいたのは、一砂ではなく、委員長菜月だった。
期待が外れ、ガッカリする。 


「……黒木くんさぁ、無理してない?」

「はい?」

「だからその俺様口調。無理してやってない?」

「無理してって……」

「はっきりと言って、黒木くんに俺様キャラは似合ってないよ。むしろ変だよ。」

「へっ、変!?だって飛鳥田さんって俺様系が好きじゃないの?」

「はあっ!?それ誰情報よ?あ…一砂姉さん別に俺様キャラ好きじゃないわよ。むしろ嫌いだよ。メッチヤドン引きしとったし。」


「きっ、嫌い!?嫌いなの?ウチの副会長が俺様系はモテるし、飛鳥田さんも好きなタイプだよって……」

そう、俺が生徒会長になってしばらくしてから、飛鳥田さんと仲の良い副会長から、飛鳥田さんの好きなタイプを聞いたところ俺様系な男性がタイプだよと教えてもらい、俺様系男子の研究をして色々喋り方を変えたり、髪型やら服装など試して見たけれど、よく思い返して見ると俺がこのキャラをやるようになってからの飛鳥田さんは怪訝そうな顔をしたり、話しかけても避けているので「アレ?」と思うことはあったが、まさか引かれているとは知らなかった。

「…副会長っての友達だよね?多分、副会長、じゃなくて実月の事だと勘違いしたんちゃうやろか?」

「あっ…!!」

そうだ、俺は飛鳥田さんと言ったが、長姉一砂さんとは言わなかった。多分、副会長は飛鳥田さん=三女実月さんと思いこんでアドバイスしてくれたんだ。 
--ということは、俺はにすでに彼女に嫌われていたのか。

「そっ、そんなぁ……」

この数ヶ月、飛鳥田さんが好きなタイプの男性を目指して俺様キャラを作ってきたけれど、それが勘違いでしかも飛鳥田さんに嫌われていたなんて……アホや俺。
委員長が何か話しかけているけれど、それも耳に入ってこなかった。だから気づかなかった。俺と話していた委員長が委員長ではなく、彼女のフリをした飛鳥田さんだということに。







「ただいま……って、何この状況!?」


菜月が自宅に帰ると、そこにはボブカットの髪を振り乱して三姉・実月にチョークスリーパーをかける6つ子の長姉で黒木の思い人である飛鳥田一砂かずながいた。


「実月のどアホウ~!!何やねん俺様系って、アンタそんなん好きちゃうやろが。何でそんなウソを副会長トモダチにおしえんねん!!」

「イターッ!!ギブギブ、一砂ねぇストップ~!!」

ギューッとあらん限りの力技に実月は降参だと、一砂の腕を叩く。

「……一砂、それぐらいにしときぃ。」

ポンッと、文芽は一砂の肩を軽く叩いた。

「………希砂、なにがあったん?」

「実はね……」

かくかくしかじか……と、希砂は菜月に今までの経緯を話した。



「黒木くんのあの謎の俺様キャラは一砂姉さんに対する新手の仕返しかと思っていたけど…アホやろ。」

「お姉ちゃん、にドン引きして思いっきり避けよったもんね…ウチもあの俺様キャラには引いたわ。似合わへんもん。」

「ほんまやわ。でも、何でみぃちゃんも俺様系の男性が好きってうたん?」

頬に手を当てて、おっとりとした口調で陽菜は実月にたずねた。

「いやぁ~、この前やった乙女ゲームの攻略キャラに俺様系生徒会長がおって、そのキャラの声がメッチヤかっこよくて、好きな男性のタイプわれたとき、そのときパッて思い浮かんだんが、その俺様系キャラやったんよ。」

「それで、みぃちゃんの好きな男性キャラのタイプを一砂ねぇさんの好きな男性のタイプと思いこんだわけねぇ。」

はぁっと、菜月が呆れてため息をついていると、実月に技をかけるのを止め、大声で叫んだ。



「黒木くんのアホ~!!そんなアホなことせんでも、あたしは黒木くんのお人好しでヘタレなとこが好きなのに、アホアホアホ~!!そして一番のアホはあたしや~!!」


うわーんと、膝をついて泣きはじめた一砂に妹達は思った。

「「「「「どっちもどっち!てか、さっさとくっつけこのアホカップル!!」」」」」



「……やっぱり、現実は乙女ゲームみたいにうまくいかないよなぁ。」

「みぃちゃん、何か言った?」

「……こっちの話。」






おわり

ーーーーーー-----------


 登場人物

飛鳥田一砂かずな
高校2年生
6つ子の長女 茶髪のボブカット
明るくお調子者 黒木に好意を持っており、黒木をからかっていたが、俺様キャラにドン引きし、避けるようになる
文芽からは呼び捨て末妹の希砂からは「お姉ちゃん」妹達からは「一砂姉さん」と呼ばれる。

飛鳥田文芽あやめ
高校2年生
6つ子の次女 髪型はベリーショート
身長172cmと姉妹の中では長身 
女子バレー部に所属しており、女子生徒にモテる
妹達からは「アヤちゃん」と呼ばれる。 


飛鳥田実月みつき
高校2年生 パソコン部部長
6つ子の三女 
身長146cmの小柄な体とデカいシニヨンに眼鏡が特徴
ゲームオタクで、生徒会副会長とはゲーム友達 
姉2人からは「実月」妹達からは「みぃちゃん」と呼ばれる。

飛鳥田陽菜よな
高校2年生 
6つ子の四女 アホ毛が特徴で、怒ると猫の尻尾のように揺れる。
おっとりとした性格だが超虚弱体質。体力が絶望的にないためよく廊下で力尽きるため他の生徒達から「ひよわゾンビ」と呼ばれている。 
姉達からは「陽菜」妹2人からは「陽菜よなちゃん」と呼ばれる。

飛鳥田菜月なつき
高校2年生 風紀委員会所属
6つ子の五女 一砂と同じボブの髪をポニーテールにしている。
面倒見の良い性格だが、個性の強い姉妹達のせいで何かと損な役に回ることが多い。1年生のときはクラス委員長だった。 
姉達からは「菜月」妹からは「なっちゃん」と呼ばれる。


飛鳥田希砂きさ
高校2年生 文芽と同じ女子バレー部所属 
6つ子の六女 髪の色をちょくちょく変えており、現在はオレンジに染めている。 ヘアアレンジが得意で、姉妹や友人の髪をいじったりしているが、髪の色で生活指導の教師にしょっちゅう注意されるが、あまり気にしないマイペースな性格。 



黒木千治ちはる
高校2年生 生徒会長
一砂と菜月のクラスメイト
1年のときに一砂と親しくなり、一砂に好意を寄せるが、一砂が好きな男性のタイプを俺様系だと勘違いして俺様キャラを目指して俺様キャラを作り上げたが、一砂が俺様系キャラが嫌いであることを知って意気消沈する。 
本来の性格は一砂にからかわれるほどのお人好しで少々ヘタレ。 
俺様系の口調もけっこう無理して話していた。
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