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私の双子の姉は可愛い。庇護欲のそそる愛らしい容姿にふんわりとしたオーラを纏い、おまけに成績優秀で性格も良いために人に好かれやすいので、姉を慕う人は多い。
しかし、その姉を慕う人たちの中で最も面倒くさい人たちがいる。
まずはこの国の第3王子。王子と言っても庶子であるため王子宣下はしておらず、王位継承権もないため、王族所有の別荘で使用人たちに育てられそこから学校に通っており、優秀である為うちの王立高等学校の生徒会長も務めている。
辺境伯家の庶子であるが正妻の子供が娘であるため、後継者に選ばれていて。冷静かつ物静かなことから「氷の貴公子」の異名をもつ副会長。
子爵家子息の双子で、女の子大好きな遊び人の会計の兄と兄よりも体の線が細く小柄なため、女生徒から「可愛い」と人気の庶務の弟。
姉に昔、傷つけた女の子の面影を重ねる騎士団長子息の書記。
その書記の幼馴染である姉の自称「親友」は書記のことが好きなのだが、書記が姉に思いを寄せているのを知ってもなお、彼の傍に居たいために姉の傍にいる。
もう1人の自称「親友」はずっと好きだった人に告白しその人に他に好きな人がいると言われて失恋した過去があるのだが、その人の好きな人が姉であり、姉がその人のことを振ってしまったことを知らずにいる。
そしてウチの母が働く青果店のオーナー夫婦の息子で、騎士学校に通う1歳上の幼馴染も不愛想な態度を取りつつも、姉に長年片思いしている。
姉のことがこの世で一番大事な彼らは、どういうわけなのか私を嫌っている。というよりも、彼らの中では私という人間は自分たちの大事な人を傷つける絶対的な悪であると認識し、敵視している。
私のやることなす事が気に食わないらしく、姉に食堂でお昼を食べようと声を掛けたとき私が拒否したら。
「彼女の優しさを無下にしやがって!!」
「お前には人の心が無いのか!!」
と何故かヤツらがキレてきたり、教科書を忘れて隣のクラスの姉に借りにいったら。
「彼女から盗んだのか!なんて最低なヤツだ!!」
と怒鳴られたのはつい最近のことだ。
姉も姉で、私があまり目立つのが好きじゃないのに、何故か学校祭のミスコンに勝手に私をエントリーさせて、生徒会メンバーから
「彼女を陥れるつもりか!!」
と言う謎の持論をだしてきてエントリーを取り消されたり。
私が居ないときにウチのクラスにきてクラスメート達に私についてどれだけ魅力があるのかを多少、盛りながら話したようでそれ以来、友人以外のクラスメートは私を避けるようになり、余計なことをしてくれたので最近は正直疲れる。
「……」
「あれっ、オフィーリア~?」
私の話を黙って聞いていた目の前の少女―――魔女のオフィーリアは私の話を聞いていくうちに琥珀色の目を細め、眉間にしわを寄せ険しい表情になっていく。
「いや、ひど過ぎるでしょ。てか、
姉かくじつにワザとでしょう?
それで性格優しいって・・・完全に洗脳されとるよね、コレ・・・」
「?・・・・」
顎に手をのせブツブツと呟いたあと、顔をあげるとオフィーリアは私の手をガシッツと握りしめた。
「あのさ、よかったらアタシの故郷にこない?」
「オフィーリアの故郷?魔女の森に?」
魔女の森。その名の通り、魔法を使って薬を作ったり、魔力のこもった魔道具や精霊水晶を作って生活をする魔女たちの暮らす森。
その森はどこにあるのか知られておらず、幻の森と言われている森。
「・・・いいの?私が行っても。」
「全然大丈夫だよ!!むしろ大歓迎。それに・・・一度、アイツらから距離置いてゆっくりしたほうがいいと思うよ。」
オフィーリアのその瞳は真剣で、私のことを案じているのがよく分かった。
「・・・・・・行ってみようかな。」
「本当!?よし、善は急げという事でパパパっと荷造りしちゃおう。」
「パパパって・・・時間かかると思うよ。」
「だ~いじょ~ぶ。たったら~ん、マジックバッグ~。」
そう言うと、オフィーリアは持っていたボストンバッグ型の魔道具を開くと、私の部屋の机やベッド、服などがその中に吸い込まれていった。
「よし、これでオッケー。さあ、行こう。」
「ちょっと待って!!」
何もなくなった部屋にオフィーリアが魔道具を使っている間に急いで書いた手紙を3つ置いておく。
1つはお父さんとお母さんにむけたもの。もうひとつは王立高等学校の退学届け。そしてもう一つは学校で唯一、私に接してくれた友人への手紙だ。
「それじゃあ、行こう。」
「うん。」
差し伸べられたその手を掴んで、私はまだ見ぬ魔女の森への思いをはせながら、10年以上過ごした自分の部屋をあとにした。
それから魔女の森におとずれた私はオフィーリアのお師匠様と出会い、彼女の元で魔女の修行に励むことになる。
だから知らない。
私が居なくなった後、姉の自称「親友」の一人は幼馴染の好きな人が私ではなく、姉だと勘違いしていたこと。
もう一人の「親友」も失恋した相手の好きな人が私だと思い込んでいたのが、本人からの口で問うたところ、実は誤解で、しかも彼にはすでに婚約者がいることを知り、激しい後悔に襲われていること。
副会長の異母妹で、辺境伯家の令嬢である私の唯一の友人は私の手紙を読んで、私を追い詰めた異母兄を軽蔑すると宣言したら、何故か副会長は発狂してしまったこと。
そして残りの生徒会メンバー、幼馴染、姉が血眼になって私を探し回り、魔女の森まで追いかけてくることになり、面倒くさいことになるのは、まだ先の話である。
しかし、その姉を慕う人たちの中で最も面倒くさい人たちがいる。
まずはこの国の第3王子。王子と言っても庶子であるため王子宣下はしておらず、王位継承権もないため、王族所有の別荘で使用人たちに育てられそこから学校に通っており、優秀である為うちの王立高等学校の生徒会長も務めている。
辺境伯家の庶子であるが正妻の子供が娘であるため、後継者に選ばれていて。冷静かつ物静かなことから「氷の貴公子」の異名をもつ副会長。
子爵家子息の双子で、女の子大好きな遊び人の会計の兄と兄よりも体の線が細く小柄なため、女生徒から「可愛い」と人気の庶務の弟。
姉に昔、傷つけた女の子の面影を重ねる騎士団長子息の書記。
その書記の幼馴染である姉の自称「親友」は書記のことが好きなのだが、書記が姉に思いを寄せているのを知ってもなお、彼の傍に居たいために姉の傍にいる。
もう1人の自称「親友」はずっと好きだった人に告白しその人に他に好きな人がいると言われて失恋した過去があるのだが、その人の好きな人が姉であり、姉がその人のことを振ってしまったことを知らずにいる。
そしてウチの母が働く青果店のオーナー夫婦の息子で、騎士学校に通う1歳上の幼馴染も不愛想な態度を取りつつも、姉に長年片思いしている。
姉のことがこの世で一番大事な彼らは、どういうわけなのか私を嫌っている。というよりも、彼らの中では私という人間は自分たちの大事な人を傷つける絶対的な悪であると認識し、敵視している。
私のやることなす事が気に食わないらしく、姉に食堂でお昼を食べようと声を掛けたとき私が拒否したら。
「彼女の優しさを無下にしやがって!!」
「お前には人の心が無いのか!!」
と何故かヤツらがキレてきたり、教科書を忘れて隣のクラスの姉に借りにいったら。
「彼女から盗んだのか!なんて最低なヤツだ!!」
と怒鳴られたのはつい最近のことだ。
姉も姉で、私があまり目立つのが好きじゃないのに、何故か学校祭のミスコンに勝手に私をエントリーさせて、生徒会メンバーから
「彼女を陥れるつもりか!!」
と言う謎の持論をだしてきてエントリーを取り消されたり。
私が居ないときにウチのクラスにきてクラスメート達に私についてどれだけ魅力があるのかを多少、盛りながら話したようでそれ以来、友人以外のクラスメートは私を避けるようになり、余計なことをしてくれたので最近は正直疲れる。
「……」
「あれっ、オフィーリア~?」
私の話を黙って聞いていた目の前の少女―――魔女のオフィーリアは私の話を聞いていくうちに琥珀色の目を細め、眉間にしわを寄せ険しい表情になっていく。
「いや、ひど過ぎるでしょ。てか、
姉かくじつにワザとでしょう?
それで性格優しいって・・・完全に洗脳されとるよね、コレ・・・」
「?・・・・」
顎に手をのせブツブツと呟いたあと、顔をあげるとオフィーリアは私の手をガシッツと握りしめた。
「あのさ、よかったらアタシの故郷にこない?」
「オフィーリアの故郷?魔女の森に?」
魔女の森。その名の通り、魔法を使って薬を作ったり、魔力のこもった魔道具や精霊水晶を作って生活をする魔女たちの暮らす森。
その森はどこにあるのか知られておらず、幻の森と言われている森。
「・・・いいの?私が行っても。」
「全然大丈夫だよ!!むしろ大歓迎。それに・・・一度、アイツらから距離置いてゆっくりしたほうがいいと思うよ。」
オフィーリアのその瞳は真剣で、私のことを案じているのがよく分かった。
「・・・・・・行ってみようかな。」
「本当!?よし、善は急げという事でパパパっと荷造りしちゃおう。」
「パパパって・・・時間かかると思うよ。」
「だ~いじょ~ぶ。たったら~ん、マジックバッグ~。」
そう言うと、オフィーリアは持っていたボストンバッグ型の魔道具を開くと、私の部屋の机やベッド、服などがその中に吸い込まれていった。
「よし、これでオッケー。さあ、行こう。」
「ちょっと待って!!」
何もなくなった部屋にオフィーリアが魔道具を使っている間に急いで書いた手紙を3つ置いておく。
1つはお父さんとお母さんにむけたもの。もうひとつは王立高等学校の退学届け。そしてもう一つは学校で唯一、私に接してくれた友人への手紙だ。
「それじゃあ、行こう。」
「うん。」
差し伸べられたその手を掴んで、私はまだ見ぬ魔女の森への思いをはせながら、10年以上過ごした自分の部屋をあとにした。
それから魔女の森におとずれた私はオフィーリアのお師匠様と出会い、彼女の元で魔女の修行に励むことになる。
だから知らない。
私が居なくなった後、姉の自称「親友」の一人は幼馴染の好きな人が私ではなく、姉だと勘違いしていたこと。
もう一人の「親友」も失恋した相手の好きな人が私だと思い込んでいたのが、本人からの口で問うたところ、実は誤解で、しかも彼にはすでに婚約者がいることを知り、激しい後悔に襲われていること。
副会長の異母妹で、辺境伯家の令嬢である私の唯一の友人は私の手紙を読んで、私を追い詰めた異母兄を軽蔑すると宣言したら、何故か副会長は発狂してしまったこと。
そして残りの生徒会メンバー、幼馴染、姉が血眼になって私を探し回り、魔女の森まで追いかけてくることになり、面倒くさいことになるのは、まだ先の話である。
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