婚約破棄なんて軽々しく口にするんじゃない!! 

keima

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ここはとある王国。この国の司法を司る機関「第3者意見司法機関サードセクション」では今、激務に追われる日々を送っていた。なぜなら・・・

 

 「レイ弁護官せんせい、ローディ子爵家がブランディ伯爵家との婚約を破棄しました!!」

 

弁護官せんせい!ブラフマー男爵家が、アプサラス騎士爵家との婚約を破棄してきました!!」

 

「事務官、クロレンス公爵家とロー侯爵家との婚約破棄手続きの書類どうなっている!?」

 

「大変です、モーリス伯爵家が婚約破棄手続きを直前になって婚約破棄したくないって言って騒いでいます!!」

 

数年前から貴族間で「真実の愛」に目覚めたと言って婚約破棄する貴族子息達が増え始めた。

きっかけは平民の間ではやり始めた恋愛小説だった。 平民の少女と王子が出会って恋に落ち、身分の差を乗り越えて結ばれる物語に男性貴族が夢中になり、平民の娘に現を抜かす様になり、幼少から結ばれていた婚約者を蔑ろにし、冤罪を着せて婚約破棄を宣告する者が年々増加していき、そのせいで戸籍や婚姻手続きなどをまとめるこの機関は、両氏による婚約破棄の認証や裁判手続き、慰謝料請求権などの書類作成など細々とした作業に両者の間に入って仲裁役に入る弁護官や彼らを支える事務官たちは婚約破棄という面倒くさい案件に追われていた。

他にも仕事はあるはずなのだが、ここ数年は婚約破棄の案件が非常に多い。

 

 

「まったく、婚約破棄なんて簡単に口にしなければいいのに・・・」

 

そう呟いたのは、今年入職したばかりの若い女性事務官だった。 彼女のつぶやきはその場にいたサードセクションの職員たちの耳に届いており、口にはださなかったが、彼らは心の中で・・・

 

「それな!!!!」

 

と叫んだ。

 

「小説に影響されて婚約破棄を実行って・・・こういう面倒くさい事があるってことを考えなかったのかな?」

 

「確かに!!!!

 

ウンウンウンと、職員たちは一様に頷く。

 

「私ら、お役所仕事をする者の気持ちをちょっとは考えてよぉ~。」

 

はぁぁ~とため息をつく若き事務官の嘆きにその場にいた職員たちは

 

「そうだそうだ!!」 

 

と声を上げて叫んだ。

 

連日連夜の仕事にテンションがおかしくなった彼らはヒートアップしていき、

「真実の愛って言って、自分の浮気を正当化するんじゃねぇ~~!!」

「貴族子息のバカヤロー」

「何が身分を笠にぃ~・・・だ、お前の方か一番、身分を笠に好き勝手やっているじゃないか~!!」

「平民のもたいがいだぞ、こうなる事を考えろよ、慰謝料払わなければいけないのは自分だってわかるだろうが~!!」

と案件に対する文句を言いだすものや「休み欲しーい」「時給上げろ~!!」と関係ない事まで言いだしはじめた。

 

その後、大騒ぎする彼らのもとに上司がやってきて、厳重注意を受ける羽目になった。

それからしばらくして、貴族及び市民の婚約の白紙及び解消をするときは弁護官も交えて、両家そろって白紙・解消宣言する事、独断での一方的な破棄宣言や冤罪をかけた場合は10年以内の懲役という罰則がかけられるという法律が施行されることになった。

また、サードセクションではこれをきっかけに婚約破棄と離縁専門の部署が発足された。
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