無口な黒瀬くんとその彼女

keima

文字の大きさ
1 / 1

とある日の出来事 

しおりを挟む



黒瀬優太は無口である。 
そして今、彼はしゃべれない上に動けない状態である。 

何故ならば---  


「くぅ、くぅ…………」  

彼女である芳野よしの真雪まゆが自分の肩によりかかって寝ているから。 


今から数分前のこと。


「ふぁ~あ……」

昨夜、遅くまで起きていたせいか寝不足な真雪は女子高生らしからぬ大きな欠伸をしていた。 

(あっ、真雪だ……)


「ま………」

声をかけようとして、頭をコックリと船を漕いでいる彼女の姿を見つけ、少し考えこんだあと、指先でチョンチョンと軽く肩を突いた。 

「んんっ……あっ、黒瀬くん。」

黒瀬はまた、夜更かししたの?と訪ねると、真雪はアハハと苦笑する。

「うん。おかげで今日めちゃくちゃ眠くて……ふあぁ~。」

再びデカい欠伸をすると真雪は眠そうに目をこすりはじめた。 

「………」 


黒瀬は手を伸ばし、それを真雪の頭の上に置くとポンポンと母親が子供を寝かしつけるように優しく撫でる。 
ポン…ポン…という黒瀬の撫で方に真雪は目を細め再びコックリコックリと船を漕ぎはじめた。 

眠りの波に落ちていく真雪はコトリと黒瀬の肩に頭をのせると、寝息を立てて眠ってしまい、今に至っている。  
おまけに真雪が自分の服の袖をギュッと握りしめているため、余計に動けないのだが、黒瀬はあまり気にしていない。

(……可愛いな。)

いつも元気でよく喋る真雪の寝顔を見ながらほんの少しだけ、口元が緩んだ。 

「ん~……黒瀬くん……好き……。」

フニャリと口元を緩め、寝言をいう真雪に表情こそ変わっていないが、黒瀬の顔がジワジワと赤く染まっていく。 

(……………反則だ。)


小声でそう呟くと、スヤスヤと眠る真雪の顔を覗き込むと、頬に軽く触れるくらいのキスを落とした。 



ちなみにこの2人の様子を遠目で見て一部の生徒は「リア充爆発しやがれ~!!」と心の中で叫んでいた。 

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

姉の引き立て役の私は

ぴぴみ
恋愛
 アリアには完璧な姉がいる。姉は美人で頭も良くてみんなに好かれてる。 「どうしたら、お姉様のようになれるの?」 「ならなくていいのよ。あなたは、そのままでいいの」  姉は優しい。でもあるとき気づいて─

メリザンドの幸福

下菊みこと
恋愛
ドアマット系ヒロインが避難先で甘やかされるだけ。 メリザンドはとある公爵家に嫁入りする。そのメリザンドのあまりの様子に、悪女だとの噂を聞いて警戒していた使用人たちは大慌てでパン粥を作って食べさせる。なんか聞いてたのと違うと思っていたら、当主でありメリザンドの旦那である公爵から事の次第を聞いてちゃんと保護しないとと庇護欲剥き出しになる使用人たち。 メリザンドは公爵家で幸せになれるのか? 小説家になろう様でも投稿しています。 蛇足かもしれませんが追加シナリオ投稿しました。よろしければお付き合いください。

元夫をはじめ私から色々なものを奪う妹が牢獄に行ってから一年が経ちましたので、私が今幸せになっている手紙でも送ろうかしら

つちのこうや
恋愛
牢獄の妹に向けた手紙を書いてみる話です。 すきま時間でお読みいただける長さです!

蝋燭

悠十
恋愛
教会の鐘が鳴る。 それは、祝福の鐘だ。 今日、世界を救った勇者と、この国の姫が結婚したのだ。 カレンは幸せそうな二人を見て、悲し気に目を伏せた。 彼女は勇者の恋人だった。 あの日、勇者が記憶を失うまでは……

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

不倫の味

麻実
恋愛
夫に裏切られた妻。彼女は家族を大事にしていて見失っていたものに気付く・・・。

婚約破棄?いいですけど私巨乳ですよ?

無色
恋愛
 子爵令嬢のディーカは、衆目の中で婚約破棄を告げられる。  身分差を理由に見下されながらも、彼女は淡々と受け入れようとするが、その時ドレスが破れ、隠していた自慢のそれが解き放たれてしまう。

抱きしめて

麻実
恋愛
夫の長期に亘る不倫に 女としての自信を失った妻は、新しい出会いに飛び込んでいく。

処理中です...