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とある日の出来事
しおりを挟む黒瀬優太は無口である。
そして今、彼はしゃべれない上に動けない状態である。
何故ならば---
「くぅ、くぅ…………」
彼女である芳野真雪が自分の肩によりかかって寝ているから。
今から数分前のこと。
「ふぁ~あ……」
昨夜、遅くまで起きていたせいか寝不足な真雪は女子高生らしからぬ大きな欠伸をしていた。
(あっ、真雪だ……)
「ま………」
声をかけようとして、頭をコックリと船を漕いでいる彼女の姿を見つけ、少し考えこんだあと、指先でチョンチョンと軽く肩を突いた。
「んんっ……あっ、黒瀬くん。」
黒瀬はまた、夜更かししたの?と訪ねると、真雪はアハハと苦笑する。
「うん。おかげで今日めちゃくちゃ眠くて……ふあぁ~。」
再びデカい欠伸をすると真雪は眠そうに目をこすりはじめた。
「………」
黒瀬は手を伸ばし、それを真雪の頭の上に置くとポンポンと母親が子供を寝かしつけるように優しく撫でる。
ポン…ポン…という黒瀬の撫で方に真雪は目を細め再びコックリコックリと船を漕ぎはじめた。
眠りの波に落ちていく真雪はコトリと黒瀬の肩に頭をのせると、寝息を立てて眠ってしまい、今に至っている。
おまけに真雪が自分の服の袖をギュッと握りしめているため、余計に動けないのだが、黒瀬はあまり気にしていない。
(……可愛いな。)
いつも元気でよく喋る真雪の寝顔を見ながらほんの少しだけ、口元が緩んだ。
「ん~……黒瀬くん……好き……。」
フニャリと口元を緩め、寝言をいう真雪に表情こそ変わっていないが、黒瀬の顔がジワジワと赤く染まっていく。
(……………反則だ。)
小声でそう呟くと、スヤスヤと眠る真雪の顔を覗き込むと、頬に軽く触れるくらいのキスを落とした。
ちなみにこの2人の様子を遠目で見て一部の生徒は「リア充爆発しやがれ~!!」と心の中で叫んでいた。
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