私に騎士は必要ない

keima

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私に騎士は必要ない

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ーーいい、ラヴェンダー。騎士や貴族を信用してはいけないよ。 

そう言って母は何度も私にそう言い続けてきた。

騎士だった父の強引なアプローチで結婚したにも関わらず仕事ばかりで私達を顧みることなく、さらに自分の出世のために母と私を捨て、当時の騎士団長の娘だった公爵令嬢と結婚した。
でも父だった男は別れてもなお母に固執しつきまとい、それに気づいた元父の妻は嫉妬から母に嫌がらせをしてきた。 
精神的に追いつめられた母は私を友人に預けると、自ら命を絶った。私が12歳のときだった。

母が亡くなり元父は私を引き取り、公爵家の養女にしようと企んでいたが私は徹底的に拒絶し、染色職人である母の友人に弟子入りし貴族にはならないと宣言した。
師匠となった母の友人も元父をよく思っておらず、私の味方をしてくれたことで元父はそれ以降私の前に現れることなかった。それから私は染色職人の修行に明け暮れる日々を送っていた。








「ラヴェンダー嬢。私の妻になってほしい。」

キラキラと目映いばかりの笑顔で白銀の鎧を身に纏った美青年ー2カ月前に町に赴任した騎士ーが真っ赤な薔薇の花束を私の前に差しだした。 

「……………」

「どうか受け取ってくれないだろうか。」

うっとりと熱を帯びた瞳で私をみつめる騎士から目をそらし私はスゥッと息を吐くと…… 

「ミーシャちゃ~ん。騎士様が来てるよ~~!!」

「えっ………?」

私がそう叫んだ数秒後。ドドド…という音とともに 

「き~~しさ~まぁぁ~~!!」

「うわあぁぁ~~!!??」

妹弟子のミーシャちゃんが勢いよく駆けより騎士様に抱きついた。 

「ちょっと君!!離れて……「やああん、綺麗な薔薇の花。ワタシ薔薇好きだからうれしいですぅぅ~。」 


ミーシャちゃんに抱きつかれて動けない騎士様を横目に私は工房に戻った。 
うしろで騎士様がなんか叫んでいるが無視した。 
工房に戻ると、窓から外の様子を見ていた同期が声をかけてきた。 

「………ラヴェンダーいいの?あの騎士様アンタに求婚プロポーズしてきたのに。」

「いいのよ。だって……騎士様は私に恋愛感情なんかもってないんだから。打算のために私にプロポーズしたのよ。」

「へっ………?」

2カ月前に赴任してすぐ、あの騎士様は私に一目惚れだ。結婚してくれ。とアプローチしてきたが、母の死以来、騎士に対し苦手意識があったのと、不信感から軽くあしらっていた。騎士様が何故、私に近づいたのかその理由を知ったのは最近のことだった。 

騎士様は元父だった男の部下で、私と結婚すれば副団長にしてやると告げられ、私に近づいたのだ。 

ーーどこまでもクズな上にしつこい男。 

「………よしっ、決めた。あの話うけるわ!!」

「あの話って……留学のこと?」

実は師匠から東の大陸にある国の染色技術を学びにいかないかと薦められていた。 
少し迷っていたのだが、この国にいるかぎりあの男はどこまでも追いかけてくる。ならば国を出てしまえば元父も騎士様も追いかけてこないはずだ。 

「私の人生に騎士は必要ない。私は私の人生を歩むぞ~!!」

それから3ヶ月後。私が東の大陸の国に留学してすぐ、師匠と同期から手紙が届いた。 
その内容は私が国から出たと知った元父と騎士様のことだった。 
元父は自暴自棄になり酒浸りとなってしまったことで仕事でとんでもないミスを犯してしまい、その責任を負って騎士団を解雇させられ、さらに前妻の娘である私との結婚すれば出世させてやると自分たちの部下にそう約束させたことが妻にバレ、療養という名目で領地にある片田舎の別荘に幽閉された。

騎士様は私を理由して出世を企んでいたことが町の人や他の騎士団員にバレてもなお「違う」「打算じゃない」と訴えているが信用されず、同僚や町の人達から遠巻きにされているが、ただ一人……ミーシャちゃんは騎士様へのアプローチがさらに激しくなり、追いかけるミーシャちゃんから毎日逃げ惑っているらしい。
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