「私に愛まで望むとは、強欲な女め」と罵られたレオノール妃の白い結婚

きぬがやあきら

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クラウディオの提案

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 レオノールにとっては特に重要さは感じない。

 しかしフランチェスカには印象的だったようで、クラウディオの一挙手一投足に釘付けになっている。

 クラウディオが一連の動作を終えて視線を向けたところで、フランチェスカは慌てて頭を下げた。

「わたくしはこれにて失礼いたします。ご挨拶もお礼も叶いましたので、これ以上お邪魔をするわけにはまいりませんわ」

 そう言うや否や、流れるような動きで踵を返し、扉まで後退する。

「どうぞ、お身体大切にお休みください。あの、クラウディオ殿下、差し出がましいとは存じますが」

 退室する直前、最後に見せた表情には感激と期待が滲んでいた。

「カナリー嬢には、お二人の睦まじい様子を是非ともお話しさせていただきます」

 何のことやらさっぱりだが、言葉を受けてクラウディオは苦笑した。

「ご親切痛み入る。……メリッサ、フランチェスカ嬢を馬車溜まりまで送って来てくれ」

「えっ? 馬車溜まりまで? なんで」

「勿論です、かしこまりました」

 反射的に聞き返したレオノールと違い、メリッサは素早く従った。

 クラウディオの指示を受け取ってすぐさま扉まで行き、フランチェスカと共に退出する。

 護衛が閉じゆく扉から垣間見える。

 扉が閉まってからもしばしの間があった。

 フランチェスカの控えめな話し声が遠ざかるにつれ、レオノールはシーツの中で怪訝な顔を作る。

 護衛がいるのに、どうしてメリッサにフランチェスカを送らせるのか。

「クラウディオ様?」

 レオノールの呼びかけを聞き届けたクラウディオは、静かに振り返った。

「具合はどうだ」

「どうもこうも、とっくに完全回復してますよ。ご存知でしょう」

 病み上がりのふりを義務付けられていても、久しぶりに可愛い女の子とお茶ができるチャンスだったのに。

「何をむくれている。俺が来たのが気に入らないか」

「クラウディオ様が来てくれたのは嬉しいですけど、どうせすぐ行っちゃうでしょう。私は退屈で寂しいんですよ」

 レオノールは不貞腐れつつも本音を漏らす。

 残りの1日を一人寂しくこの部屋で過ごさなければならないのは苦行に他ならない。

 退屈しのぎにとメリッサが用意してくれた編み棒や刺繍糸は山のようにある。

 だが、ちっとも手をつける気にならない。

 つい唇を尖らせると、クラウディオは片手で顔を覆った。

 溜め息を吐いた後、肩を震わせて顔を上げる。
 
「では代案を用意しよう。君は王太子妃以上の働きをして、我が国の威信を保ってくれた。それに対して報奨を与えなければな」

「えっ?」

「幸い、もっとも秘匿すべき使節団とアルヴァロ王子は帰国の途についた。可能な限り、望みを叶えよう。何がしたい?」

 思いがけない提案を受けて、レオノールは目をパチクリさせた。 
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