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レオノール・エルグランを派遣せよ
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その日は月に分厚い雲がかかっていた。
暗闇の中、傍目には無謀とも言える主塔の攻略を始める。
自室からの脱出はお手のものだ。
窓から抜け出し、主塔へ向かう。
月明かりこそないが、見張りの立つ場所には松明が焚かれているので、人間相手の攻略は逆に容易だ。
夜番の目をかい潜り、塔の下にたどり着いて、レオノールは上を見上げた。
謁見の間に上がった際、主要な空間については把握している。
主塔は高さ50m以上はある高い建物で、内部は階段が螺旋状に続く。
塔を一周する階段は、石造りの頑丈な作りだ。
夜間であることが幸いした。
灯りの着いている部屋は二つしかない。
部屋の向きから、クラウディオのいるだろう執務室の予想がつく。
(私を現場に行かせてくれないか直談判しよう。それがダメでもせめて休んでもらわなくちゃ)
レオノールは一つの窓枠に狙いを定め、まずは手近な木の幹をよじ登る。
太めの枝にぶら下がり、振り子の要領で主塔の窓枠に飛び移った。
窓枠を掴んで足を引き寄せ、腕の力で上体を引き上げる。
登攀スキルを生かして順に飛ぶように窓枠を蹴って上がる。
渡り廊下まで辿り着けば、誰にも気付かれずに塔へ入ったも同然だった。
さて、問題はここからだ。
入り込んだはいいが、侵入者であることには変わりない。
レオノールはそっと辺りを見回し、廊下に誰もいないことを確認した。
(なんだ。誰もいないじゃん……)
各階に一人くらい警備兵がいても良さそうなものなのに。
予想外の警備の薄さに拍子抜けしてしまった。
渡り廊下から塔の中へ入った途端、ふわりと甘い芳香が漂う。
(何だ、これ。クラウディオ様がリラックスできるように、侍女か誰かが気を利かせたのかな?)
屋内は闇に塗り込められて真っ暗だが、一筋だけ光が漏れている場所がある。
多分、そこが目当ての執務室だ。
警戒すべき対象があれば、それとなく肌で察知するのでまあ、誰もいないのだろう。
そう思いつつも念の為、レオノールは気配を殺して足音を忍ばせるのだが……
コソッ
サラリ……
と、不意に細やかな物音が鼓膜をくすぐる。
衣擦れのような柔らかな音だ。
クラウディオが立てる音にしては、妙に細やかだった。
他に目立つ音はない。
今の物音だって、レオノールでなければ拾えないくらいの大きさだ。
すると目標の部屋はクラウディオの執務室ではないのだろうか。
万が別の人物の部屋なら面倒なことになる。
なので、より慎重に接近した。
部屋の扉は薄く開いていて、扉の足元から橙色の光が漏れていた。
扉には細かなレリーフが施されていて、床板にも磨きこまれた光沢がある。
辿り着いてすぐ、レオノールは呼気を察知した。
一つではない。
暗闇の中、傍目には無謀とも言える主塔の攻略を始める。
自室からの脱出はお手のものだ。
窓から抜け出し、主塔へ向かう。
月明かりこそないが、見張りの立つ場所には松明が焚かれているので、人間相手の攻略は逆に容易だ。
夜番の目をかい潜り、塔の下にたどり着いて、レオノールは上を見上げた。
謁見の間に上がった際、主要な空間については把握している。
主塔は高さ50m以上はある高い建物で、内部は階段が螺旋状に続く。
塔を一周する階段は、石造りの頑丈な作りだ。
夜間であることが幸いした。
灯りの着いている部屋は二つしかない。
部屋の向きから、クラウディオのいるだろう執務室の予想がつく。
(私を現場に行かせてくれないか直談判しよう。それがダメでもせめて休んでもらわなくちゃ)
レオノールは一つの窓枠に狙いを定め、まずは手近な木の幹をよじ登る。
太めの枝にぶら下がり、振り子の要領で主塔の窓枠に飛び移った。
窓枠を掴んで足を引き寄せ、腕の力で上体を引き上げる。
登攀スキルを生かして順に飛ぶように窓枠を蹴って上がる。
渡り廊下まで辿り着けば、誰にも気付かれずに塔へ入ったも同然だった。
さて、問題はここからだ。
入り込んだはいいが、侵入者であることには変わりない。
レオノールはそっと辺りを見回し、廊下に誰もいないことを確認した。
(なんだ。誰もいないじゃん……)
各階に一人くらい警備兵がいても良さそうなものなのに。
予想外の警備の薄さに拍子抜けしてしまった。
渡り廊下から塔の中へ入った途端、ふわりと甘い芳香が漂う。
(何だ、これ。クラウディオ様がリラックスできるように、侍女か誰かが気を利かせたのかな?)
屋内は闇に塗り込められて真っ暗だが、一筋だけ光が漏れている場所がある。
多分、そこが目当ての執務室だ。
警戒すべき対象があれば、それとなく肌で察知するのでまあ、誰もいないのだろう。
そう思いつつも念の為、レオノールは気配を殺して足音を忍ばせるのだが……
コソッ
サラリ……
と、不意に細やかな物音が鼓膜をくすぐる。
衣擦れのような柔らかな音だ。
クラウディオが立てる音にしては、妙に細やかだった。
他に目立つ音はない。
今の物音だって、レオノールでなければ拾えないくらいの大きさだ。
すると目標の部屋はクラウディオの執務室ではないのだろうか。
万が別の人物の部屋なら面倒なことになる。
なので、より慎重に接近した。
部屋の扉は薄く開いていて、扉の足元から橙色の光が漏れていた。
扉には細かなレリーフが施されていて、床板にも磨きこまれた光沢がある。
辿り着いてすぐ、レオノールは呼気を察知した。
一つではない。
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