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人質と引き換えに
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「ハハッ。これは驚いた……てっきり不仲だと思っていたのに、いつの間にそこまで親密になったのだ?」
愉快そうに口を歪める、アルヴァロらしき人物を、クラウディオは黙って睨みつけた。
「今頃彼女の価値に気づいたのか? 彼女をぞんざいに扱う其方は不愉快極まりなかったが、掌を返されればやはり不快だな」
鏡に映るアルヴァロ王子は、不愉快だと言いつつ、愉悦に染まった表情でこちらを見据えている。
「あなた本当にアルヴァロ王子? 姿は気味悪いくらい似てるけど、偽物でしょ。かなり雰囲気違うもん」
下がっていろと言われても、クラウディオに対する不遜な態度は見逃せない。
レオノールは予測を裏付ける知識がなくとも、人並外れた感覚がある。
姿形は同じ。でも、アルヴァロの瞳には人懐こい、柔和な光が宿っていた。
姿見に映る目には一切の光はない。
少なくとも、目の前の鏡に映っている人物は、レオノールの知るアルヴァロではないと判じていた。
……すると、アルヴァロは。
「何者なの? ……アルヴァロ王子をどうした」
予想できる問の答えに、胸が悪くなる。声は自然と恫喝するようになり、気づけば詰問していた。
途端に鏡の中のアルヴァロが目を見開いて、弾けたように笑い出す。
「……クックック。アハハハハ! いいな、レオノール殿。その射抜くような眼差し、ゾクゾクするぞ!」
地下へ続く洞穴の奥深くから迫り上がるような、不気味な嗤笑が室内に反響する。
とても人の声とは思えない不協和音に、レオノールは眉を顰めて腕を組む。
クラウディオはすかさず動き、テーブルの上の燭台を取った。
「おっと、止めてくれ。鏡を壊されては困る。残念ながら、私は正真正銘のアルヴァロだよ。……今までの姿こそ偽物だったと言うべきなのだ。私は城から離れられないのでね、こうしてやって交渉に来たわけだ。頭の固い王太子がいつまでも要請に応じないためにな」
アルヴァロの言が確かなら、鏡を割れば彼は姿を保てなくなるのだろう。
しかし、制止などなかったかのように、クラウディオは迷わず燭台を振りかぶる。
それを慌ててレオノールが掴み、止めた。
「待って、クラウディオ様! 交渉って……」
「レオノール、話す必要はない。奴が何者であれ、聞く価値はないだろう」
鏡の中の人物は、素性も甚だ怪しく、言葉に信憑性はない。
だが、レオノールには引っ掛かった。
クラウディオは声だけで、あれがアルヴァロではないかと疑った。
それにアルヴァロもどきは「頭の固い王太子がいつまでも要請に応じない」などと口にした。
”頭の固い王太子”がクラウディオを指すなら、既に二人は接触していたことになる。
愉快そうに口を歪める、アルヴァロらしき人物を、クラウディオは黙って睨みつけた。
「今頃彼女の価値に気づいたのか? 彼女をぞんざいに扱う其方は不愉快極まりなかったが、掌を返されればやはり不快だな」
鏡に映るアルヴァロ王子は、不愉快だと言いつつ、愉悦に染まった表情でこちらを見据えている。
「あなた本当にアルヴァロ王子? 姿は気味悪いくらい似てるけど、偽物でしょ。かなり雰囲気違うもん」
下がっていろと言われても、クラウディオに対する不遜な態度は見逃せない。
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少なくとも、目の前の鏡に映っている人物は、レオノールの知るアルヴァロではないと判じていた。
……すると、アルヴァロは。
「何者なの? ……アルヴァロ王子をどうした」
予想できる問の答えに、胸が悪くなる。声は自然と恫喝するようになり、気づけば詰問していた。
途端に鏡の中のアルヴァロが目を見開いて、弾けたように笑い出す。
「……クックック。アハハハハ! いいな、レオノール殿。その射抜くような眼差し、ゾクゾクするぞ!」
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とても人の声とは思えない不協和音に、レオノールは眉を顰めて腕を組む。
クラウディオはすかさず動き、テーブルの上の燭台を取った。
「おっと、止めてくれ。鏡を壊されては困る。残念ながら、私は正真正銘のアルヴァロだよ。……今までの姿こそ偽物だったと言うべきなのだ。私は城から離れられないのでね、こうしてやって交渉に来たわけだ。頭の固い王太子がいつまでも要請に応じないためにな」
アルヴァロの言が確かなら、鏡を割れば彼は姿を保てなくなるのだろう。
しかし、制止などなかったかのように、クラウディオは迷わず燭台を振りかぶる。
それを慌ててレオノールが掴み、止めた。
「待って、クラウディオ様! 交渉って……」
「レオノール、話す必要はない。奴が何者であれ、聞く価値はないだろう」
鏡の中の人物は、素性も甚だ怪しく、言葉に信憑性はない。
だが、レオノールには引っ掛かった。
クラウディオは声だけで、あれがアルヴァロではないかと疑った。
それにアルヴァロもどきは「頭の固い王太子がいつまでも要請に応じない」などと口にした。
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